人気の裏でクレームの多い設備「ネット無料」「宅配ボックス」

人気設備ランキングに必ず登場する
「インターネット無料」「宅配ボックス」

人気で「使用したい 🙂 」「これがあるから、このマンションがいい 😛 」と
決め手になるからこそ、クレームも多い設備になっています。

今回はどんなクレームが多いか、またどのように解決していけばよいか
調べてみました。


 💡 コロナ禍以降インターネットのクレームが増えている
テレワークやオンライン講義の普及・定着、
Amazonプライム、Netflix、U-NEXTなどの動画配信サービスの普及、
オンラインゲームの普及などインターネットを利用する人は年々増え、
総務省が2020年5月に発表した「通信利用動向調査」の公開値を見ると、
13歳以降は60代前半までは9割強の利用率となっています。

クレームのほとんどが「データのダウンロードが遅い」
「動画が途中で止まる」「ゲームに接続できない」など、
通信速度にかかわることだといわれています。

「インターネット無料」をうたい文句に早期で導入したところほど、
現在のインターネットを取り巻く状況の中で、カバーできず、
クレームが多くなっているように思います。

ネット導入で気になる物件の通信速度でも解説しましたが、
特に回線を共有しているLAN配線方式や共用部Wi-Fi設置型は
大人数が一度に利用すると速度が遅くなる仕組みです。
入居者の費用負担がない「インターネット無料」物件では、
こうした安価な方式でのインターネット設備が多く、
「無料のサービスなので、品質が劣ります 😐 」と説明せざるを得ない状況です。

ただ、仕事や学業など、インターネットを
安定して使えないと困るという人もいます。

また今回のことで「インターネット無料」物件の弱みが広く知られ、
「インターネットの通信速度」を理由に退去する人がいる一方で
それを理由に入居を決める人も出てくるはずです。

もちろん、工事をして、回線を強化することが望ましいですが、
工事がすぐできない、施工が難しい建物もあります。
解決の役に立つよう、対応事例を調べてみました。

■緊急性が高い場合は、通信環境が安定している空き室を案内する
仕事や学業など急を要する場合は、必要な時だけ空き室を案内して、
その場をしのいだという方がいました。
全室の工事が難しければ、インターネット環境を整えた
シェアスペース・レンタルスペースを用意して、
入居者には安価で貸すなどというサービスもありかもしれません。

■個人負担でネット回線を強化してもらう
入居者の中にはネット回線の強化が不要な人もいらっしゃいます。
あくまで無料の中で提供している設備と割り切ってもらい、
個人負担でインターネットの加入プランを変えてもらうか、
回線の工事を追加でしてもらうか…
あるいは工事不要のインターネットルーターを購入してもらうのも一つの手です。

「インターネット無料」は確かに入居促進に一役買ってくれますが、
求めている回線速度に満たない設備だとクレームの原因になります。
・光回線を導入し、個人にあったプランに契約できるよう案内する
・回線速度が速い住宅であることをPR。インターネットの使用料などを求める
など「インターネット有料」物件というやり方もひとつなのかもしれません。

 

 💡  他の人が使っていて宅配ボックスが使用できない!
宅配ボックスにかかわるクレーム内容で多いのが
「常に誰かが使用していて空きがない 👿 」という
ボックス独占利用に関する不満。
どうしてこのようなことが起こってしまうのか
原因を見つけ、解決策を考えてみましょう。

■全住戸に対して、ボックスの導入数が少ない
住戸数と同じ分だけ宅配ボックスが設置している物件は、少ないと思います。
大手宅配ボックスの情報を見ると、住戸数の20~30%が目安になっているようです。
8戸だと2個。20戸だと4~6個が目安といわれています。
しかし、なかなか荷物をとらない人や一人で複数ボックスを使っている人もいて、
「常に誰かが使用中で空きがない! 👿 」
というクレームに発展することも、珍しくはありません。
使用できない日が続くほど、退去の引き金になってしまうので、
早めに対応しましょう。

■荷物を放置している人を確認する
荷物を放置する理由として多いのは
「郵便受けを確認する習慣がない人が不在表に気付かない」
「人からの贈り物を本人が気付かない」
など荷物が届いていることに気付いていない人がいます。

こういう問題があることも考えて、クレームになる前に、
定期的に宅配ボックスの利用状況を確認。
長期の使用が考えられる場合は、マスターキーなどで取り出し、
直接入居者へ注意を促すことが必要です。

■宅配ボックスの不正使用には厳しく対応
空の宅配ボックスに鍵がかかっている場合は、
不正使用を疑ってください。
・入居者の不正使用>いつでも自由に使えるよう確保し、
 配達員に「〇番をこの暗証番号で開けて、荷物をいれてください」と
 指示している
・配送事業者の不正使用>再配達を減らしたい事業者が、
 自分の配達物を入れるようにボックスを空のまま鍵をして確保している

このようなケースは地道に犯人捜しをするしかありません。
できれば防犯カメラの設置が望ましいでしょう。
ポストと宅配ボックスが近くにあれば、郵便物の盗難も防ぐことができて
セキュリティもグッと高くなります。

 

