[4月表示制度スタート]賃貸物件の省エネ性能とは?

電気代の高騰や2050年カーボンニュートラルという大きな目標に合わせて、
にわかに注目を集めているのが「住宅の省エネ性能」です。
※温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするというもの。

賃貸物件でそこまで気にする人はいないでしょう?

そう思う大家さんも多いと思います。
事実、省エネ性能を高めた結果、建築費が2~3割割高になるといい、
融資を得ることも難しいでしょう。
今後も省エネ性能の高い賃貸物件が急に増えることはないかもしれません。

ただ、高い省エネ性能も含んだ「長期優良住宅」についてのアンケートを見ると
69.4%の人が家賃が1割程度上がっても魅力的に感じることがある と回答。
※(出所)リクルート調べ
一度、省エネ性能の高い部屋に住むと、次の選択肢には「省エネ性能の高い部屋」の
優先度が高くなるといわれるほど、住み心地はよさは折り紙付きです。

2024年4月からは「省エネ性能表示制度」が始まり、大手不動産ポータルサイトでは
「省エネ性能ラベル表示」も物件の特色の一つとして、
掲載することが検討されています。

長い目で見れば「省エネ性能」は賃貸物件の重要なキーワードとなるでしょう。
今回はこの「省エネ性能」について、簡単に解説いたします。

省エネ住宅とは?
「省エネ住宅」とは、エアコンや照明など、家庭で使うエネルギー消費量を抑えるための
設備や建築資材を導入した省エネ性能の高い住宅のことです。

「断熱」「日射遮蔽」「気密」の3つの性能があり、
これらの性能がそろうことで、家庭で使用するエネルギー量を効率的に削減できます。

住宅の省エネ性能の評価には下記の2つの基準を用います。
①住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準
②設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準

2025年から賃貸物件であっても省エネ性能に関わる断熱性能が義務化
2025年から省エネ性能に関わる断熱性能が義務化されるようになり、
賃貸住宅であっても「等級4」を満たさない水準の住まいは建てられなくなります。
今後はこうした物件と競争していくこととなる上に
競争の優位性を保つためいずれは等級5,6の高水準の省エネ性能物件も
賃貸市場に出てくる
と考えてよいでしょう。

2024年4月から始まる「省エネ性能表示制度」とは?
新しい「省エネ性能表示制度」とは、
「省エネ性能を広告等に表示することで、消費者が建築物を購入・賃借する際に、
省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度」のことです。

「建築物の省エネ性能表示制度のガイドライン等」によると、
・開始時期:2024年4月(これ以降に建築確認申請を行う新築および再販売・再賃貸される物件が対象)
努力義務になること:広告する際に省エネ性能ラベルを表示する
・対象:住宅や建築物を販売・賃貸する事業者 (物件の売主や貸主、サブリース事業者など)
・罰則:従わない場合は、国が勧告等を行う (既存建築物は勧告等の対象にならない)
・目的:省エネ性能を示すラベルや評価書を発行し、消費者が省エネ性能の把握や比較ができるようにする

既存建築物のラベル掲載に関してはあくまで努力義務なので、
すぐに動くことはしなくても良いかもしれませんが、
2024年4月以降の新築と戦う築浅物件や省エネリフォームをした物件については
省エネ性能ラベルの発行を検討した方がよいでしょう。



引っ越しの原因になる賃貸物件の不満

賃貸ユーザーが現在の住まいに不満を持っていて、
省エネ性能のある「長期優良住宅」で解消できる項目は上図のとおり。
特に室内の温度差や結露、カビの原因となる断熱性や気密性、
冷暖房などの電気代に直結する断熱性
については
長期入居を目指すうえで、今後重要になりそうです。

すぐに解消することは難しいかもしれませんが、
今後賃貸経営を続けるにあたって、こうした流れをきちんと理解しておきましょう。

<参考>
建築物省エネ法について[国土交通省]
住宅:建築物省エネ法について – 国土交通省 (mlit.go.jp)