知っておきたい…貸借契約の更新時のトラブルと対応

賃貸経営をするうえで必ず必要な賃貸借契約の『更新』!
更新の際は入居者トラブルも少なくありません。
トラブルを避けるため、しっかりと所有物件の契約内容を確認し、
更新時の際に注意する点などをおさえてきましょう。


更新を機に転居を検討する方がいるのは事実ですが、
更新時には家賃の見直しや、物件の使用目的など、
契約について改めて見直すことが出来ます 😀 

 💡 大家さんから見た更新時のメリット
①更新時は問題のある入居者に退去を促せる良い機会。
②更新料を徴収できる。
③入居者の状況・生存確認。

①更新時は問題のある入居者に退去を促せる良い機会。
借り主と折り合いが悪かったり、また賃貸物件にも関わらず
事務所や民泊として自分の好きなように使用していたという問題のあるケース。
ほかにも、老朽化によって建て替えの必要があったりする場合は、
家主様から借り主に立ち退きをお願いすることができます。
 ➡ 立ち退きの注意点
>普通借家契約の場合、ただ更新を拒否する旨を伝えただけで、
契約終了までに更新の合意に至らなかった場合は、
従前と同じ契約条件で契約更新されたものとするという
「法定更新(自動更新)」が適用されます。(借地借家法より)
そのため、立ち退きを求めたい場合は以下のことを考慮しましょう。
・立ち退きを求めることができるのは、賃貸借契約の期間が満了した場合。
・賃貸人が解約申し入れをして6カ月が経過した時。
(そのためには「正当事由」が必要です。正当事由を補完するためには、
立退料の支払いも必要であると考えられています)

スムーズに立ち退いてもらうには、明け渡しまでの家賃の免除や、
原状回復費用の負担の免除など、相手のメリットの高くなる提案をすると
話がまとまりやすくなるでしょう。

②更新料を徴収できる。
更新料に決まりはなく、2年更新で更新料は1カ月というパターンが
もっとも多いです。
「 😕 昔からの慣習でしょ。払う必要ないんじゃない?」
という入居者さんも中にはいるかもしれませんが、
最高裁は2011年7月に次のような判決を下しています。

「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条により無効ということはできないとされる」

つまり、きちんと事前に契約が締結され、家賃の額や更新期間に対して
高すぎなければ更新料は無効にはできない、ということです。
今はコロナ禍で減額や分割払いなどの交渉もあるかもしれません。
それに対応する場合は、必ず契約書にその旨を記載して、
トラブルにならないよう、きちんと準備して更新に臨みましょう。

③入居者の状況・生存確認。
高齢者やひとり親世帯、障がい者や外国人などの要援護者については特に
現在の状況や保証人などを確認しなくてはなりません。
今回は今後増加する傾向にある高齢者世帯の更新のポイントをご紹介します。 

■高齢者の更新時に注意する点
保険や見守りなどで孤独死事故をカバーできるか
親族の連絡先に変更はないか
入居者が認知症になった際に誰に相談できるか etc

実は高齢単身世帯のうち33.5パーセントは借家を利用しています。
複数物件を持っている人、築年数の古い物件を持つ家主さんの中には
「更新して気付かなかったが、実は入居者が高齢者だった」と言う事例もあります。
高齢者が入居する物件で懸念されることのひとつが、「孤独死」です。
大阪府警の調査によると大阪府内で「孤独死」が2019年の1年間で2,996人にも上り、約71パーセントが65歳以上の高齢者でした。

※↓↓孤独死については、前回の記事でも、詳しくご紹介しております。
自然死は事故物件にならない!?高齢者賃貸を考える

 💡 高齢者の孤独死については保険、見守り危機を使えばカバーが可能なので、
万が一を備え対策のひとつとして考えておくのもよいでしょう。

また、軽度な認知症であれば問題ないが、重度の場合は漏水や
入居者同士のトラブルに発展することも考えられます。
最悪の場合、グループホームへの転居をお願いするといったこともありえます。
 💡 最悪の場合を避けるため、事前に物件近くの
地域包括支援センターや行政窓口へ相談しておくのも良いでしょう。

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入居者にとっては更新料の負担は大きいですが、
家主様にとっては収益を上げる、今後の賃貸経営を見直す、
入居者の生活状況などが再度把握できる点があります。

特に注意が必要な方については、管理会社とも連携し、
封書だけでのやりとりではなく、
電話などしっかりと入居者とのコミュニケーションをとって、
一緒に契約の内容を確認してみるのもいいのではないでしょうか 😀