やっていますか?入居者の情報更新~入居者のトラブル予防~

政府は3月8日の閣議で、単身高齢者や障害者といった要配慮者の住まい確保を進める
住宅セーフティーネット法などの改正案を決定しました。

社会福祉法人などによる見守りや安否確認機能が付いた
賃貸の「居住サポート住宅」を自治体が認定する制度を新設。
要配慮者の家賃債務保証を担う業者を国が認定する仕組みも設け、
高齢者らが入居しやすい環境を整える支援策も進められています。

孤独死後の対応や家賃滞納の懸念があり、高齢者の入居を拒むケースも多くあると言われていますが、
今後は法人による入居後の支援を充実させ、
大家さんが安心して物件を貸し出せるような仕組みができてくるかと思います。

「それでも、うちでは今後も高齢者を受け入れるつもりはない!」
というオーナー様もいらっしゃるかもしれません。

そんなオーナー様の物件にも、実はすでに高齢者・高齢者候補の入居者がいるかもしれません。

よろしければこちらも合わせてご覧ください。
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孤独死…その後の指針に。残置物のモデル条項発表

6月7日、国土交通省から「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(ひな形)
策定・発表されました。

若者にも増える孤独死…物件を守るためにできることは?でも取り上げた通り、
長寿化や核家族化の影響で単身世帯が増え、
それにともない孤独死の件数も年々増えています。
また、60歳以下の孤独死も増えており、賃借人の死亡後、
相続人の有無や所在が分からない場合において、
賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になることもあり、
大家さんの悩みの種になっています。

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日本少額短期保険協会「第6回孤独死現状レポート」より転載

7/19日本少額短期保険協会がリリースした「第6回 孤独死現状レポート」を見ると、
原状回復には約39万円かかっているのに対し、
残置物処分費用は約23万円とかなりの負担がかかっていることが分かります。

現在は、相続人がはっきりしない場合でも、第三者である大家さんが
残置物を勝手に処分することはできません。
相続人が見つからない場合は、家庭裁判所に申し立てをして、
相続財産管理人を選任する制度がありますが、お金も時間もかかるため、
その間の残置物の保管や管理・運搬費用も、大きな負担になります。

こうした経緯もあり、特に孤独死が心配される単身高齢者の入居者を避ける
大家さんは少なくありません。

大家さんの不安感を払しょくし、単身高齢者の居住の安定確保を図るため、
国土交通省と法務省では、死後事務委任契約を締結する方法を検討し、
賃借人の死亡後に契約関係および居室内に残された家財(残置物)を
円滑に処理できるよう、
(1)賃貸借契約の解除
(2)残置物の処理
に関する委任契約書のひな形を策定しました。


 💡 残置物の処理等に関するモデル契約条項が公開されていますが、
まずは残置物の処理等に関する契約の活用手引きのリーフレットを見れば、
残置物処理の際、必要な契約内容が理解できるかと思います。
仲介・管理会社とも相談して、入居者・物件に合う契約書を作成していきましょう。

■想定される利用場面
単身高齢者(60歳以上の者)の入居時(賃貸借契約締結時)

■残置物の処理等に有効な契約について

(1)賃貸借契約の解除事務委任に関する契約
▶第1 解除関係事務委任契約のモデル契約条項を参考にしてください。

賃借人の死亡時に賃貸人との合意によって賃貸借契約を解除する代理権を受任者に与えます。
(2)残置物の処理事務の委任に関する契約
▶第2 残置物関係事務委託契約のモデル契約条項を参考にしてください。
〇賃借人の死亡時における残置物の廃棄や指定先への送付等の事務を受任者に委託します。
〇賃借人は「廃棄しない残置物」(相続人等に渡す家財等)を指定するとともに、 その送付先を明らかにします。
〇受任者は、賃借人の死亡から一定期間が経過し、かつ、賃貸借契約が終了した 後に、「廃棄しない残置物」以外のものを廃棄します。ただし、換価することが できる残置物については、換価するように努める必要があります。