クレームが入ると言う事は、それだけ
需要の高い設備であることは間違いありません。
せっかく、入ってくれた入居者のニーズをきっちり満たすように
どんな設備もこまめにチェック、メンテナンスが必要。
しっかり対応していきましょう。

 

ステイホームで気になる防音・騒音対策

新型コロナウイルス感染拡大で在宅時間が増える中、
近隣住人との騒音トラブルも相次ぎました。

3、4月に警視庁が受理した騒音に関する110番は昨年比で3割近く増えたと発表され、
また殺人事件につながってしまったトラブルも発生。

たかが「音」と言っても、一度気になり出すと、
部屋で過ごしている間も、外でその音を出している人を見るだけで、
怒りや苦痛に思ってしまうこともあります。

大家さんとしても騒音トラブルの連絡を受けることは
珍しくないかと思います。

今回は入居者同士の騒音トラブルにどう対応すべきか考えます。


■自物件は騒音マンションか?
木造に比べると、コンクリート構造の方が、音を通しにくいです。
ただ、窓から音が漏れることやコンクリートを伝わって音が響くこともあります。
やはり、実際にそこで過ごしてみないと、気付かない騒音は多々あります。
・昼夜来てみる
子どもがいる時間、学生が帰ってくる時間、犬の散歩の時間など
住んでいる人の動きで、音の出し方も当然変わってきます。
騒音の訴えがあったら、根気よく、時間をかけて、
証拠や原因を辿っていきましょう。
・我慢できる音とは
マンションは防音にするのはなかなか骨が折れますし、
躯体を通じて、どうしても響いてしまうこともあります。ある程度の音なら、
「響いてもしょうがない 😕 」と許容してもらうしかありません。
ただ音の中にも時間帯や頻度、大きさによっては
我慢できる音、できない音があり、それは人それぞれです。
音を立てている人にも、事情があるので、根気強く妥協点を探りましょう。

■音を出している人と迷惑に思っている人の意識の違い
実は飛行機の離着陸音や、工事中のドリルの音など「大きな騒音」よりも、
マンション近隣から聞こえる子どもの声やペットの鳴き声などの
「小さな騒音」のほうがトラブルの火種になりやすいと言われています。

2015年に実施されたSUUMO 近隣トラブルに関する調査」を見てみると
「騒音」に不満を感じている人に、さまざまな日常生活音別に
「かなり気になる」「あまり気にならない」「まったく気にならない」の3段階で
回答してもらった結果、
「かなり気になる」と回答した人が多い順にランキングにすると、

1位 子どもを叱りつける親の声 21.0%
2位 子どもの騒がしい声 20.8%
3位 子どもの泣き声 17.8%
4位 ペットの鳴き声 16.3%
5位 子どもの足音 16.0%
6位 人の話し声 15.5%
7位 楽器の音 11.8%
8位 テレビ・音楽などの生活音 10.3%
9位 洗濯機の音 8.0%
10位 目覚まし時計の音、掃除機の音 7.8%

となっています。
子どもの出す音に関しては、「騒がしい声」「泣き声」「足音」と
5位以内に3つもランクインしており、気になる人は多い様子。
犬や猫の鳴き声のうるささは、時にピアノや掃除機を上回るため、注意が必要です。

こうしたトラブルの一番厄介なところは、
加害者側は周囲に迷惑な音声を、迷惑だと自覚がないままに発生させがちなところ。

周りが静かだから自分たちの声も聞こえてない 😉 と思い込んでいる人もいます。

被害者側がずっと我慢して、その怒りが爆発した時、
暴力沙汰になったという事件も少なくはありません。
騒音を出す子どもに憤懣をぶつける人もいるので、
騒音問題を放置することはとても危険です。

もし、被害者側から相談があったら、決して無下にはせず、
まずは被害者、そして加害者の話を聞いてあげること。
第三者の介入はトラブルを緩和させることができます。

■騒音対策として提案できることは
・床にはカーペットやマットを敷く、壁には防音壁を。
床にマットなどを敷くと、音が響きにくくなります。
本棚やタンスと壁の間に入れると、隣室への防音効果もあります。
フローリング調のクッションフロアであれば、
床のデザインも変えつつ、部屋のイメージを一新することができます。
突っ張り棒や貼り付けるだけで取り付けることのできる防音壁も売っているので、
騒音が原因で退去が発生した部屋については、
そういうものも予め取り付けてみるとよいでしょう。

・窓を開けたまま…を控える
換気や涼むために窓を開ける人が増える時期ですが、
音は着実にそこから漏れています。
夜はテレビ、洗濯機はもちろん、電話や会話であっても、響いてしまうので
注意しましょう。防犯の面でも危険です。

・洗濯や掃除機を使う時間を考える
音の大きい家電は早朝や深夜の時間帯を避けましょう。
常識的に7時~21時までならば、良いかと思いますが、
この時間も人々の生活に左右するものなので、常識の範囲で…としか
言いようがありません。

