誰にもみとられず1人暮らしの自宅で亡くなる「孤独死」。
令和6年の推計値でも、孤独死は年間で31,843件も発生していました。(※死後4日以上経過していた件数での統計)
孤独死というと高齢者の方のイメージがある方も多いと思いますが、30代までの若者の孤独死が505件と、決して少なくはない件数が発生しており、現代様々な年代に直面する問題となってきていることがわかります。
孤独死が発生した場合どうすればいいのでしょうか。賃貸オーナー様には迅速かつ適切な対応が求められます。孤独死が発生した際の具体的な対応手順と注意点を見ていきましょう。

警察への通報と家族や関係者への連絡
孤独死が疑われる場合、まずは警察へ通報する必要があります。これは法律で義務付けられているため、必ず行わなければなりません。
警察の確認が終わった後に、入居者の家族や関係者に連絡をします。連絡先が不明な場合は、警察や自治体の協力を得て情報を収集する必要が出てきます。遺族が現場に来ることが難しい場合には、遺品の整理などについても相談しておくと良いかもしれませんね。
現場の封鎖と清掃
孤独死が発生した現場は、衛生的な理由から一時的に封鎖する必要があります。特に、腐敗が進んでいる場合や感染症のリスクがある場合は、通常の清掃では対応できないため、特殊清掃業者に依頼することになります。
<特殊清掃業者とは>
遺体の腐敗によって発生した汚れや臭いを完全に除去し、現場を衛生的に保ってくれる掃除業者です。
特殊清掃が終わった後も、必要に応じて現場全体の消毒と消臭が必要になって来ることもあります。次の入居者が安心して住める環境を整えるためにも重要ですね。
賃貸借契約の終了手続きと保険対応
入居者が孤独死した場合、その賃貸借契約は終了しますので、遺族との間で、契約終了に伴う手続きを進めます。場合によっては、未払いの家賃や敷金の返還などについても話し合う必要がでてきます。
賃貸オーナー様が孤独死による損害をカバーする保険に加入している場合、保険会社に連絡し、損害賠償の手続きを進めていく事になります。保険金の請求には、警察の報告書や清掃業者の請求書などが必要となるため、必要な書類を準備しておきましょう。
次の入居者への対応
・リフォームと修繕
次の入居者が安心して住めるようにリフォームや修繕を行いましょう。特に、特殊清掃だけでは対応できない部分については、リフォーム業者に依頼して修繕を行うのがベターです。
・公示と説明義務
病死や老衰は自然死であり、不自然な死に該当しないため、原則として告知義務の対象にはなりませんが、亡くなってから発見までに時間が経っていたような特殊清掃が入る必要があった場合や、自然死であっても、事件性や周知性、社会に与えた影響などが高いと考えられる場合は、告げる必要があるとされています。これは後々のトラブルを避けるためにも重要になってきます。
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孤独死が発生した際、上記のような対応をする必要があり、賃貸オーナーには多くの責任と義務が生じます。事前に予防策を講じる事で、いくぶんかそのリスクを減らす事ができるかもしれません。
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・見守りサービス
例えば、スマートホームデバイスやセンサーを活用し、異常があれば迅速に対応できる体制を整えておくような見守りサービスを導入することで迅速な対応が可能となり孤独死を未然に防いだり、素早く発見できたりする可能性が高まります。
・コミュニティの形成
入居者同士のコミュニティを形成し、孤立を防ぐことも効果的かもしれません。定期的な交流会やイベントを開催することで、入居者同士のつながりを強化し、孤独死のリスクや発生時の早期発見に繋がりやすくなります。
・入居者の健康チェック
特に高齢者の入居者に対しては、定期的な健康チェックを行うことも有効です。地域の医療機関や福祉団体と連携し、入居者の健康状態を把握することで、早期発見と対応が可能になります。
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高齢者だけでなく、若年層でも孤独死が増えている昨今。所有物件でもいつか起こるものと考えて事前に準備しておけば、いざ直面した際に慌てず対処ができそうです。孤独死が発生した際の対応は多岐にわたるため、信頼できる専門業者や地域の支援機関と連携しスムーズに対応できるようにしておきたいですね。