■受任者について
入居者やその相続人の利害に大きく影響する契約であるため、
□ 入居者の推定相続人のいずれか
□ 居住支援法人、管理業者等の第三者(推定相続人を受任者とすることが困難な場合)
のいずれかを受任者とすることが望ましいと考えられます。
大家さんは入居者(相続人)と利益相反の関係にあるため、避けることとされています。

現在は、入居者がお亡くなりになった後に
不安感を生じにくい方を想定にしています。
個人の保証人がいる孤独死の心配のない若年層に対して、同じ契約をすると、
民法や消費者契約法に違反し、無効となる可能性があります。

しかし、残置物の問題については、高齢者に関わらず、
若い方や外国人の方など属性に関係なく起こりえる問題です。
引き続き、残置物の取り扱いについては声をあげていきたいところですね 😉 

1/15〆切、家賃支援給付金!賃料減額を頼まれたら?

5月の緊急事態宣言頃から増えてきた「家賃に関するお悩み」
コロナ禍は収まることを知らず、年末年始のかき入れ時も肩透かしに終わり、
厳しい年明けを迎えていらっしゃる方も多いかと思います。

そんな中、売上の減少に直面する事業の継続を支えるため、
地代・家賃(賃料など)の負担を軽減していた「家賃支援給付金」の申請締め切りが
1月15日(金)24時となっています。
(申請期限に間に合わない特別な事情がある場合は1月31日(日)23時50分まで

今後事業者はもちろん、働いている人自身からの
「賃料減額」の依頼があるかもしれません。

一方で繁忙期を迎え、「できるなら減額せずに住んでくれる人を迎えたい」という
部分もあるでしょう。

今回はあらためて家賃滞納のトラブルにつながらないように
入居者、オーナーさんの双方が納得できる「賃料減額」への対応について考えます。


 ■減額する額や期間は物件によって、違う
「いくらまで減額すればいいか」と悩んでしまいますが、
額や期間は住んでいる方や物件、
オーナーさん自身の経済状況によって当然異なります。

まずは、所有物件について現状を把握しなくてはいけません。
・所有物件のキャッシュフローやローン残高
・入居者の属性
>アルバイトや自営業などコロナ禍の影響を受けそうな属性が多い場合は
 今後、退去・家賃滞納・賃料減額依頼が続くことも見越し、
 無理をしてまで減額に対応しなくても良いでしょう。

次に、減額を依頼してきた事業者、入居者の状況を把握しましょう。
・ご入居者の年齢や属性、勤め先
>特にアルバイトや派遣社員、自営業の人は優先度が高いです
>高齢者や生活保護世帯については、きちんとした支援を受けていれば
 家賃滞納リスクは低いので、優先度が低いです
・家賃保証会社、連帯保証人、緊急連絡先など、
 もしものときのバックアップがとれるか
・できる限りの支援を受けているか
>前述の家賃支援給付金、入居者であれば住居確保給付金を申請しているか。

■避けたい「滞納」!そのための行動とは
一番避けたいのは理由を告げない家賃滞納、無断退去でしょう。
目の前のことにいっぱいいっぱいになったり、
責任感が強すぎて人や行政に頼れなかったり、
外国人入居者の方や学生さんなどは「家賃減額」の交渉ができずに、
滞納・退去をしてしまうケースがあります。
・こちらから連絡をする
新年のあいさつもかねて、お手紙やメール、掲示板等で
「こんなご時世ですのでお困りごとがあればご相談ください」
と連絡をしてみると、見えなかったところから反応が返ってくるかもしれません。
・できるだけ親身に寄り添う
連絡が来たときは「そんなに減額は無理だ」と思っても、条件のすり合わせ、
検討する姿勢はしっかりと見せてください。
>住宅確保給金など行政の各種補助制度を教えてあげる
>家賃の安い物件をご紹介してあげる。
 場合によっては敷金も返せることを教えてあげる。
>和解した後も、定期的にコンタクトをとってあげる。

