テナント用の店舗契約時のポイント!

賃貸マンションの一部が貸店舗になっていることは珍しくありません。
しかし、住居用と同じ感覚でいると、トラブルにつながることも… 🙁 
今回はテナント契約時のポイントについて考えてみました。
店舗がないオーナー様も何かあったときの参考にしていただければと思います 💡

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物件を住居用に貸す場合とテナント用に貸す場合、
大きく異なるのは、契約を結ぶ相手が「個人」か「事業者」かということです。
借主が個人であっても、営利・非営利関わらず
事業用に貸すのであれば「事業者」になります。

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住居用と違い、「事業者」同士の契約は
契約書」がすべてになるので契約の内容について
しっかり考える必要がありそうです。

■解約の条件を設ける

オーナー様としては、少しでも長く入居してほしいものですが、
テナントの経営状況により設定した期間より早く退去になる可能性があります。
また、住居用の賃貸借契約と同じように、又貸しが起きた場合や
家賃の滞納があった際に、オーナー様側からも
解約が可能になるようにしておくことも大事です。
トラブルがないように、解約は家主と入居テナントの双方からできるように
記載しておくと良いかもしれません 🙂 

さらに、テナント側から途中解約をされた場合、
違約金」の金額はトラブルになりやすいです。
相場は契約残存期間の賃料1年間分らしいですが、実際に裁判になった場合、
ケースによっては高額な違約金と、次の入居がすぐに決まったことによる
二重払いに近い結果となることから家主側の暴利行為と判断されたことも 🙁 

また、別のケースでは残存期間の賃料支払い約定は
賃借人が認識していたと認められ、賃借人が有利な賃借のためあえて賃借人のために保証したと判断されたりと、判例は様々なようです。

民法は、「契約自由の原則」のもとにあるので、
公序良俗(暴利行為)や強行法規に反しない限り、
契約は当事者が自由に締結できると定められています。

大事なのは、裁判所で無知につけこむ暴利行為だと判断されないために
入居するテナント側が契約内容をしっかり理解していることです 💡 
特約条項として記すだけでなく、「重要事項」の説明として明確に記載し、
テナントから了承の著名・押印を受け取っておく必要がありそうです。

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■設備の取り扱いについて明確にしておく

住居用の場合、家具家電などの設備がないことが多いかと思います。
備え付けるときはメンテナンスは家主側が行うか、入居者にプレゼントし
あとの維持管理は入居者にしてもらうようにしていることが多いと思います。
しかし、テナント用の不動産の場合、空調や電気設備などの使用頻度が異なるため
頻繁なメンテナンスが必要になることも。。。
入退去に伴い、設備の設置や維持管理をどちらが行うのかを
しっかり決めておくことが大切です。それと同時に、原状回復のやり方や度合いも
明確にしておいたほうが後のトラブルを避けることができそうです。

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■家賃の発生日を決める

通常の賃貸マンションは、物件の引き渡し日から家賃が発生します。
テナントの場合でも、同じように契約で定めることが可能です。
ただし店舗の場合は、物件を引き渡した後に店舗業務のための
内装・外装工事が入ります。
当然、リフォーム期間はテナント側の収益は発生しません。
そのため、テナント側から工事期間中はフリーレントにしてほしいと
交渉が入りがちです。
テナントが営業できない期間中、家賃をどうするのかを
契約前に入居テナントと認識合わせをしておくことが必要です。
揉めないためにも、しっかり条件を明確にするといいと思います。

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建物を「住居用」に借りるのか、「事業用」に借りるのかで
契約の仕方は大きく変わりますが、
契約時に認識の齟齬がないようにしたいのは同じです。

これから本格的に繁忙期を迎えますが
トラブルにならないように、入居希望者と話すのはもちろん、
改めて契約内容を確認し、管理会社とお話ししてみてはいかがでしょうか 😉 

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長引くコロナ。未払い賃料の行方は?

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年末にオミクロン株が日本国内でも観測され、年明けの今は全国で感染者が日々増加。東京都は上野動物園の閉園を決めました。図書館とスポーツ施設以外の都立施設は原則として閉館するとの事で、またしても経済活動に陰りが見えてきています。

コロナの驚異が世界に広がった事で経済的に困窮している人が増加しました。
以前にコロナショック!「家賃減額」への対応は?でも紹介したように、
また同じように賃料の支払いが滞っているところもあるのではないでしょうか。

東京地裁では、双方の合意なしに賃料の半額が約半年の間支払われなかった案件に対し、貸主の主張を全面的に認め、借り主に対する支払い義務を認めました

本件のポイントは、「合意が取れていない状況」「施設が閉鎖されていたわけではなかった」というところです。

当事者間で合意がある場合はその取り決めに従う事となりますが、合意がない場合でも、テナントが入っている施設が閉鎖または使用が許可されていなかった場合には、テナント側は賃料支払い義務を負わない事になると考えられます。


◆テナントがコロナの影響により営業を休止した場合、賃料は減額されるか否か。◆

1.当事者間であらかじめ合意している場合には、その取り決めによる。

2.別段の合意がない場合
 ・・・オーナーは賃貸物件の使用を許容しているにも関わらず、テナントが営業を休止している場合には、テナントは賃料支払い義務を免れないものと考える。
 ・・・オーナーが施設を閉鎖し、テナントが賃貸物件に入れず、全く使用できないような場合には、テナントは賃料支払い義務を負わないことになると考えられる。


賃料支払義務の全てまたは一部が消滅するか否かが争点でしたが、裁判所は、緊急事態宣言及びそれに伴う休業要請は法的な強制力を有するものではなく、引き続き店舗を使用できる状態にあった、という判断に至ったようです。


<<参考>>

民法611条
1.賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

2.賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

民法第536条
1.当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

2.債権者の責に帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。


対個人の場合はどうでしょうか。

今までは概ね3ヶ月以上の賃料の不払いであれば、信頼関係の破壊として賃貸借契約の解除を認めてくれる裁判官も多かったのですが、昨今の状況によって判断に変化が生じており、事業者だけでなく一般入居者であっても信頼関係の破壊とは言えないと判断される事もあるようです。


法務省では「賃貸借契約に関する民事上のルール」をWEB上に公開しています。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00050.html


困っている入居者や事業者を助けたいという気持ちの反面、とはいっても自分たちの首が締まるような状況は避けたいですよね。
もし賃借人との信頼関係が築けそうにないようであれば、契約解除に向けて慎重かつスピーディに動いていくしかありません。

まずは、滞納にいち早く気づいて入金がない旨を連絡していくのが大切です。ここで信頼関係が築ける相手なのかどうかを見極めたいところですね。こちらに不備がないよう、丁寧な対応を心がけるとよさそうです。
初期段階での対応の結果、信頼関係を築くのは難しい相手だった場合には、内容証明郵便を使用した督促状を送ったり、場合によっては訴訟も視野に入れた契約解除を通達しなければなりません。

まだまだコロナの収束が見えない今、一度滞納が発生した時のことを想定して、対応フローを作っておくといざという時に焦らなくて済みそうです。その際、どうしても法律が絡んできますので、信頼できる弁護士を見つけておくとより一層安心できそうですね。

ホープハウスではお付き合いのある各種士業の先生方がおりますので、紹介して欲しいなどのご希望がございましたら一度ご相談ください。