「給湯器を点検する」と称して不安をあおり、
高額な給湯器への交換を迫られたとする被害相談が増えています。
国民生活センターの発表では、悪質な給湯器点検商法による被害の相談件数が
2023年度ではその前の期の3倍に達することが分かりました。
給湯器点検商法はこれまで問題になっていた
屋根点検商法と似ている点が多くあります。
屋根点検商法で騙せなくなった悪質事業者が
新たに給湯器に目を付けたのではないかと言われており、
相談件数は年々増加の一途をたどっています。
賃貸物件では、給湯器の交換は大家さんの仕事であり、
入居者が勝手に給湯器を交換することはほぼないと言えますが、
設備交換が大家さんの仕事であるということを知らない入居者さんや
口車に乗せられて、詐欺の被害にあう方もいます。
戸建ての賃貸物件は特に注意が必要です。
また集合住宅の場合、騙されやすい入居者が集まる、詐欺をしやすい物件と認識されると
業者を装った強盗・暴漢が敷地に入り込み、事件に発展することもあります。
今回は物件も入居者も守るために、話題の給湯器点検商法についてお知らせします。
■給湯器点検商法の流れ
①電話や訪問で突然給湯器の点検を持ちかける
「古くなっており、いつ壊れてもおかしくない」
「マンションの全室で点検を行っている」
「法令で決まっている定期点検。自治体から委託を受けて、点検しなくてはいけない」
「事前に工事の案内を管理会社からお渡しさせていただきました(実際には渡していない)」
と、対面で話すためにアポイントを取ってきます。
②不安やお得感を煽り、早期に契約を迫る
「今替えたらお安くしますよ」
「同マンション内でまとめ工事を行うので、お安くできますよ」
「劣化しているので火災の心配もあります」
と給湯器の交換を迫り、高額な給湯器を売りこんできます。
■給湯器点検商法の特徴
冒頭でもお伝えした通り、給湯器点検商法は
これまで問題になっていた屋根点検商法と似ている点が多くあります。
・不安をあおって高額商品を売りつける
・今ならお得と言い、販売する
ただ屋根点検商法との違いは訪問販売だけでなく、
電話などで事前にアポをとりつける事例が多いと言う事。
オーナーさんはもちろん、固定電話を持つ年配の入居者は特に気を付けてあげなくてはいけません。
■詐欺対策にどうするか
賃貸物件と分かると、引き下がる詐欺業者は多くいますが、
詐欺と知らずに点検を受け、不安を煽られた入居者の中には
「点検業者がこう言ってた!今すぐ変えて!」
「不調があるのに、変えてくれない」
と不信に思う人もいます。
そのため、こうした詐欺があることは前もって周知するとスムーズでしょう。
・注意喚起を行う
国民生活センターから、注意喚起用の画像が公開されているので、
ぜひ活用していきましょう。
また改めて、設備の不備については、管理会社や大家さんに連絡することを案内してあげると
親切です。
・詐欺業者が立ち寄らない物件づくり
注意喚起の掲示はもちろんのこと、「悪質な訪問販売お断り!」という
掲示があるだけで、訪問してくる数は確実に減ります。
他にも監視カメラ、オートロックは効果抜群。
特にオートロックは、インターホン対応でわざわざ外に出て来いという業者は
いないので、断りやすいです。
・入居者の断る技術を育てる
どんなに対策をしても、やり手の営業マンやプロの詐欺師が
入居者に接近することがあります。
・住居に関する重要なお知らせがある時は管理会社や大家さんから連絡があること
・それ以外の業者からご連絡する時は前段階で管理会社や大家さんから連絡すること
・基本はインターホン越しに対応する
・電話でのアポイントは着信した電話番号をしっかり確認すること
管理会社や大家さん以外であれば、折り返し連絡をしたり、検索で
信用できる相手かチェックする
・訪問日を決めろと言われた時は「耳が悪いので案内状をポストに入れてくれないか」
と言ってみる
・不安や不明なことがあったら、一度管理会社や大家さんに連絡する
といった知識があるだけで、入居者の意識もだいぶ変わります。
注意喚起や契約更新の時の話のネタとして、伝えてみましょう。
万一自宅で契約しても8日以内なら解約できます(クーリングオフ制度)
ご自身や入居者さんで不安に思うことがあれば、下記相談先へ連絡してみましょう。
消費者ホットライン(全国統一番号)・・・局番なしの『188』(いやや)
上記にかけても繋がらない場合は、
国民生活センター平日バックアップ相談・・・03-3446-1623
10時~12時、13時~16時(土日祝日、年末年始を除く)
参考▶給湯器の点検にご注意ください-70歳以上の高齢者を中心にトラブル急増!-(発表情報)_国民生活センター (kokusen.go.jp)