2021年入居者に人気の設備ランキング

毎年恒例、賃貸住宅新聞様から
賃貸住宅の設備について最新のトレンドと入居者ニーズを分析する
「入居者に人気の設備ランキング2021
年版」が発表されました 🙂 
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この一年、コロナ禍によるテレワークやオンライン授業など
ニューノーマルに対応し、家で過ごす時間を
より快適にしようという意識が定着してきました。
そんな中でのお部屋探し、
入居者から需要のある設備はどのように変化しているのか、見てみましょう 😎 


2021 あれば設備

まずは「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」ランキング。

首位は単身向け・ファミリー向けともに「インターネット無料」
こちらは6年連続1位で、圧倒的に支持されています 。
ステイホームで仕事やプライベート共にインターネット利用が進む一方
通信速度などの質を求められています。
人気の裏でクレームの多い設備「ネット無料」「宅配ボックス」
ネット導入で気になる物件の通信速度

今回初登場した項目の「高速インターネット」
IT関係の会社に勤める入居者からの要望が多いようです。
ファイルをアップロードするために100MBPs以上ほしい
具体的な数値を希望する入居者も少なくないため、
需要があれば多少家賃が上がっても喜ばれるかもしれません。

物件によっては追加料金でさらに通信速度をあげられるサービスを
案内しているところもあるそう。
しっかりオーナー側でも知識を持って、対応したいですね。

今回単身向け物件では順位を上げ、
ファミリー向けでは1つ順位を下げたのが「宅配ボックス」
数年前からニーズがあり、コロナ禍から非接触でも受け取れるメリットがあるほか、
仕事などで留守にしていても利用できることから上位をキープしています。 

同じく上位をキープしているのが「エントランスのオートロック」
ファミリー向けはもちろん、単身者や特に女性の入居者が安心できるほか
県外からの転勤者の防犯意識にも需要があるようです 😀 

2021ないと設備

次に「この設備がなければ決まらない」ランキング。
ファミリー向けで首位に躍り出たのは「テレビモニター付きインターホン」です。
コロナ禍で在宅時間が増え、さらに子どもだけ留守番させる機会も増えたため
セキュリティ設備として需要が高まったようです。
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また、単身向けでは
「洗浄機能付き便座」「宅配ボックス」がいずれも順位を1つ上げています。
更に、こちらにも初登場の項目「高速インターネット」が9位にランクインしてます。
単身の学生や社会人の入居者からも
家に対する関心が大きく反映された結果になってます。

その他単身向け・ファミリー向けともに大きく順位は変化がないものの
「室内洗濯機置き場」「独立洗面台」が根強い人気を保ってます。
洗濯機は決して安い買い物ではないため、耐久年数を考えると、室内洗濯機置き場は
ファミリー・単身者ともになくてはならない設備となっているようです。
もはやあって当たり前 😯 ?という声も。。。

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改めてランキング全体をみると、
昨年の右も左もわからなかったコロナ禍当初よりもステイホームが板につき、
快適に過ごすための設備に入居者のこだわりがより出てきたことを感じます。

もしも、入居がなかなか決まらない・空室が多いなどお困りであれば
まずは「お家時間」に特化した設備を見直してみてはいかがでしょうか 💡 
入居者に喜んでもらえれば、結果的に家賃が多少高くても
長く住んでくれたり、余計なストレスがなくトラブルが減ったりと
いい方向に進むかもしれません  😉 

どうする?隣の家から枝が伸びて、敷地内に…

オーナーとして賃貸物件にも、隣地の方とのトラブルが時折あるかと思います。
対応が難しいもののひとつに「敷地を超えてはみ出している樹木」があります。

バルコニーやベランダからの見晴らしが阻害されたり、
植えられた樹木から落ち葉や虫が落ちるような状態だと、
入居者さんにも迷惑が掛かってしまいます。

しかし、民法でも越境した枝を隣人が勝手に切ってはいけない。と定められており、
樹木の所有者に剪定するようお願いをするしかありませんでした。

しかし、民法233条の改正により、枝の切除に関するルールが変わろうとしています。
今回は、新たに定められる樹木トラブルに関する法律と
今できるトラブル解決のヒントをお伝えします。


まずは現状の越境樹木の対応方法について見てみましょう。

💡 民法第233条(竹木の切除及び根の切り取り)
1.隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、
  その竹木の所有者にその枝を切除させることができる
2.隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

根については、自身の判断で切り取ることができますが、
枝については、越境していても勝手に切ってはいけません。

😕 こっちが迷惑してるのに、なんで切っちゃいけないの?