■賃料減額をする時は約束事をしっかり決める
・入居者のことを教えてもらう
お互いに抵抗感はあるかもしれませんが、相手の状況を知らなければ、
どのくらいの金額を、どのくらいの期間減らせばよいかも分かりません。
>勤務状態
>収入
>貯金・資産
>一過性の困窮なのか、回復する見込みはあるのか
>いざという時、頼れる人や機関はあるのか
・取り決めは必ず書面で残す
どんなことであっても、入居者や業者との取り決めや約束事は
書面で残すべきです。
書面はオーナーさんの損金算入、税金減免にも必要になるので
必ず、手元に残しましょう。
最悪の場合は訴訟にも発展するため、互いにそのことを理解したうえで
現状を改善するため約束事を決めるべきでしょう。
>賃料の減額幅、期間
>減額機関が過ぎた場合も、状況が変わらない場合は
 退去など次の対応を決める
>双方の署名、捺印を押す

今だどうなっていくのか、分からない時世ではありますが、
だからこそ「正解はない」と割り切って、
多少手間ではあっても、
入居者・物件ひとつひとつの対応をしっかり行っていきましょう。

今こそ考えたい、賃貸契約の電子化

コロナ禍の影響で、インターネットを利用した
様々なサービスの利用が広がっています。
賃貸業界でも、オンライン相談やスマートロックを活用したセルフ内見など、
時間もフレキシブルに対応できる、お部屋探しのデジタル化が加速しています。

そんな中で改めて、注目しておきたいのが
ここ数年で進められている賃貸契約の電子化です。

😕 「そうは言っても、セキュリティ的に不安」
😐 「契約の電子化なんて、逆にめんどくさくて入居希望者に敬遠されない?」

今回は賃貸契約の電子化についてどのように進めていくか、
メリットについて調べてみました。


国土交通省でも2015年から「賃貸借契約完全電子化」に向けて
様々な実験を続けています。

2019年10月からは賃貸取引の重要事項説明書等を電子書面で交付する
いわゆる「IT重説」についての実験を開始。

電子署名や専門業者のサービスがあれば、
セキュリティの問題もクリアできることが分かり、
順調に「賃貸借契約電子化」の流れがきています。

電子契約スキームjpg2
やり取りはメールやSMSで行われます。
賃貸契約に付随する一部の手続きは電子化ができないため、
PDFで送ったものを仲介会社が印刷して、送付します。

借主もしくは連帯保証人がスマートフォンを所有していない場合は、
電子契約はできませんが、連帯保証人を不要とする家賃債務保証会社が増えていけば
さらにハードルは低くなります。

 💡 賃貸借契約完全電子化のメリット
業務の効率化
賃貸借契約の完全電子化が行われることで、
不動産業者の業務が効率化され、契約までの時間も短縮されます。

賃貸の契約には不動産会社と利用者以外に大家、
仲介会社、管理会社など多くの人が関わっています。
そのため、紙媒体の契約では非常に多くの書類が必要になり、
送付作業だけでもかなりの時間が必要になります。

しかし、賃貸借契約の完全電子化を行うことで
ネットでのやり取りがメインになるため、
契約までの時間を短くすることができます。


◆コスト削減

紙で書類を作成する場合、手間だけでなく印刷に使う用紙代や
インク代がかかります。
電子契約によって、契約書を郵送するコストや手間をなくすことができます。
また、郵送する場合は送料も必要になります。
さらに、賃貸の契約書は課税対象になりますので印紙税が必要です。

契約書類を電子化することでこれら印紙税などが不要になるため、
コスト削減として大きな影響があるといえます。

◆利用者の利便性向上
今まで入居を希望する利用者は不動産会社の店舗まで
足を運んで話を聞かなくてはなりませんでした。
電子契約書でやり取りすることで、
わざわざ店舗に行かずとも説明が受けられ時間や交通費を節約することができます。また、電子データなのでオンライン上に保管しておけば
PCやスマートフォンからすぐに確認がとれるという点もメリットです。

◆コンプライアンス強化
紙の書類はデメリットとして、保管期間にデータを改ざんされることや
紛失のリスクが挙げられていました。
書類の紛失は企業側のみの問題ではなく、
借主が火災などによって紛失してしまう可能性もあります。
紙の契約書を電子署名付きの電子契約書に切り替えることで
データの改ざんを防ぎ、紛失のリスクをなくすことができます。

