国土交通省は5月20日、過去に人の死が生じた不動産、
いわゆる「事故物件」について、不動産業者(貸主・売主)が
売買・賃貸の契約者(借主・買主)に告知すべき対象などをまとめた、
ガイドライン案を初めて公表しました。
宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)
現在、この案に関するパブリックコメントも募集されているので、
ぜひ、自分事として考えて、ご意見をお寄せください。
老衰、病死など、いわゆる「自然死」は原則、報告義務の対象とされておらず、
単身高齢者の入居機会を増やす方向へ波及していると言えます。
とはいえ、実際孤独死が発生した場合、どうするべきか。
昨今のコロナ禍の影響もあり、外との交流が減り、
お年寄りだけでなく若い層にも誰にも気付かれず亡くなっていく方が増えています。
できるだけ、万が一を想定して準備しておくためにも
改めて「孤独死」について知っておきましょう。
大阪府警の調査によると、大阪府内では「孤独死」が2019年の1年間で
2,996人にも上り、そのうちの約71パーセントが65歳以上の高齢者です。
2,996人のうち性別で比較すると、男性が2,213人と半分以上を占めていました 😯
その大きな要因と考えられるのが、コミュニケーションの頻度と言われています。
男性は
・地域の人たちとのコミュニケーションが苦手
・定年したあとなど、老後に社会との接点を失う
・妻に先立たれ、話し相手がいなくなる
以上のことから、孤独死の件数が増えていると言われています。
💡 孤独死の層の傾向も昔とは変わりつつある
最近では高齢者だけではなく、
若い世代でも孤独死が多い実情が明らかにされています。
その原因は
・雇用の不安定
・未婚率上昇のソロ化
緊急事態宣言の影響により、飲食店ではアルバイトの方達は
出勤日や時間を減らされたり、
緊急事態宣言が明けるまでお休みだったりと収入が激変したという理由から、
「雇用の不安定」=「孤独死」につながるケースもあります。
孤独死とは、東京観察医務院の調べによると2~3日
もしくは1週間以内に発見された場合孤独死と判断されます。
(ほとんどが近隣住民から臭いによる苦情が入ることで、発見に至ることが多い)
これからの夏の季節など温暖な部屋での場合、
腐敗が進み害虫駆除や腐敗体液の除去も必要となり、費用がかかることもあります。
■孤独死が起きた場合
・死臭は通常の掃除では臭いをとることは難しく、特別清掃人が必要
・通常のリフォームと遺品整理の費用も必要となる場合もある
■近隣住民への対応
孤独死が起きた場合には、対応が遅れると、
隣室や階下の部屋にも被害が出てクリーニングなどが
必要となり費用も時間もかかります。
近隣住民の連絡には出来るだけ早く対応し
被害を大きくしないようにしなければなりません。
■連帯保証人または、相続人に請求できること
・原状回復の費用に関しては連帯保証人や相続人に一部もしくは全額請求できる
・自殺による孤独死の場合、事故物件扱いとなるので、
次の入居者に告知し必要に応じて減額は必要となる。
その場合の減額分の家賃で出た損害は、
連帯保証人もしくは相続人に請求することができる
※自殺以外の自然死や病死が原因の場合は、請求はできません。
💡 遺族から現状回復費用がもらえない場合
最近では火災保険に「遺品整理費用」がついているものもあります。
万が一、孤独死が発生した場合に50万円程度の保険金が下りたりすることも
あるため、これを原状回復費用に充てるという対策も有効です。
保険会社が事故と認定してもらえるかは、
保険会社によって異なるのでしっかり確認しておくとよいでしょう。
💡 若年層関係なく入居者への定期的な気配りや連絡は、こまめに!
書面でのやり取りだけではなく、コミュニケーションをしっかりとり、
緊急連絡先や相続人の連絡先の変更などないか、
押さえるべきところは押さえておきましょう。
なにか不信に感じた時はすぐに連絡するように心がけることが大切です。
これからの時期であれば、お中元がわりにご挨拶状やちょっとした贈り物を添えて
返信はがきやご意見箱を設置して、
アンケートのようなものに答えてもらうのもいいかもしれません。
多くの入居者さんにより快適に、健康に住んでもらい、
長期入居・満室経営が続くよう、ぜひアプローチしてみてください。