【兵庫県西宮市】築12年鉄骨造|5年後の大規模修繕を見据えた腰壁クラック補修
- 施工エリア:兵庫県西宮市
- 建物の構造:鉄骨造3階建
- 建物の築年数:2015年2月 (築12年)
5年後に大規模修繕を予定する築12年の鉄骨造で、腰壁クラックを先行補修。側溝防水と近似色によるタッチアップを組み合わせ、足場を設けず将来の修繕計画に配慮した部分補修を行った事例です。
依頼の経緯
長期修繕計画を立てて数年後に大規模修繕を予定していても、その途中で想定していなかった劣化が現れることがあります。大規模修繕まで待ってまとめて対応できる症状もあれば、時間の経過とともに劣化が進み、計画そのものに影響する症状もあるため、状態を見極めて対応時期を判断することが大切です。
今回の物件は、兵庫県西宮市に建つ築12年・鉄骨造3階建。JRと阪急の複数駅を利用しやすい立地にある物件です。オーナー様は前年に賃貸住宅修繕共済へ加入し、長期修繕計画に沿って5年後を目安に大規模修繕を予定していました。
しかし、バルコニー腰壁に縦方向に長く伸びるひび割れが複数発生し、一部は腰壁下部まで続いていました。このまま雨水が入り続ければ躯体を傷め、予定していた大規模修繕を前倒しせざるを得なくなる可能性があります。
そこで営業担当者は、「計画どおり大規模修繕を行うためにも、今ここは直しておく必要があります」と明確にお伝えし、計画を守るための先行補修をご提案しました。


当社からのご提案
今回はオーナー様の事情を考慮し、大規模修繕を前倒しするのではなく、5年後の本工事まで建物を良好な状態でつなぐための部分補修として、バルコニー腰壁のひび割れ補修と側溝防水に施工範囲を絞りました。
【バルコニー腰壁にひび割れが起きやすい原因】
一般的に、「片側が屋外(日当たりが良く風雨に晒される)で、もう片側が共用廊下(日陰になりやすく湿度が一定)」という環境にある腰壁は、表裏で著しい環境差(非対称性)が生じるため、構造的にひび割れ(クラック)が発生しやすい傾向にあります。
主なメカニズムとしては以下の3点が挙げられます。
- 〇熱膨張差による「反り」と「歪み」
日光を受ける屋外側は高温になって大きく膨張しようとしますが、日陰になる廊下側は温度が上がらずあまり膨張しません。この表裏の伸び縮みの差(膨張率の違い)により、壁体に常時「反り」や「曲げ」の力がかかり続け、耐えきれなくなった表面にひび割れが生じます。 - 〇乾湿差(伸縮サイクル)の不均一
屋外側は雨による吸水と直射日光による急速な乾燥を激しく繰り返しますが、廊下側は比較的環境が安定しています。この乾湿サイクルのズレが壁材内部に不均一な引っ張り応力を生み、亀裂の原因となります。 - 〇構造物としての独立性
片側が開口部として独立している共用廊下の手すり壁(腰壁)は、風圧や日射熱の影響をダイレクトに受ける一方で歪みを逃がしにくく、特定の部位に負担が集中しやすくなります。
今回の建物でもこの条件の多くが当てはまります。
築12年が経過する中で、屋外側と廊下側の環境差による「熱応力・乾湿応力」が長年蓄積されたことが、バルコニー腰壁に縦方向の長いひび割れが複数発生した主な要因と考えられます。
また、腰壁のクラックだけを補修するのではなく、雨水が下方へ回り込み下の階の天井へ漏水するのを防ぐため、側溝の床面から立ち上がりまで防水施工を実施しました。ひび割れへの直接的な補修に加え、その下部でも雨水の影響を受けにくい状態をつくる考え方です。
一方、数年後には外壁を含めた大規模修繕を予定しているため、今回は足場を組んで全面塗装するのではなく、補修箇所のみのタッチアップ塗装にとどめました。
部分塗装では、経年した既存塗膜と新しく塗る部分の色を完全に合わせることは難しいため、実際の外壁に色見本を当てながら近似色を入念に確認・調整しています。将来の大規模修繕時に全面を塗り替えることを前提に、今回は必要以上に工事範囲を広げず、足場費用も抑えながらオーナー様の修繕計画を崩さない工事内容としました。




施工後の効果
施工後は、腰壁に縦方向へ伸びていたひび割れがきれいに補修され、既存外壁に近い色でタッチアップを行いました。全面塗り替えではないため近接して見ると既存部とのわずかな質感の違いは残るものの、遠目からは補修痕が目立ちにくい仕上がりとなっています。5年後の大規模修繕時に全体を塗り替えるまでの間、建物の美観と保護性能をしっかりと維持できる状態に整えました。
あわせて側溝にも防水施工を行い、床面から立ち上がりまで防水層を強化したことで、下階へ雨水が回るリスクを最小限に抑えることができました。
5年後に大規模修繕を控えているタイミングであったため、足場を設置しない部分補修とタッチアップ塗装を選択したことで、突発的な補修費用を最小限に抑え、長期修繕計画の資金計画に影響を出さずに対応することができました。
長期修繕計画は作成して終わりではありません。今回のように予定外の劣化が発生した際、「計画時期まで放置するか、今すべてを前倒しで大掛かりに直すか」の二択ではなく、「計画を予定通り完遂するために、必要な部分だけを先行補修する」という柔軟な判断も非常に有効です。


施工ポイント
- 賃貸住宅修繕共済で計画的な修繕費用を準備
- バルコニー腰壁は熱膨張などの影響でひび割れが起きやすい
- 内壁の側溝防水補修で下の階への雨水が投げれこむのを抑制
- 足場を設けずタッチアップ塗装で、突発的な補修費用を最小限に圧縮
- 長期修繕計画は作成して終わりではなく状況の応じ見直しを行う
無料建物診断・修繕相談について
ホープハウスシステムでは、賃貸アパート・一棟マンションのオーナー向けに、無用建物診断・修繕相談を行っています。
外壁・屋根・防水・鉄部・共用部などの劣化状況を確認し、修繕箇所・工事範囲・優先順位を整理。部分補修から大規模修繕まで、建物の状態に応じて対応いたします。
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