💡 賃貸契約がすべてオンライン上で完結する日はいつかくる
現在、2021年以降の実施を目途に改正法案の作成が進む見込みです。
契約書の電子化も見据えているので、将来は内見、申込、重要事項説明、
契約の全てがオンライン上で完結するようになるかもしれません。

ポータルサイトでも「IT重説対応物件」が検索条件のキーワードに入っているので
入居希望者の間口を広げる一手にもなります。

手元に紙が残る安心感やオンラインの不安なイメージもあるかもしれませんが、
仲介会社などからIT重説やオンラインでの契約について、案内があれば、
一度そうした抵抗感を収め、話を聞いてみることをおすすめします。

 

[民法改正]瑕疵担保責任が変わる

建物に不備があった場合、買主は売主に対してどのよな請求が設けられているのかを旧法と改正民法を踏まえてご紹介いたします。


◆瑕疵担保責任とは
買ったときに気がつかなかった「隠れた欠陥」=「隠れた瑕疵」を対象に、修理費用を求めることができます。修理する部分がひどくて買った目的を達成できない(住宅であれば住むことができない)くらいのレベルであれば契約を解除することもできます。
このような売主などの引渡義務者が、買主などの権利者に対して負う担保責任をいいます。

◆これまでの買主側の請求類型
・契約の解除
・損害賠償請求
の2種類です。これに加え請負契約においては瑕疵修補請求が認められていました。

【改正内容について】
民法改正において請負人の責任は、瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更されます。契約不適合責任により買主への救済手段が増えました。
「瑕疵」という文言は使われなくなり、「契約の内容に適合しないもの」という文言に改められました。
また、契約(債務不履行)責任と整理された結果、契約不適合責任の規定が特定物・不特定物を問わず適用され、契約不適合の対象は原始的瑕疵にかぎられないこととなりました。

◆<改正後>買主側のとり得る手段とは
これまでの
・契約解除
・損害賠償に加え、
・追完請求
・代金減額請求も認められました。
上記が民法改正で決定した4種類の請求方法となります。
※損害賠償請求については、売主の帰責性が必要になりました。

以上の変更に伴い、請負特有の損害賠償請求・瑕疵補修請求について定めた旧法634条は「注文者が受ける利益の割合に応じた報酬」の規定に変更されました 😉

<注意すべき点>
民法改正後を踏まえ気をつけるべきことは、
契約の不適合が発見された際に、注文者・請負人の対応方法が増えたことにより、お互いの意見の相違によるトラブルに注意する必要があるかと思われます。

 💡 トラブルを回避するためには、「追完請求についてはこの2通りのみ」や、「雨漏りに関しては〇万円を上限に減額」といった内容の文言を、あらかじめ契約書に記載しておくと良いでしょう。そうしたことにより、トラブルを回避できるのではないでしょうか 😀

トラブル解決の糸口!知っておきたい賃貸契約のルール

繁忙期も終わり、新しい住人が入って一安心。
というオーナー様も多いかと思います。

しかし、賃貸経営をしていれば、
滞納や騒音などトラブルもたくさん。

今回はそんな、もめ事を最小限にできる賃貸契約のルールについて考えてみました。


■トラブルメーカー予防に定期借家契約が◎
 💡 定期借家契約とは…
定められた期限が来たら賃貸契約は終了。
無条件で入居者を退去させることができます。
期間中にトラブルを起こさなければ、
再契約という形で、長期入居につなげることができます。

管理会社の中には「 😕 定期借家だと入居者が獲得しづらく、家賃も下げないと」と
言うところもありますが、
・トラブルを起こさなければ住み続けられる
・ルールを守らない入居者は満了時に退去させることができる
・トラブルのない住環境を整えるための制度ということを強調することで
 マナーの良い入居者が獲得しやすい
という利点があるので、そこをきちんと説明してほしいと
お願いすることが大事です。

