生活に癒しや安らぎを求めて、ペット需要は増えつつあり、
一般社団法人ペットフード協会が発表した
「令和2年 全国犬猫飼育実態調査」を見ると
1年以内飼育開始者(新規飼育者)の飼育頭数は
犬の場合は 2019年:404千頭、2020年:462千頭 で14%増。
猫の場合は 2019年:416千頭、2020年:483千頭 で16%増と
過去5年間の中で伸び率・飼育頭数ともに最も多くなっています。
犬・猫ともに「室内での飼育」が90%以上をしめる一方で
現在不動産業者が扱う賃貸物件の中で「ペット可」の物件は
おおよそ15%ほどといわれており、
今後もペットの住環境問題については、大きな課題となりそうです。
今回はその中でも犬を取り巻く賃貸物件の環境や問題について
調べてみました。
INUNAVI(いぬなび)(https://inunavi.plan-b.co.jp/)
(5/12発表ニュース提供元:PRTIMES、情報提供元:株式会社PLAN-B)
が全国の⽝の飼い主1000⼈を対象に行った
「犬を取り巻く環境や問題について 」を見てみましょう。
犬を飼っている・飼っていた住居で困ったことはある?【物件編】
やはり「住める物件が限られる」ことに悩みを抱えているようです。
最近では賃貸物件だけでなく、分譲マンションでも
「ペット可」「ペット飼育専用」を探す飼い主さんが多いようです。
犬を飼っている・飼っていた住居で困ったことはある?【トラブル編】
トラブルに関しては「ご近所トラブル」が最多。
特に犬は鳴き声も大きく、しつけされていなければ、トラブルになってしまいます。
オーナーさんとしても、ほかの入居者との折り合いをつけてもらわないと
ペット可物件は難しいと考えてよいでしょう。
「ペット可」あるいは「ペット相談可」で募集をしていても、
そこに住む入居者さんの全員が動物好きとは限りません。
1.5〜2倍の原状回復費用がかかるといわれています。
ペット飼育による部屋の傷や汚れは「入居者の故意・過失」として扱われますので、
高額になる退去費用に備えて、ペット可の賃貸物件では
敷金を多めにもらうのが一般的です。
ペット可の賃貸物件では、「家賃2ヶ月分」を預かる場合が多いです。
しかしそれを越えるほど、原状回復費用が高額だと、
入居者とトラブルになるリスクもあります。
契約時に原状回復の負担について、入居者に
しっかりと確認しておくことはもちろん、
入居者審査をしっかりとすることも大事です。
新築、大規模リフォームなどで
「ペットと快適に暮らすことを前提として建てられた物件」である
「ペット共生型物件」にする人もいます。
⼀般的なペット可の物件とは違い、ペットとの暮らしに配慮した設備やサービスが
充実しているのが特徴です。
例えば、ドッグランを併設していたり、玄関にリードフックがあったり、
部屋を自由に行き来できるくぐり戸、ペットスペースなどが設置されていたり、
床・壁が傷つきにくくなっていたり、ペットの洗い場などの設備があったり…。
その分、家賃・敷金等は高くなりますが、
ペットを飼っている、あるいは今後ペットを飼う予定の人が納得して住んでいるので
お互い様で鳴き声などのご近所トラブルの心配もぐんと減ります。
■飼い犬と飼い主を見極める、入居者審査
○犬種と頭数
まずは飼育可能な犬種と頭数を設定します。
犬であれば、小型犬のみOKという賃貸物件が多いですが、
1階だけなら大型犬OKという判断をされる大家さんもいらっしゃいます。
ちなみに成犬時の平均体重などは以下のようになっています。
小型犬:チワワ、トイプードル、ミニチュアダックスフンドなど 10kg未満
中型犬:ビーグル、スピッツ、柴犬など 25kg未満
大型犬:ゴールデンレトリバー、シェパードなど 25kg以上
雑種など目安が分からない場合は上記の体重を参考にしつつ、
・ペットの体重
・ペットの写真(大きさが分かるもの)
を見て、判断しましょう。
雄雌であれば、繁殖してしまう可能性もあるので、
場合によっては、不妊去勢をお願いする必要もあるでしょう。
予防接種やワクチンは自分のペットの命を守るだけでなく、
室外に出る機会が多い犬の場合は、必ず打ってもらいましょう。
生後8週以降 :5種混合ワクチン
生後11週以降 :5種または8種混合ワクチン
生後14週以降 :5種または8種混合ワクチン
生後110日前後 :狂犬病ワクチン(注:91日齢以上の犬に接種義務があります)
以後は年に1度(混合ワクチンは3年に1度という病院もあります)、
狂犬病ワクチンと混合ワクチンを別々に接種します。
大家さんからも年に1度とは言いませんが、2年に1度など物件の更新時期には
注射済票やワクチン証明書で接種状況を確認した方が良いです。
診断書を作ってもらい、提出していただければベストです。
○しつけの状況
可能であれば、入居者だけでなく、ペットの面接もできると好ましいでしょう。
といってもペットのあれこれよりは、やはり飼い主が犬に対して、
責任をもって飼育しているかを見る場になります。
提出された書類に偽りはないか。
実際にペットに触れ、噛み癖、吠え癖などがひどくないか。
それに対する飼い主の対応などから、飼育マナーの良し悪しが見えてきます。
年齢もシニア犬ならだいぶと落ち着いていることもあります。
・共用部(廊下やエレベーターなど)では、ペットは抱き抱えたり
ケージ・バギーに入れて移動する
<共用部をきれいに保ち、他入居者との関係も維持するには
ペットを直接共用部で歩かせないことも必要になります>
・毛の手入れ、ケージの清掃等を行う場合は、
<ベランダなどの共用部で手入れをされると、他のお部屋に
毛が舞い散ることもあります>
・空気清浄機などを使って毛やにおい対策を行う
上記は一部であり、物件や他入居者の状況などを考慮し、
マナー違反を許さない姿勢はしっかりと見せていった方が良いでしょう。
鳴き声の大きさなどから、
他入居者との接点が多いところがネックです。
その分、ライバル物件は限られているので、
空室対策の一手としては決して悪い選択ではありません。
少しずつ試行錯誤していくことも良いかと思います。