■まずは張り紙で注意喚起
騒音の苦情があった時、騒音元が特定できていれば、
直接伝えるのもありですが、角が立たないように、
まずは全体に対して注意勧告するのがよいでしょう。
エントラスの掲示板やエレベーター内の壁など、
人目に付きやすい共用部に貼ります。
掲示が難しければ、お手紙でのお願いをしましょう。
・どんな文章にするか
騒音を出している人が自分のことだと自覚できるようにして
今後音を出さないように努めてもらわなくてはいけません。
①騒音の被害状況を正確に伝える
だいたいの場所、何時頃、どんな音か
②どのような対処法をするか提案してあげる
ただ静かにして、と伝えても、難しい場合があります。
「夜中に音を立てないようにして 🙂 」
「お子さんがいるならクッションマットなどを敷いて 😛 」
など具体的にお願いをしてあげたほうが、対応してくれるでしょう。

■最悪、110番通報をしてもいいか
「騒音は民事不介入だから対応してくれない 😥 」と思っている方もいますが、
騒音は軽犯罪法違反、さらに度が過ぎると傷害罪で訴えることが可能です。
管理会社も大家さんも手に負えないのであれば、
騒音を訴える入居者に通報をお願いするのも一つの手です。
「110」が不安ならば、通報すべきか相談できる「9110」もあります。
匿名で通報できるので、騒音を訴える入居者にとっても安心です。
ただ、警察が来るとなると、入居者全員が不安に思いますし、
騒音元が通報された方でない可能性もあります。
あくまでこれは最終手段。
通報されないように、こちらで早めにできるかぎりの対応をすべきでしょう。

 

音のトラブルはなかなかなくなるものではないですし、
人それぞれの生活や感じ方があるので、解決も難しいです。
ただ、その分「空室」の理由にもなりがちなので、
誠意ある対応を心がけましょう。

コロナショック!「家賃減額」への対応は?

新型コロナウイルスの影響で、色々な困難な状態ではありますが、
「家賃減額」の言葉を最近よく聞く、という
大家さんもいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、そんな家賃減額について
■材料がなく設備の不備が直せない…
■所有ビルのテナントが休業続きで厳しくて…
という内容で考えてみました 😉 


■材料がなく、設備の不備が直せない…
新型コロナウイルスの影響で、
照明機器・トイレ・システムキッチン・浴室等一部の住宅設備や部品は
中国の工場で生産されていることから、まだまだ仕入れが困難になっています。
このような状況でも必要な住宅設備が仕入れられない場合、
原則家賃減額に応じなければいけないのでしょうか?

➡ 家主は入居者に対して、
『住居として使用に耐えられる住居を提供する義務』を負っているため、
今回のようなやむを得ない事情であっても、
減額されるのが原則と言われております。

例え特約で、
「やむをえない事由により設備の一部が
使用・修理・交換できない場合には賃料が減額されない」
という条項を家賃契約に入れておいたとしても
消費者契約法により無効となる可能性があります。
契約書に特約条項を入れておいて、
家賃減額を求められたときに入居者が納得することもあるかもしれませんが、
万が一裁判で争うことになればやはり、
消費者契約法によって無効になる可能性は高いかもしれません。
トラブルになる前に、信頼できる弁護士の方などに相談しておくのもいいでしょう。

💡 今後はそれらを踏まえ、夏場のエアコンや鍵など生活する上で
必要度合いがたかい設備に関しては、
在庫など必要最低限の備品は確保するなどの対応策を
考えておいたほうがいいのかもしれません。

■所有ビルのテナントが休業続きで厳しくて…
「休業時間短縮要請」により飲食店をはじめ事業者の中には、
事業活動が縮小し入居するビル等の賃料に
支払が困難となる事案が生じていることから、
賃貸用ビルの所有者などに対し、国土交通省は賃料支払いの猶予に応じるなど、
柔軟な措置を取るよう要請いたしました。
※あくまで協力要請なので、命令ではありません。

それに合わせ、4月17日国会では
ビルなど所有者の賃料減免に税優遇措置を導入する方針が固まりました。 
店がテナントとして入っている賃貸ビルの所有者が、
店の賃料について減額や猶予に応じた場合、ビルの所有者を対象に
・法人税、社会保険料の猶予
・固定資産税の減額や免除を実施
ビル所有者の負担を減らすことで、借主側に対しても
賃料の減額によりお店などを続けやすくするといった策案です。

【免税対象者については】
月収が前年同月から20%以上減って納税が難しくなったビル所有者などが対象
2021年1月までに納入の期限が来る国税・地方税・社会保険料を1年間猶予する
ビル所有者の減収額に応じて、21年度の固定資産税を半減したり全額免除

テナント入居者が廃業して収入がゼロになることを考えると、
国から補償が出ているいまだからこそ活用し、
家賃減額といった対応策も考えておくのもいいかもしれません。

 

長引きそうな今回の「新型コロナウイルス」騒動ですが、
不足や不安に焦点を当てるのではなく、
今あるものへの感謝と変化への対応力で乗り越えていけたらと思います。
これからも新たな支援・情報がありましたらお届けさせていただきます 🙂 

敷金のルールが変わる!気をつけるポイントは

部屋を退去する際には、借りた部屋をもとに戻す義務が生じます。
原状回復費用としてよく耳にする、『敷金』を回復費用に回します 😀 
ですが、この原状回復と敷金については、実は法律で明確な定義はされてなく
法的拘束力が弱かったこと、みなさんはご存じでしょうか。

