以前、「住み方の多様性~LGBT~」でご紹介させていただいた
LGBTの人でも積極的に入居を受け入れるという意思表示をあらわした
『LGBTフレンドリー』。
このグラフは「条件の装着があった」物件が「なかった」物件に比べて、
どれだけたくさん問い合わせがあったか示すもので、
LGBTフレンドリーの条件があった物件は、なかった物件より
4倍近く問い合わせがありました。
LGBT=性的少数者 という一言ではくくれないほど、
彼らは一人ひとり、それぞれ様々な思いや人生を抱えています。
今回はそうしたLGBTの方を大家としてどう受け入れられることができるのか。
自治体の動きから、今後、LGBTの方と大家さんはどう変わっていくのか。
考えてみましょう。
■LGBTとは
おさらいになりますが、
レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、
バイセクシャル(両性愛者)という恋愛の話だけではなく、
トランスジェンダー(性同一性障害)→心と体の性が一致しない
も含まれています。
性的少数者と言われていますが、国内人口の7.6%がLGBTに該当するという
データもあり、人口の11%が左利きという数字を見ると、
その数は決して少なくないことが分かります。
■自治体の動き
自治体では、彼らが少しでも暮らしやすくなるよう、
様々な制度を整備しつつあります。
・同性パートナーシップ制度
同性のカップルを「婚姻に相当する関係」と認め、
お互いをパートナーと定義する制度。
自治体限定ではありますが、
行政や企業で夫婦と同等の対応をするよう求めることができます。
公営住宅への入居申し込み、公立病院での病状説明や手術の同意
携帯電話の家族割引といったサービスなどなど
異性の夫婦でなければできなかったことが可能になり、
大阪では男性カップルに里親委託を認めるなど、
かなり画期的な動きもみられます。
取り組んでいる自治体は現在30を超え、
東京都渋谷、世田谷区。三重県伊賀市、沖縄県那覇市、北海道札幌市、
福岡県福岡市、茨城県全域、大阪府全域など
全国各地ですすんでいます。
・投票所での性別確認、入場券の性別表記の削除
トランスジェンダーの方は、戸籍上の性別と心で思う性別が違う場合があります。
例えば、戸籍上女性であっても男性として生活している場合、
性別を確認された時に「なりすまし」を疑われたり、
免許証などの写真と比べられ、陰口を言われたりするなど、
いやな思いをすることもあります。
そういったことがないように、自治体の中には投票所の性別の確認や
入場券の性別表記を廃止するところもあります。
■不動産会社がなぜLGBTのサポートを行うのか
サポートをしたいという思いもあるでしょう。
しかし、実際LGBTの人たちを拒否したり、
見ないふりを続けることにリスクが存在します。
・一人暮らしと嘘をつかれて、パートナーと無断で生活された
もちろん、同性の場合だけでなく異性の同棲、
勝手なルームシェアにも同じことが言えますが、
火災発生時に保険が適用されなかったり、
事件があった時に対応できなくなってしまいます。
・入居候補から外れてしまう
SUUMOでは物件の絞り込み機能の項目の中に
「LGBTフレンドリー」を追加しました。
LGBTを理由に入居を拒まない。
それだけで物件の項目にひとつ加えることができるのですが、
まだまだ登録が少ないのが現状です。
他にもLGBTフレンドリーの物件を集めたポータルサイトも存在しているので、
間口を広げるだけで、多くの方の入居候補になりえるのです。
・自治体によっては条例違反にもなりえる
東京都にはLGBT差別を禁止する条例も締結され、
LGBTを理由に入居を拒否した時、反対に
「条例違反だ」と訴えられることもあります。
LGBTという言葉に翻弄されて、
「トラブルがありそう 😐 」「どう接していいか分からない 😕 」といった
漠然とした恐れから、入居を拒否するオーナーさんもいますが、
みなさんごく普通の生活を送っていて、入居には何の問題もありません。
同性パートナーシップ制度がある自治体だから、と
引っ越しを検討する同性カップルもいます。
2LDKなど新婚カップル・同棲向けの物件をお持ちであれば
是非「LGBTフレンドリー」物件であることを仲介会社やポータルサイトで
PRすることも空室対策の一手になりえるかもしれません。