異色の建築家、梵寿綱。別名「日本のガウディ」の建築は、内外面に施された装飾が放つ圧倒的なパワーに魅了される人も多く、建築ファンを中心に根強い人気があります。
オーナー様が抱えていた課題・背景
この物件も、梵寿綱が手掛けた建築のひとつで、並び立つ住宅街の間に突如現れる女神の姿に驚く人も。
玉虫色の光沢がある外壁に、女神とクジャクが寄り添うようなモニュメント。内部はステンドグラスなどの趣向が施され、ファンの間では「女神の館」と呼ばれています。
梵寿綱建築の特徴は、作り手の情念が伝わる個性あふれる姿にあり、梵寿綱の鮮烈なデザインと職人たちの技術が惜しみなく施された、唯一無二の存在として、今日でも見学に来る人が絶えない建物のひとつです。
提案のポイント
しかし、大規模修繕工事が長らく行われておらず、タイルが剥がれてしまっている箇所や造形部に入った大きなヒビ。これ以上放置をしておくと作品はおろか建物自体の存続が危ぶまれる状態でした。
大きくひびが入り一部は剥離による落下も。建物自体の劣化はもちろん、作品の原型がなくなってしまう可能性もある危険な状態でした。
この建物はバブル期に建てられたもので、今後同様な建物が建てられる可能性はほぼ無く、オーナー様の、この物件をできるだけ長く次代へ伝えていきたい。という強い想いから、弊社に造形部の「リペア補修」をご相談頂きました。
できうる限り、建設時の作品の状態を残すため塗料を職人の手により一つひとつ調色。ヒビや欠損部は一つひとつ丁寧に修復。見事に梵寿綱建築が蘇り、これからもより長く人々に愛されていくであろう物件の姿に、オーナー様も大変満足して頂きました。