今回は、2020年から【敷金の定義・現状回復のルール】、気をつけるべきポイントを法律に基づいてご紹介致します。


敷金とは? ➡ 退去の際に支払う退去費用。部屋を退去するときの原状回復(生活していく中で、できてしまった傷などを直す)費用として、入居前にあらかじめ払う準備金のようなお金です。家賃1ヶ月分が目安となっています。

<民法が約120年ぶりに大改正  >
賃貸契約における敷金についてはこれまで明文化されておらず、
不動産業界の古くからの習慣としてやりとりされていたため法的に明確な定義づけがなく、原状回復についても国土交通省のガイドラインがあるものの曖昧な点が多く、過去に幾度となく借主と貸主の間でトラブルが起きていました 😥 
そんな敷金と原状回復のルールが、改めて2020年より法律で明文化されることになりました。契約や金銭の支払いに関するルールを定めた民法の規定(債権法)を見直す改正法案が、衆議院本会議で可決(2017年4月14日)。
参院本会議によっても賛成多数となり、この改正法案は成立しました。(同年5月26日)。
民法が改正される日は2020年4月1日に決定され(同年12月15日)、いよいよ本格的なルール化に向けてスタートを切りました。
債権や契約に関する分野の民法が大きく見直されるのは、約120年ぶりのこととなります!

 💡 民法改正により、おさえておきたいのは次の3つです。
◆敷金および原状回復のルールの明確化
◆連帯保証人の保護に関するルールの義務化
◆建物の修繕に関するルールの創設

<敷金の定義・原状回復のルールとは>
「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃借人に交付する金銭をいう」 (改正民法 第622条の2) 

💡 預け入れられた敷金は退去費用に充当され、呼び名も「敷金」として統一されるようになります。関西などの一部地域で敷金を「保証金」として呼ばれていましたが、今後はそういった名称によるばらつきもなくなります。
敷金の定義が決まると同時に、敷金のルールとして「借主が部屋を適法に引き渡したとき、貸主(大家)は敷金を返還しなければならない。」ことも法律で明文化されます。
それと同時に、これまで「原状回復のガイドライン」によって運用されてきた部分が民法に明文化されました。借主に責任のない、通常使用による損耗や経年劣化などについては原状回復義務がないとします。
ただし、敷金や原状回復のルールは従来の取引慣習を民法に盛り込んだものであり、実質的にはこれまでと何ら変わらないケースも多いでしょう。
これに反して賃借人に負担を課す場合には、賃貸借契約における特約としてあらかじめ明確にしておかなければいけません。

<連帯保証人の保証限度額を定めることや情報提供などが義務に>
今回の民法改正で実務上、最も多く変わるのが連帯保証人に関する規定です。
賃金債務に対する個人の根保証について2004年から適用されていた規定が、
不動産賃貸借契約における個人保証へ拡大されることになります。
民法改正後は賃貸借契約の締結時に連帯保証人の極度額(責任限度額)を定めることが義務となり、これが定められていないときは連帯保証契約が無効となります。
極度額は家賃債務や遅延損害金、原状回復費用(特約または賃借人の責任によるもの)を反映して設定されるが、その金額水準については明文化されていません。
また、民法改正後は、連帯保証人から賃貸人に対しての家賃の支払い状況などについて問い合わせがあれば、遅滞なく回答することが「賃貸人の義務」となり、個人情報であることなどを理由に回答を拒絶することができなくなりました。

 💡 さらに、事業用(店舗、事務所など)の賃貸借契約においては、連帯保証人に対して賃借人の財産状況など(財産状況、収支状況、他の債務の有無および金額とその支払い状況、保証金などの内容)を情報提供することが「賃借人の義務」とされました。
これを賃借人が怠り、その事実を賃貸人が知っていたり知らないことに過失があったりすれば、連帯保証人契約が取り消されることで、賃貸人が損害を被ることも考えられます。

連帯保証人は親族などがなる場合も多いと思います。
従来 :arrow: 「家賃10万円の部屋を借りるから連帯保証人になってほしい」という依頼だったのに対し、
民法改正後 :arrow: 「極度額200万円の連帯保証人になってほしい」などといった内容に変わります 😯 
そうなると、連帯保証人になることが敬遠される可能性が増えるとともに、貸主(大家)側も家賃保証会社を利用するケースが多くなると考えられます。
家賃保証会社など法人に対しては極度額を設定する必要がなく、事業用物件における情報提供義務も適用されません。

<建物の修繕などは条件を詳細に取り決めることが求められる>
民法改正後  ➡ 居住中の建物で何らかの修繕が必要になったとき、賃借人が賃貸人にその旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにも関わらず、相当の期間内に必要な修繕がされない場合、あるいは急迫の事情がある場合は、賃借人による修繕が可能であると規定されました。この「修繕権限」に基づいて実施した修繕の費用は賃貸人に請求することができます。ただし、その故障などについて賃借人に責任があれば、賃貸人に修繕義務がないことも明文化されました。