枝が越境しているだけで樹木の所有者に、枝を切るように強制するのは
民法第1条第3項で禁止されている「権利の濫用」に当たると考えられるからです。

枝を切るようにお願いするにしても、
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・落ち葉でバルコニーの排水口が詰まってしまう
・落ち葉で建物が腐食するなどの劣化被害が起きている
・枝に虫が大量に集まり、害虫の駆除をしなくてはならない状態が起きている
・枝が伸びてきて、屋根や外壁などに傷がつく
など、実害が起きている場合にのみ切るよう請求することができます。
それでも、勝手に切ることはできません。

■新しい枝の切除に関するルール(民法新233条)について
2021年に成立した民法改正法。施行日はまだ確定していませんが、
公布から2年以内の施行とされていますので、
2023年4月頃に施行されるとみられています。

💡 改正後の民法第233条(竹木の切除及び根の切り取り)
1.土地の所有者は隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、
  その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2.前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、
  各共有者は、その枝を切り取ることができる。
3.第一項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は
 その枝を切り取ることができる。
・竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、
 竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
・竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
・急迫の事情があるとき。
4.隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

注目したいのは民法新233条2項と同条3項です。
〇共有の竹木の取扱い――単独で切除可(民法新233条2項関係)
この規定によって、越境されている側の土地の所有者としても、
共有者の一人に対し、枝を切除させることについての給付判決を得れば、
代替執行の方法により強制執行をすることができるようになります。
改正前は共有者全員から債務名義を取得する必要があったため、
手続きが簡単になります。
〇越境された側で切除可能なルールの導入(民法新233条3項関係)
越境された土地所有者の方が
越境した枝を自ら切り取ることができるという特則が追加されました。
この規定によって、たとえ隣地が所有者不明土地であっても、
適切に対処することが可能になります。

■現状のトラブルはどうしていくか
そうはいっても、落ち葉の季節を迎えた今、
枝で困らされてる方もいらっしゃるでしょう。
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そもそも、どうして枝の伐採対応をしてもらえないのか…。
・理由があって切ってくれない
😕 切ると枯れてしまうかもしれない  
👿 先祖代々からある木。ご神木のようなものだから切ったらなにがあるか!
と色々な思いがあって、対応してくれない人がいます。
そういった場合は「切断」するのではなく、
縄などで縛り、枝の向きや伸びていく方向を変えて、
越境しないようにすることができるので、提案してみるとよいでしょう。
・切るのが面倒。大変。
そもそも、所有している樹木を伸び放題にしている人は、
樹木を大切にせず、管理ができていない人が多いです。
自分で切るのも面倒。業者を探すのもおっくうだ。
そんな方には
 🙂 差し支えがなければ、代わりに枝を切らせてもらえませんか?
 😛 剪定の業者をご紹介するので、切ってもらえませんか?
などの、こちらから歩み寄る姿勢で対応をし、
何をすれば切ってもらえるのか、探って、トラブルにつながらないような対応を
心がけた方が良いでしょう。

相手が「枝を切っていい」と承諾したときは、自身で切っても大丈夫です。
ただ口頭のみの合意は後から「そんなことは言っていない」と言われたり、
「切りすぎじゃないか!」と怒られ、トラブルに繋がる恐れもあります。
事前に書面での合意を交わし、切る前の写真を見ながら、
どこまで切ってよいか相談しましょう。
また枝の処分方法や切ったことで樹木にトラブルが起こった時の対応なども
取り決めておいた方がいいです。

 

 💡 木を切って問題ないこともあります
たとえば、倒壊しそうな古木があり、
・風などで通り道がふさがれそう
・屋根や外壁、場合によっては人を傷つける可能性がありそう
といった事故につながりそうな場合は、
安全確保のためのやむを得ない緊急措置として
越境した木の剪定や伐採が認められることもあります。

こちらも民法に規定されているので、いざという時のために覚えておきましょう。
■民法第717条 土地の工作物等の占有者及び所有者の責任
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の所有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、
所有者がその損害を賠償しなければならない。
■民法第717条2項
前項の規定は、竹木の植栽又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
■民法第717条3項
前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、
占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
■民法第720 条 正当防衛及び緊急避難
他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を
防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。
ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。
■民法第720 条2項
前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるため
その物を損傷した場合について準用する。