■「もしも」のお金のことをカバーする契約書
 😥 賃貸借契約が完了し、あとは入居のみとなったところでキャンセルになった
この場合、礼金は返さなくてもいいものですが、トラブルにはなりがちなので
契約書に「入居前のキャンセルの場合は礼金は返却しない」ということは
書いておくと無難でしょう。
また家賃一ヵ月分程度なら、違約金も認められるので、
万一に備えて、入れこんでおくとよいでしょう。

😡 入居者が更新料の支払いを拒否している!
更新料については
「協議の上更新することができ、更新の場合は更新料を払う」という
条項があるだけでは更新の方法にとっては更新料が請求できない可能性があります。
更新方法には3種類あります。
①双方の合意により行われる「合意更新」
②合意がなく、借地借家法の規定により行われる「法定更新」
③意義がない場合に合意更新と同じ効果を発生させる旨の
 賃貸契約書の特約に基づく「自動更新」
前述の条項では、法定更新が生じた場合(合意が得られなかった場合)、
更新料が請求できない可能性があります。
特記として「法定更新の場合も更新料を支払う」旨を明記したほうが良いですが、
法定更新を行った場合は、賃貸借契約が期間の定めのない契約になるため、
更新料をとれるのが法廷更新の1回のみになってしまいます。
可能であれば、自動更新条項を契約書に明記し、
自動更新の場合も更新料をとるような内容にしておくべきでしょう。

■こんなときは大家さんの責任!?
😥 入居者からベランダの床が壊れたので修理をした。お金を払ってと言われた!
賃貸借契約書には「必要費および有益費については、賃貸人が費用を負担する」と
記載していても、民法第608条第1項では
「賃貸人が必要費を支出した時、直ちに賃貸人に対し償還を請求することができる」とされています。
特約の効力は制限があり
小修繕を越える修繕については、入居者負担にはできないと考えられます。

😥 建物全体に被害が及ぶ可能性のある漏水が発生!
部屋に入って確認したいが、入居者との連絡がつかないので、不在時に入ったら、
入居者に「侵入した、訴える 👿 」と言われている…
賃貸の契約内容に「借主の承諾なく室内に立ち入ることができる」という特記が
あっても、家主は借主の承諾なく立ち入ることはできません。
無断で立ち入った場合は、住居侵入罪が成立する可能性すらあります。
ただ、今回は「漏水の可能性がある」という状況で、
「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をするときは、
これを(賃借人が)拒むことができない」(民法606条2項)という規定が
適用されることが考えられます。
①郵便受け、電気、水道メーターの状況等を確認し、長期不在であると認められる
②入居者及び連帯保証人に対し、架電、郵便等の方法により連絡を複数回試みた
③一定期間継続して応答がない
これが証明できる証拠を保存しておくと、違法とされる可能性は低くなるでしょう。

🙁 契約者の車が車上荒らしにあった!家主に責任はあるの?
家主は原則として責任を負いません。
駐車場の賃貸借契約における貸主の義務は
駐車スペースを提供することであり、車の管理は義務ではありません。
ただし、「 😕 駐車スペースに他の車が停まっていて使用できない!」
「 👿 車止めが破損していて、駐車する際その破損部で車に傷がついた」など
駐車スペースの使用を妨げるようなことがあれば、警察に対応してもらったり、
破損部を修繕したりなどの責任が発生します。

 

事前にルールを決めたり、対応を知っていると、
素早くトラブルができて、「うちの大家さんはしっかりしているな!」と
評価が高まることもあります。
災いはないほうがよいですが、災い転じて福となすことができるよう、
色々と対応策を考えてみましょう。

不動産価値を高めるポイント~法律知識を取り入れ利回りを上げる方法~

賃料を上げると、利回りが上がるのは当然のことですよね。
利回りが上がれば、不動産物件の価格自体も上がることを
皆様はご存知でしょうか。
不動産価値を高めるためには、賃料の増額が必要です。