また、賃借人の責任ではない理由で対象物件の一部が減失などしたとき、使用不可の部分の割合に応じて賃料は「当然に減額される」とされました。
さらに、対象物件の全部が減失または使用収益できなくなった場合には、賃貸借契約が終了することも改正法に規定されています。

※注意すべきポイント※  
◇賃借人による修繕が割高だった場合
◇「必要な修繕」を通知した場合の相当な期間とは
◇どのような状態なら「当然減額」になるのか、その割合は
 
 ➡ まだ改正後の民法にも明確な基準はなく、今後の判例の積み重ねに委ねざるを得ない部分です。「修繕権限」を拡大解釈して行き過ぎた修繕をしようとする賃借人が出てくる可能性もあるかと思います。

【無用なトラブルを避けるためには 😆 】
💡 賃貸借契約の際に詳細な取り決めをしておくことが求められます。改正後の民法による規定が周知、定着するまでは国土交通省が公開している「賃貸住宅標準契約書」などのフォーマットを活用することが紛争防止の無難な案かもしれません。
もちろん、賃貸物件を借りる側としても、そのあたりの事情はよく理解しておきたいところです。

現在の住居に対する不満は?!

今回ご紹介するのは、【男女の住宅選び比較アンケート2019】
リフォーム産業新聞掲載(越智産業協力のもと)男性および女性に対して共通のテーマの質問をする企画!
男女間の意識のズレもわかりますが、今回は男女共通点に重点を置いてみました  😀
それぞれの現在の住居に対する不満を「TOP5」までご紹介致します。
それをもとに、空室対策・リフォームなどのご参考になれば幸いです 🙂 


今住んでいる家への不満は、入居者にとっては引っ越しを考える要素の一つでもあります。
2019年度アンケートによる、男女が抱く不満は下記のような結果となりました  😆    

画像(住居に対しての不満ランキング)
 

男女ともに、1位は【収納が少ない】でした 😯 
 女性理由 💡 「洋服が全部収納できない」・「布団が収納できない」・「シューズボックスがない」

男性理由 💡 「布団が収納できない」・「ゴルフクラブが収納できない」

男性については、あまり収納スペースを使うとういうイメージはないですが、
ゴルフやウェアなど趣味の物を収納したいとういう男性が増えているようです 😀 

いろいろな意見が上がった中から、男女共通したのは、「布団が収納できない」でした。
布団は通常のクローゼットに収納できないため、収納場所を確保した結果「部屋が狭くなった」との回答がありました。

かと言い、部屋を広くすることもできないため、
新しく収納スペースを作るとなると、部屋が狭く感じてしまう。
いったいどうすれば 🙁 ?  

 💡 既製の収納棚を初めから設置しておくのも入居を考える決め手の一つになります。

92fe2af36bc4c1e9596bf129f7ccadcc_m

単身の方がターゲットであれば、キッチンも収納力よりインテリアイメージを
今どきのカフェ風にするなど、落ち着いたカラーに変えてみるのもいいですね。

1ebe1d336c7cbf9d58974fb697cc8561_m

収納棚が増えると、内覧に来た方の気分がUPすること間違いなし 😆 
これから、学生や新社会人の方がお部屋を探される時期なので、
少しでも入居の決め手になり、ご参考いただければ幸いです。

家賃を下げずに継続して入居者を得るには、外装の塗り直しや、
キッチンの設備の変更、壁紙の張り替えなど考えてみてはいかがでしょう。

 


▼オーナー様 お役立ち情報
■塗り替え・大規模修繕のご相談
【ホープハウスお問合せ先】
◇フリーダイヤル◇ 0120-708-114
◇関西◇ 0800-111-2188
◇関東・東海◇ 0120-708-114
※建物診断以外やお部屋のリフォームについての相談も随時受け付けています。
 皆さまからのお問合せ、心よりお待ちしております!!!
★耐久性、他効果にも優れたフッ素系塗料も扱っております★
★物件の状態、オーナー様のご要望に合わせて、ご相談に応じます★

 

 

 

漏水事故!責任を負う判断基準とは?

区分マンションを経営されているオーナー様必見!!
今回は、裁判で争われることも多いケース 😯 
「もしも区分所有している部屋で、漏水事故が起きた時…」
水漏れの原因箇所により、損害賠償責任が変わってきます。
漏水箇所は、専用部分なのか?それとも共用部分なのか?

実際のご相談内容や裁判ケースを踏まえて、ご紹介致します 🙂 !
是非、ご参考に。


◆マンションにおける漏水事故が起きた場合、
 責任は区分所有者にあるのか!?