樹木の越境によって物件に影響が出ている場合、
瑕疵にあたりますので伐採や剪定を行っても法律によって保護されます。
ただし「瑕疵を起こしている部分以上の伐採を行った」
受け止められた場合は、トラブルにつながりますので、
状況を説明して、伐採の許可はとったほうがよいです。

・土地の所有者と連絡が取れない場合は家庭裁判所へ
土地の所有者と連絡が取れなかったり、行方不明の場合は
家庭裁判所へ不在者の財産管理人の選任の申立てを行い、
財産管理人に切除を請求することができます。
こちらも民法第25条に
「連絡が取れない所在不明の方に代わって、管理を行ってくれる」ということで
規定されています。

 
賃貸物件の隣に住む人たちは、大家さんが知らない苦労や
入居者とのトラブルもあるかもしれません。
騒音やゴミ問題、駐車・駐輪などなど、
お互いさまで目をつぶってもらっているところもある可能性もあります。
ご挨拶に行くなど、日ごろから関係性を築くよう、心がけていきましょう。

老朽マンションの建て替え促進策導入へ

老朽化マンションの再生促進を目的として、7月に
国土交通省は、古くなったマンションの建て替え促進策を導入すると発表しました。
新たな老朽化マンションの再生促進策(案)について(国土交通省)

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これは老朽化マンションの建て替えについて、区分所有者間の合意形成が
進まないことなどを理由に、
老朽化マンションが放置されるという問題を解決する狙いがあります。

去年には「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の改正法が成立し、
合意形成の条件が緩和、住民の合意を促し、
建て替えや敷地売却がしやすくなるよう、働きかけています。

現在区分マンションを所有している人や、
これから区分マンションを購入するという人は、
ぜひチェックしてほしいこの「老朽マンションの建て替え促進案」について
調べてみました。


■築40年超のマンションが急増傾向!進まぬ新陳代謝
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築40年超のマンションは約81万戸存在しますが、
これが2030年には2倍強の約198万戸、2040年には4.5倍の約367万戸となるなど、
10年ごとに倍々で急増することが明らかとなっています。
今後は築年数が相当経過しているにもかかわらず
老朽化対策の不備や管理組合の担い手不足が顕著なマンションも
急増することが確実視されています。

そのため2020年には関連する二つの法案の改正が可決しました。
 💡 主な改正ポイント
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)
1.国による基本方針の策定:
マンション管理の適正化の推進を図るための基本的方針を策定
2.地方自治体によるマンション管理適正化の推進:
①マンション管理適正化推進計画の策定(任意)→③へ
②必要に応じて管理組合に対する指導・助言の実施
③各マンション管理組合が策定した管理計画の認定

「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」(マンション建替え円滑化法)
1.除却の必要性に関する認定対象の拡充:現行の耐震性不足に加えて、
  外壁の剝落の危険があるマンション、バリアフリー性能が確保されていない
  マンションを追加
2.団地における敷地分割制度の創設:要除却認定を受けた団地において、
  敷地共有者の4/5以上の同意によりマンション敷地の分割を可能とする制度を創設

■改正後も建替えは簡単ではない
建替えに同意が得られない理由としては
1.老朽化で問題があっても、部屋に住み続けていない
2.建替えではなく、修繕で対応できないかと考えている
3.建て替えにかかる区分所有者の平均負担額は約1000万円と重く、実現できない
といった理由があります。
特に大きな問題となるのが、3の資金面です。

そこで今年7月、新たに打ち出された促進策が
「建物の階数を増やせる特例」です。

■建替えの資金作りに…促進策の導入
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現在、マンションの建て替えに際し、階数を増やせるのは、
1981年以前の旧耐震基準で建設された「耐震不足」の物件に限られています。
国交省は省令・告示の改正により、
「外壁の劣化」「防火体制の不足」「配管設備の劣化」「バリアフリー未対応」
の4要件を新たに加え、いずれか一つに該当すれば
容積率を緩和する特例を受けられるようにする促進策を
年内に導入するよう調整しています。

各要件にも規定があり、
・外壁の劣化▶ひび割れやはがれが一定以上あること
・防火体制の不足▶非常用進入口の未設置 など
・配管設備の劣化▶天井裏の排水管で2か所以上の漏水
・バリアフリー未対応▶3階建て以上の物件でエレベーターがない
           各戸玄関の幅が75センチ未満 など
これらはいずれも、建物の規模に応じ、
1級建築士などの有資格者が調査、判断します。