今回は、法律知識を上手く取り入れ、賃料を上げる方法を伝授します。

■賃料を上げる方法
一度決めた賃料を増額することは可能なのでしょうか。
これには、法律知識を使った2つの方法があります。

1.前もって、特約で賃料の増額を定めておく
年数に従い、一定の割合で賃料が増額するように定める場合が一般的で、
これを、賃料自動増額特約と言います。

「第〇条 本契約の賃料は、毎年改定され、改定ごとに、
改定前の賃料の〇%を増額する」などと定めます。

2.借地借家法32条の賃料増額請求
この法律を使うと、以下のような流れとなります。
①値上げ要求をして、賃借人に応じてもらう
②叶わない場合、裁判所の調停で協議、合意する
③調停不調の場合には、裁判所に決めてもらう

■特約の効力が否定されることも
将来の賃料の定め方については、基本的には、当事者の自由な合意
任せられています。
その為、賃料自動増額特約は有効とされており、特約に従い賃料を
増額させることが可能です。
但し、特約の効力が否定される場合もあり得ます。
借地借家法32条1項には、「建物の借賃が、土地若しくは建物に
対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇
若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に
比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、
将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」
と規定されています。
賃料自動増額特約がある場合も、こういった賃料増減請求権は
排除されないのです。
賃借人が賃料減額請求をしてきて、裁判所がそれを認定したとすれば
否定されることになります。

■増額請求で賃料を増やす方法
ステップ① 賃料を増額する旨の内容証明郵便を送付
  ↓    ⇒借家人が応じた場合、増額可能
ステップ② 裁判所に調停を申し立てる

  ↓    ⇒話し合いが成立すれば増額可能
ステップ③ 調停が難航した場合、裁判所に訴訟をする
        ⇒勝訴すれば賃料が上がる

☆まとめ☆
法律知識を取り入れ賃料を上げることは、一見複雑な問題に
思えるかもしれませんが、家主と裁判沙汰に至るまで論争を望む借家人は、
そうそう居ないかと思います。
賃料を上げたことで、裁判沙汰のような大事にならないためにも、
一旦、賃料値上げの通知を行うと良いかもしれません。
そして、長期的に良好な関係を築くためにも、日頃のコミュニケーションが
最も大事なことだと言えますね(^_-)-☆

 

 

契約書に連帯保証人の捺印漏れ

▼プロが救う!あなたのピンチ!

『トラブルだ!困ったぁ~!!』 😥 

そんなとき、誤った対処方法をしてしまうと、逆に損害賠償を請求されていまうことも。

自己判断で思い切った行動に出る前に、専門家の見解を聞いて、冷静に適切に対応しましょう。

このコーナーでは、オーナーの皆さまからのご相談事に、プロの先生にお答えいただきます 💡 


☆お答えいただいたのは・・・

弁護士法人アヴァンセリーガルグループ  弁護士 武知 俊輔 先生 

京都大学卒,大阪弁護士会所属。
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任助教在職。
不動産関係のトラブルや企業間の法律問題,その他交通事故・労務問題等,民事一般の事案を幅広く担当。
ご相談はコチラまで⇒http://www.avance-lg.com(弁護士法人アヴァンセリーガルグループ

s-takechi

(武知先生よりメッセージ)
法律家として、クライアントの方々が求めておられる利益の実現のため精一杯尽力するのはもちろんのこと、仕事を通して自らもまた視野や思考の幅を広げ、弁護士という枠にとらわれない柔軟なビジネスパーソンを目指したいと考えています。
敷居の高さを感じることなく、どんなことでもお気軽にご相談ください!
 

【今回の相談】

契約書に連帯保証人の捺印漏れがあり、いつまでたっても契約書が提出されない!!

契約時に契約書の連帯保証人の捺印漏れがあり、後日、捺印して提出してもらう約束で鍵を渡しました。

しかし、何度も督促したのですが、連帯保証人が忙しくて会えないと言われ、それから半年後の今もまだ提出されていません。

現在、手元に契約書も無く、連帯保証人の捺印がない状態です。

今のところは賃料は支払われているものの、このままでは何かあった時が不安です。

この場合、契約不履行で退去してもらうことは可能でしょうか?

 

 💡 武知先生のアンサー! 💡 

契約書の不備や連帯保証人の不存在は,原則として契約解除事由にはなりません!