  💡 ポイント   💡 
まずは漏水箇所を特定する

<水漏れ箇所>
漏水箇所が専有部分か共用部分で、責任の対象が異なってくる。
専用部分 ➡ 各区分所有者の責任(区分所有法第6条)
共用部分 ➡ 管理組合の責任(最終的には全区分所有者間でその持ち分に応じて損害が分担される)
ただ…
漏水箇所が専有部分なのか共用部分なのか
わからないときの対応が問題となってきます。
判別の仕方には、原則と例外があります。

原則 ➡ 各住戸に通ずる枝管は専有部分
例外 ➡ 枝管でもその設置場所や構造の具体的な状況によっては共用部分になる。
>水漏れ箇所が本管の場合
本管(部屋の真下を通っている排水管の枝管)は専有部分に該当しそうですが、
構造などによっては判断が異なって共用部分と判断されることもあります。

<トラブルに備えるには>
管理組合の規定で、あらかじめ責任の範囲を取り決めると良いでしょう。

 

どちらの費用負担になるか、トラブルになった例を見て見ましょう。


【ご相談内容】
マンションの1室を所有し、その部屋を賃貸している中、真下の部屋の住人Yさんから、天井から水漏れしていると管理会社を通じて連絡がありました。
水漏れ箇所は、管理している部屋の真下(階下の部屋の天井裏)を通っている排水管の破損であることが判明しました。
今回の水漏れにより、部屋の備品や床が浸水したとの事で、しばらくホテル暮らしを余儀なくされたようです。私はこの部屋を使用していないのですが、この場合Yさんに対して、責任を負うのでしょうか 🙁 

 💡 実際にあった裁判ケースをご紹介します 💡 
区分所有建物の部屋から出る汚水が、その床下にあるコンクリートスラブ(床の荷重を支える鉄筋コンクリート造の床)を貫通し、その階下の部屋の天井裏に設置されている枝管を通じて、共用部分である本管に流されるという構造になっている事案において、漏水の原因となった破損した枝管が、専有部分に属するのか、それとも共用部分に属するのかが、実際に争われたケースがあります。

【判決】
最高裁判決は、漏水が生じた排水管が、コンクリートスラブの下にあり、上の部屋から当該排水管の点検、修理を行うことは不可能であり、階下の部屋からその天井板の裏に入ってこれを実施するほか方法はないことを理由として、配管が共用部分に属することを認めました。したがって、区分所有者の損害賠償責任は否定されました。

最高裁判決から、この問題については、本管は共用部分であり、本管から分岐して各住戸に通ずる枝管は専有部分であることを原則とし、例外的に、枝管であってもその設置場所や構造の具体的な状況によっては、共用部分に該当することがあると考えることになります。したがって、マンションの構造等によっては判断が異なる可能性も否定できないため、この点については留意する必要があります。


◆このようなトラブルを未然に防ぐためには、どうすれば?

  💡 誰が、どのような責任を負うのか、
 あらかじめ明らかにしておくことが大切です。
管理組合の規定によってはどの部分を専有部分とするのか、共用部分とするのかを具体的に明記している場合もあるため確認をしておくことが望ましいでしょう。
なお、区分所有法第9条では、建物の設置または保存に瑕疵があることによって、
他人に損害を生じたときは、その瑕疵は共用部分にあるもの」と推定しています。
そして、この規定は欠落部分がどこかにあるのか不明の場合を前提としていますが、
欠落部分が明らかだけれどそれが共用部分なのか専有部分なのか不明である場合にも適用があると考えられています。
そのため、管理組合などがこの推定を覆すために、立証する必要があるのも知っておくとよいでしょう。

以上のように、自分が責任を負う範囲を管理組合規定などしっかり把握し、
明確にしておくことが大切です。

でも、出来るだけ事故が起きる前に早目の行動をおすすめ致します!

——————————————–
ホープハウスシステムでは、専門の建物カウンセラーによる建物診断を行い、
トラブルを未然に防ぎます。

・給排水管
・トイレ、洗面所の臭い
・水回り機器への影響
水漏れに関する諸問題を解決!ぜひご活用ください!

通常の修繕・リフォームについてもご相談下さい。
【ホープハウスお問合せ先】
◇フリーダイヤル◇ 0120-708-114
◇関西◇ 0800-111-2188
◇関東・東海◇ 0120-708-114
★耐久性、他効果にも優れたフッ素系塗料も扱っております★
★物件の状態、オーナー様のご要望に合わせて、ご相談に応じます★

入居者が虐待?どう対応する?

 😕 「隣家の子どもの泣き声が気になって眠れない……虐待では?」

騒音問題のクレームかと思えば、もしかしてこれって事件? 🙁 
児童虐待のニュースなども気になる昨今、自物件でも…と不安に思うことも。

💡
今年の3月、横浜市で全治3か月以上の重いやけどを負っていた3歳の長女を
自宅に放置した両親が逮捕された事件では、
自宅アパートを抜け出した5歳の長男をアパート前まで送り届けた男性と
大家さんが男の子の話を聞き、警察に通報して
長女を保護できたという経緯があります。

大家さんも水際で命を救う可能性があるのです。
今回は入居者の虐待が疑われた場合、どのような対応をすべきか、調べてみました。


■児童虐待かなと思ったら「189」へ電話
基本の対応としては最寄りの児童相談所とつながる
全国共通の電話番号189(イチハヤク)が開設されています。
基本的に匿名で話すことができますので、安心してください。
ただ、情報について追加で聞きたい場合などは、
電話をした人の氏名や連絡先を聞くこともあるようです。

通報時に聞かれるのは大体以下の内容です。
・子どもの年齢や性別、
・どんな状態でいつから起きているか
・どこの部屋と分からない場合は、上階からとか、隣の部屋からなどでもOK
もし、入居者さんから相談されたら、この内容を聞いて、
代わりに通報したり、役所や福祉センター、
地域包括支援センターにも相談すると良いでしょう。

