政府は3月8日の閣議で、単身高齢者や障害者といった要配慮者の住まい確保を進める
住宅セーフティーネット法などの改正案を決定しました。
社会福祉法人などによる見守りや安否確認機能が付いた
賃貸の「居住サポート住宅」を自治体が認定する制度を新設。
要配慮者の家賃債務保証を担う業者を国が認定する仕組みも設け、
高齢者らが入居しやすい環境を整える支援策も進められています。
孤独死後の対応や家賃滞納の懸念があり、高齢者の入居を拒むケースも多くあると言われていますが、
今後は法人による入居後の支援を充実させ、
大家さんが安心して物件を貸し出せるような仕組みができてくるかと思います。
「それでも、うちでは今後も高齢者を受け入れるつもりはない!」
というオーナー様もいらっしゃるかもしれません。
そんなオーナー様の物件にも、実はすでに高齢者・高齢者候補の入居者がいるかもしれません。
■入居者の情報を更新する機会が必要
当然ですが、10年前に入居された入居者は入居当時より10歳年齢が増えています。
ご家族や連帯保証人も同様です。
知らされていないだけで、保証人が他界したり、認知症等で支払い能力が亡くなっていたり、
引っ越しなどで電話番号が変わっている場合もあります。
入居者はもちろん、入居者の周りの人の情報も更新するためには
定期的な更新は欠かせません。
■賃貸借契約更新は2年に一度がおすすめ
一般的に賃貸借契約は「2年に1回」のペースで行われます。
これには、借地借家法29条が大きく関係しているといわれています。
借地借家法29条には
「期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」
と定められています。
つまり、契約期間が1年未満の場合は「期間の定めがない物件」という扱いになり、
契約更新の区切りを設けられなくなってしまいます。
もう一つ大きな理由として、ライフサイクルの変化があげられます。
大学生であれば4年ごと、社会人の方も2年のサイクルで転勤などが起こります。
入居者本人だけでなく、ご家族や保証人のライフサイクルも考えると
2年に一度の更新がおすすめです。
■孤独死より深刻かもしれない認知症
65歳以上の5.4人に1人が認知症患者といわれています。
50代や60代前半で発症する若年性認知症も日本には3.57万人いるといわれており、油断はできません。契約更新がスムーズにいかないことで、
入居者の軽度の認知症に気付くきっかけになることもあります。
現在の賃貸借契約では認知症に関する記載はなく、それを理由に退去を求めることはできません。
早めに異変に気付くことで、
家賃滞納や不慮の火災など、本格的なトラブルが起こる前に、
ご家族や支援センターとうまく連携していけるかもしれません。
すでに契約上、更新の手続きが難しいという大家さんは、
ごあいさつ回りや季節のお手紙などでも構いません。
「いつもありがとうございます。最近どうですか?」
「長く借りてもらっているので申込時と状況にお変わりないか確認です」と
さりげなく、入居者の状況を確認してみましょう。