賃貸借契約を巡るトラブルに発展する事案は,入居時から何らかの問題があることが残念ながら少なくありません。

本来は,トラブルになったときに事案の交通整理をし,合理的な解決を導くための契約書。今回のご質問は,その契約書の取り交わし自体がうまくいかなかったケースですね。

 

この事案については,まず

(1)賃貸借契約が有効に成立しているといえるか

(2)成立しているとしても,これを解除することができないか

という観点から検討してみたいと思います。

 

(1)賃貸借契約が有効に成立しているといえるか

そもそも賃貸借契約は,法的には,貸し手の「賃貸する」意思と,借り手の「賃借する」意思とが合致することのみで成立します。もちろん,賃料をいくらにするかなど,条件面での合意は必要ですが,契約書の作成や連帯保証人の存在は契約成立のための必要条件ではありません。

本件では,賃貸借契約書をきちんと交わせておらず,連帯保証人からも捺印を得られていない状況とのことですが,既に鍵を渡して賃料の収受がスタートしている以上,賃貸借契約が有効に成立していないと主張することは困難です。

 

(2)成立しているとしても,これを解除することができないか

では,貸主による要求にもかかわらず連帯保証人の押印をした契約書を差し入れないことを理由に,賃貸借契約を解除することはできないのでしょうか。

この点,連帯保証契約は,賃貸借契約とは異なり,法律上,書面を交わさなければ効力が認められません(民法446条2項)。

賃貸人側に契約書が残っていなければ、保証契約の成立を立証できないため,何らかの事故が生じたときに、連帯保証人に対して賠償請求を行うことは事実上不可能です。そうすると、このケースでは、連帯保証人がいない不安定な状態のまま存続していることになり、賃貸人としても何とかしたいと考えるのは自然なことでしょう。

 

しかし,賃貸借契約の解除が認められるためには,判例上,「当事者間の信頼関係が破壊された」と評価できるような事実関係が必要であるとされています。

そして,「信頼関係の破壊」を基礎づける最も重要な事情は,数か月間にわたるような賃料の不払い,あるいはそれに準ずるような不義理です。

賃料がきちんと支払われている限り、大概のことでは「信頼関係の破壊」が認められません。契約書が返って来なかろうと、連帯保証人が存在しなかろうと、結局のところ、何らかのトラブルが生じるまでは当該賃借人に対して強制的に退去を求めることは不可能であるということになってしまいます。

 

このようなトラブルは,賃貸借契約の成立を何らかの事情で急いだ結果,きちんとした書面を取り交わさずに鍵渡しを先行してしまったために生じたもので,トラブルの火種を抱え続けることは避けられません。

契約時には,拙速に住宅の引渡しを行うのではなく,必要な書類が全て揃っていることを確認した上で慎重に手続を進めるよう意識すべきでしょう。

 

なお,連帯保証契約について補足すると,契約は「書面」でありさえすればよいので,連帯保証人の捺印は実は不可欠というわけではありません。

しかし,不動産賃貸の実務では連帯保証人の印鑑証明書を添えて契約書に実印を押印するのが一般的ですから,押印がなかったり,三文判での印影しか残されていなかったりすると,トラブルになった際に連帯保証人が「自分が署名したのではない!」と主張する可能性があります。

そうなると,連帯保証人に対する請求が認められない結果も十分にあり得るところで,訴訟になる案件では,このような紛争が想像以上に多いのが実情です。

この観点からも,いくら信用のありそうな相手であっても賃貸時には必要かつ最低限の注意を払うことがいかに重要かはご理解いただけると思います。

 


武知先生、ありがとうございました!

誰でも人を疑ってかかりたくないものなので、信頼関係のもと、手続きを簡略化してしまったり、口約束だけで済ませてしまったり、ということはありますよね。

でも結局、後でトラブルになってしまったら、とても悲しい結末に・・・。

親しい間柄でも、むしろ、信用したい相手だからこそ、きちんと手続きを踏んで、お互いに気持ちの良い関係を続けられるようにすべきなのでは、と私は思います。

弁護士法人アヴァンセリーガルグループ http://www.avance-lg.com

face_03 弁護士 武知 俊輔先生


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