児童に限らず、高齢者や配偶者、恋人などの暴力・虐待の疑いがあれば
役所や警察に相談してもよいです。

■どのくらいなら通報してもいいかな?
大家さんとしては、子育て中のおうちは日頃から気にしていきたいところです。
今の子育てはどうしても孤立化してしまいがちなので、
虐待までいかなくても子育てに大きな負担を抱える人は多いのです。

特に
・単身用などの手狭な間取りに、不釣り合いなほど大人数で生活している
・子どもの泣き声・悲鳴が周囲に漏れないよう雨戸など閉めっぱなし
・光も漏れないようにカーテンをずっと閉めっぱなし
・ベランダに物置きや檻のようなものがある

家庭には注意していきたいところです。

・尋常ではない激しい泣き方
・突然の悲鳴のような泣き声
・1時間以上泣き続けている
・大人の罵声や怒声
・ものを壊す音、叩きつける音などといっしょに泣き声が聞こえる
といった訴えがあれば、ためらわず機関に相談しましょう。

■もし虐待じゃなかったら、入居者さんを困らせてしまうかも
「児童虐待かも」と警察に電話した場合は、
警察官だけでなく児童相談所の相談員が同行することが多いです。
親がすぐに逮捕されてしまう!というわけではなく
まず行うことは「安全確認」です。

またその後、子供が保護され、親と離れ離れになってしまうのでは?
と心配される方は多いですが、児童相談所は本来、
「子育てで困っていませんか? 相談してみませんか?」と
親子・家庭をサポートするところです。

たとえ事件性がなくても行政の関係機関の支援のスイッチが入り、
子育てで悩んでいる両親やSOSの声をあげられない子供に対し、
「こうするといいですよ」「こんなサポートがありますよ」と
フォローすることができます。

子供にも色々な子がいます。
障がいなどがあり、大きな声をあげてしまう子もいるでしょう。
子供のことは親の責任という人もいますが、
子育てをその家だけですることはとても難しいです。

子供だけでなく、虐待や暴力をふるい、そしてふるわれる多くの人が
相談できる人も頼れる人もおらず、
どうしていいか分からず、最悪の事態に発展してしまいます。

大家さん自身も、そうした虐待の種に気付いた入居者さんも、
一人で思い悩む必要はありません。
一人で行動した場合、
トラブルに巻き込まれた時に対応ができない可能性もあります。

不安に思ったら、警察や関係機関を頼り、入居者さんはもちろん、
自物件も守るために行動してみましょう。

 

 

トラブル解決の糸口!知っておきたい賃貸契約のルール

繁忙期も終わり、新しい住人が入って一安心。
というオーナー様も多いかと思います。

しかし、賃貸経営をしていれば、
滞納や騒音などトラブルもたくさん。

今回はそんな、もめ事を最小限にできる賃貸契約のルールについて考えてみました。


■トラブルメーカー予防に定期借家契約が◎
 💡 定期借家契約とは…
定められた期限が来たら賃貸契約は終了。
無条件で入居者を退去させることができます。
期間中にトラブルを起こさなければ、
再契約という形で、長期入居につなげることができます。

管理会社の中には「 😕 定期借家だと入居者が獲得しづらく、家賃も下げないと」と
言うところもありますが、
・トラブルを起こさなければ住み続けられる
・ルールを守らない入居者は満了時に退去させることができる
・トラブルのない住環境を整えるための制度ということを強調することで
 マナーの良い入居者が獲得しやすい
という利点があるので、そこをきちんと説明してほしいと
お願いすることが大事です。

■「もしも」のお金のことをカバーする契約書
 😥 賃貸借契約が完了し、あとは入居のみとなったところでキャンセルになった
この場合、礼金は返さなくてもいいものですが、トラブルにはなりがちなので
契約書に「入居前のキャンセルの場合は礼金は返却しない」ということは
書いておくと無難でしょう。
また家賃一ヵ月分程度なら、違約金も認められるので、
万一に備えて、入れこんでおくとよいでしょう。

😡 入居者が更新料の支払いを拒否している!
更新料については
「協議の上更新することができ、更新の場合は更新料を払う」という
条項があるだけでは更新の方法にとっては更新料が請求できない可能性があります。
更新方法には3種類あります。
①双方の合意により行われる「合意更新」
②合意がなく、借地借家法の規定により行われる「法定更新」
③意義がない場合に合意更新と同じ効果を発生させる旨の
 賃貸契約書の特約に基づく「自動更新」
前述の条項では、法定更新が生じた場合(合意が得られなかった場合)、
更新料が請求できない可能性があります。
特記として「法定更新の場合も更新料を支払う」旨を明記したほうが良いですが、
法定更新を行った場合は、賃貸借契約が期間の定めのない契約になるため、
更新料をとれるのが法廷更新の1回のみになってしまいます。
可能であれば、自動更新条項を契約書に明記し、
自動更新の場合も更新料をとるような内容にしておくべきでしょう。

