悲劇の転落事故を防げ!大家さんができることとは?

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徐々に汗ばむ陽気の日やじめっぽい日が増え
窓を開けることの多い季節を迎えます 😡

子育て世帯の間で注意喚起していきたいのが、窓・ベランダからの転落事故。
厚生労働省「人口動態調査」によると、
9歳以下の子どもの建物からの転落により、
夏を中心に令和2年までの5年間で21人亡くなっています。

今年の3月には名古屋市でマンション7階から2歳の双子男児が転落死した
痛ましい事故が記憶に新しいかと思います。

もちろん、ご家庭での対策は大事ですが、
入居者の安全や幸せ、ひいては資産価値を守るのも、大家の仕事といえます。

今回は大家さんが子どもの転落事故を防ぐためになにができるか。
考えてみました。

窓やベランダからの転落事故は1歳と3・4歳の子どもに多い
2023年3月10日に政府広報オンラインがリリースした
ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故」を見ると、
好奇心旺盛で大人の想定を超える行動をしがちな1歳、3・4歳は
転落事故が多いと言われています。
転落事故の年齢別・場所別比較のグラフ。1歳から5歳のこどもの中では、3歳、4歳の事故が特に多い。全体的に窓からの転落が多いが、3歳、4歳ではベランダからの転落の割合が高くなっている。窓やベランダからの転落事故における年齢別の救急搬送件数(n=62)
※東京消防庁管内で発生、平成29年から令和3年までの累計東京消防庁「救急搬送データ」
(出典:東京消防庁「住宅等の窓・ベランダから子どもが墜落する事故に注意」
(引用:政府広報オンライン「ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故」

子どもの転落事故の例
【事例1】 子どもだけで部屋にいて網戸に寄りかかる
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こどもが窓枠に腰かけて網戸に寄りかかっていたら、網戸が外れて転落。
窓は床から 60cm の高さで、窓枠まで10cm 程度のこどもが座れる奥行きがあった。
こどもは、5m下のコンクリートに落ち、全身打撲。
肝損傷の疑いで約2日間の入院。(7歳)

【事例2】 足場になるものに登る
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ソファによじ登り、窓から網戸を突き破って3m下の芝生に網戸ごと転落。
病院での診察時は明らかな外傷は見られなかったものの、
経過観察のため入院。(1歳)

【事例3】 保護者は別室。ベランダで足場になるものによじ登る
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保護者が1階のキッチンで夕食の支度をしていたところ、庭で大きな音がして、
こどもの泣き声が聞こえたため見に行くと、
2階のベランダから転落した模様で泣いていた。
ベランダには高さ90cmの柵があったが、床から50cmの位置に飾りがあり、
足をかけて登ることができた。
全身打撲などの重症で、3日間の入院。(4歳)

【事例4】ベランダの手すりにつかまっていて、前のめりになって転落
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家族を見送るために、子どもがベランダの手すりに
鉄棒の前回りのときのようにつかまっていたところ、
前のめりになって地上に転落。(5歳)

【事例5】ベランダの室外機に登り、手すりを越えて転落
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マンション2階の室内で遊んでいたこどもが、
親が気づかないうちにベランダに出て転落。
室外機のところにスリッパがあり、室外機によじ登った可能性あり。(2歳)

こどもから目を離さないと言うのは簡単ですが、
実際には限界があります。
窓やベランダからの転落事故を防ぐためには、
事前にポイントを知り、事故が起きない環境を作ることが
不可欠なのです。

大家さんが子どもの転落事故を防止するためのポイントは?
子どもの転落事故を防ぐには、
窓やベランダの周辺でリスクの高い環境を作らないことが大切です。

💡 窓、網戸、ベランダの手すり等に劣化がないか定期的に点検する
窓、網戸、ベランダなどの異変は、日常の中で見逃されがちですが、
株式会社LIXILによると、2013年から2022年の10年間に寄せられた
問い合わせの中には、窓・ドア製品で事故につながるおそれがあった
経年劣化の事象が92件あったというデータもあります。

退去後や更新時などには、ぜひ点検をして、
入居者にも安全点検の意識付けをしましょう。

■窓・ドアの点検ポイント
□ がたつきやゆがみがないか。
□ スムーズに開閉せず、重たくなっていないか。
□網戸の外れ止めをセットしているか
□網戸の網のほつれやたるみはないか
□ 開閉時に異音がしないか。
□ 破損や変形がないか、さびている箇所はないか。
(参考:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「放置しないで!窓・ドアの危険サイン~事故に遭わないための点検ポイント~」)
■ベランダの点検ポイント
□ベランダの柵にがたつきやサビなどの劣化がないか
□窓やベランダの手すり付近に足場になるようなものはないか
(エアコン室外機の配置を柵から60cm以上離す)
□ベランダの壁、柵などに足がひっかけられる破損や飾りはないか

 💡 補助錠のプレゼント
子どもの手の届かないところに補助錠をつけることは
転落事故防止はもちろん、防犯に大変効果的です。
ペットの脱走防止にもなるので、ペット可物件にも◎。
家の窓の種類によって、つけられる補助錠も違うので、
取り付ける、あるいはプレゼントしてはいかがでしょうか?
👿 ただし、避難時は障害になる場合もあるので、
そこはしっかり周知しておきましょう。

 💡 転落事故への注意喚起!
子育てをされている方は十分理解されているかもしれませんが、
自分の住んでいる家の大家さんが注意喚起をするということは、
インターネットなどでニュースを見るよりも、
もっと具体性があり、心に響くところがあると思います。
入居者さん自身に部屋を点検してもらい、
問題を早期に確認できるのも利点です。

:idea:改修工事への補助を活用する
子育て世帯が行う住戸の安全性の向上を図るための改修工事等に対して
補助を出している自治体もあります。
ぜひ一度、調べてみましょう。
「子供を守る」住宅確保促進事業[東京都]
子育て世帯等向け民間賃貸住宅改修促進事業[大阪市]

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自物件で不慮の事故が起これば…想像するだけで恐ろしいですよね。
ぜひ、入居者さんに寄り添って、転落事故防止に取り組みましょう。