建物の階数を増やせる特例を受けやすくすることで、
増床分を販売できるようにすることで、販売したお金を建替え金に充てることが
想定されています。

住民は引き続き、建て替え後のマンションに住んだり、他人に貸したりできます。

とはいえ、法改正後の内容を見ると、一部の住民の意見を無視する形で
建て替えを決めるケースも想定されます。
古い物件であればあるほど、高齢者が住んでいることが多く、
引っ越しにかかる費用や体力的な負担も考えると、
同意を得ることが難しい場合もあるでしょう。

対象物件、あるいは今後対象物件となる部屋を所有しているオーナーさんは
将来を見据えて、今後の動きを管理組合や物件所有者、入居者と共に
考えていく必要があることを覚えておきましょう。

無料インターネットは必須じゃない?代わりに必要なものは?

家で過ごす人が増え、ご飯を食べるにも、テレビを見るにも、
人とおしゃべりするにも、なにかとインターネットの出番が増えました。
あって当然?「インターネット無料物件」でもご紹介した通り、
インターネット無料物件の需要は増え続けています。

しかし、インターネットの活用が多岐にわたる中で
 🙂 「無料回線がなくてもいい」という人たちもいます。

無料インターネットがなくても借りてくれる人とはどんな人たちか。
代わりにどんな条件を求めているか、調べてみました。


インターネット接続割合賃貸居住者の生活実態と設備切望度に関する調査(2020年)より/出典:リクルート住まいカンパニー

リクルート住まいカンパニーの調査を見ると、
利用割合として最も多いのが「有料契約(有線)」
シングル女性世帯以外すべての世帯でトップでした。
女性の方が設備や築年数などにこだわってお部屋選びをしているのかもしれません。
次いで「無料インターネット」が2番目の利用になっています。

無料インターネット
賃貸居住者の生活実態と設備切望度に関する調査(2020年)より/出典:リクルート住まいカンパニー

では実際、無料インターネットは契約に影響を与えているのか見てみると
無料インターネット付のお部屋を借りた人の63%が
「無料インターネットがなくても借りる」と回答していて、
特にファミリー層は約76%の人が気にせず借りると回答がありました。

■気になる無料インターネット付物件のデメリット
人気の裏でクレームの多い設備「ネット無料」「宅配ボックス」でも
取り上げましたが、「インターネットの速度が遅い」というクレームは
どんどん増えています。
特に仕事や趣味にインターネットを使う人たちは
インターネットの速度や品質を求めていて、
😐 好きな回線・プロバイダを自分で選べない
👿 自分で新たに契約するのは、二重支払いのようになって損じゃないか
😕 もともとあるインターネットの契約のせいで、自分で新たに契約できない
と不満を抱える人もいます。
そういった人たちにとっては、むしろインターネットがついていない物件のほうが
嬉しいのかもしれません。

■「インターネット接続可」の詳細を提供
無料インターネットがついていなくても、気にせず借りる人は多いですが
完全にインターネットが接続できない物件については、
避ける方も多いかもしれません。
持ち歩けるモバイルWi-Fiルーター(ポータブル)をレンタルしている人や
スマホで事足りる 😉 という人もいますが、
若い方・複数人でインターネットを利用するファミリー層の生活には
もはやインターネットはなくてはならないものです。

よっぽどのことがない限りは、
インターネットが接続できる環境を整えた方がいいでしょう。

賃貸物件のポータルサイトには「インターネット接続可」のチェックがあります。
これについても、細かな違いがあり
ネット導入で気になる物件の通信速度でも解説しているのですが、
■建物に引き込んでくるところまでは光ファイバーを利用して、
  各お部屋の中へは電話線(メタル線)を使用しているのがVDSL方式
■お部屋の中まで光ファイバーを使用している光配線方式
■お部屋までLAN配線を使用しているのがLAN配線方式
■ケーブルテレビの配線を利用するCATVインターネット
と種類があり、建物の構造によっては選べないものもあります。

無料インターネットも同様ですが、
トラブルがないように、どの方式なのか。
業者や実際の使い心地などは、お部屋の仕様と共にお伝えできるようにしましょう。

また今後無料インターネットを導入する際は
物件のお部屋の数や入居者層をきちんと把握して
安かろう悪かろうの契約を結ばないように慎重に検討しましょう!