■こんなときは大家さんの責任!?
😥 入居者からベランダの床が壊れたので修理をした。お金を払ってと言われた!
賃貸借契約書には「必要費および有益費については、賃貸人が費用を負担する」と
記載していても、民法第608条第1項では
「賃貸人が必要費を支出した時、直ちに賃貸人に対し償還を請求することができる」とされています。
特約の効力は制限があり
小修繕を越える修繕については、入居者負担にはできないと考えられます。

😥 建物全体に被害が及ぶ可能性のある漏水が発生!
部屋に入って確認したいが、入居者との連絡がつかないので、不在時に入ったら、
入居者に「侵入した、訴える 👿 」と言われている…
賃貸の契約内容に「借主の承諾なく室内に立ち入ることができる」という特記が
あっても、家主は借主の承諾なく立ち入ることはできません。
無断で立ち入った場合は、住居侵入罪が成立する可能性すらあります。
ただ、今回は「漏水の可能性がある」という状況で、
「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をするときは、
これを(賃借人が)拒むことができない」(民法606条2項)という規定が
適用されることが考えられます。
①郵便受け、電気、水道メーターの状況等を確認し、長期不在であると認められる
②入居者及び連帯保証人に対し、架電、郵便等の方法により連絡を複数回試みた
③一定期間継続して応答がない
これが証明できる証拠を保存しておくと、違法とされる可能性は低くなるでしょう。

🙁 契約者の車が車上荒らしにあった!家主に責任はあるの?
家主は原則として責任を負いません。
駐車場の賃貸借契約における貸主の義務は
駐車スペースを提供することであり、車の管理は義務ではありません。
ただし、「 😕 駐車スペースに他の車が停まっていて使用できない!」
「 👿 車止めが破損していて、駐車する際その破損部で車に傷がついた」など
駐車スペースの使用を妨げるようなことがあれば、警察に対応してもらったり、
破損部を修繕したりなどの責任が発生します。

 

事前にルールを決めたり、対応を知っていると、
素早くトラブルができて、「うちの大家さんはしっかりしているな!」と
評価が高まることもあります。
災いはないほうがよいですが、災い転じて福となすことができるよう、
色々と対応策を考えてみましょう。

もう特別じゃない!外国人入居者との関わり方

去年、出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正が可決され、
外国人入居者が特別な存在でなくなる時代が迫ってきています。
 
今後、外国労働者の在留資格を設け、
5年間で最大34万人5150人の受け入れを見込んでいる一方、
2016年11月から12月に日本に暮らす外国人への差別の実態を調べるために
法務省が行った調査では、
過去5年間で外国人であることを理由に入居を拒否された人は
およそ40%もいることが分かりました。
 
コンビニはもちろん、工場や農業、他様々な企業が外国人なしに回らない時代。
管理会社・仲介会社とも協力し、
抵抗感を払しょくして、受け入れ態勢を構築することが求められています。
 
今回は改めて、外国人入居者に対し、どのように対応して、
関わっていけばよいか考えてみました。
 

■文化の違いでトラブル発生
外国人と一言で言っても、
その生活習慣・考え方は数えきれないぐらい多種多様です。
その中で問題になりがちなのが以下の3つです。

①臭気

外国との文化の違いのひとつに、食べ物があります。
例えば、タイ等のアジア系の方はスパイスを多用した料理を日常的に食べるため、
換気扇の戸外につながる部分からは独特の臭気がします。
若い方はそうした物も食べ慣れ「美味しいにおい」と認識している人も多いですが、
それを「くさい」と認識する方も多く、クレームにつながることもあります。
換気システムを見直したり、気密性の高い建物構造であるかも大事です。

②騒音
よく聞く話としては、友人たちを招いて、夜間にパーティーを開き、うるさい
音楽のボリュームが大きく、こちらまで聞こえてくる…
という話を聞きます。本人たちは騒音と思っていないので、
ここも文化の違いなのかもしれません。
日頃からのコミュニケーションがあれば、ある程度互いに思いやることもできます。
引っ越した時は両隣上下へのあいさつをすすめてみましょう。
周囲の人が顔を知っていれば、転賃なども防ぐことができるかもしれません。
町内会などに通じる方を知っているのならば、紹介してあげるのも
後々のトラブルを防ぐ手になることでしょう。

③物件に対する損害
日本特有の天気、特に湿気については知らないまま、
壁の裏側や畳の下に青カビがびっしり… :mrgreen: という人もいます。

専有部分の清掃は入居者負担で行わなくてはいけないことを
契約を結ぶ中で説明してあげましょう。
また、退去時の放置物の多さも問題となっています。
退去確認は必ず行ったほうがいいです。
 
 
 
■トラブルを防ぐ一工夫

●日本語が通じる、日本語が分かる支援者がいるか確認
「日本語でコミュニケーションが取れるか」ということは、
契約内容をしっかり理解してもらうためにも、重要です。
職場の人でもかまわないので、契約の際連れてきてもらい、
連絡先もしっかり聞いておくことが大事です。
それも難しいのであれば、トラブルに対応できる保証会社
入居者の実費でつけてもらうことを条件にしましょう。

●家賃を踏み倒されないようにする
家賃が振り込まれなくなったため、尋ねたら、
無断転賃されていたうえ、契約者が帰国したため
居場所も連絡先も分からないことがあります。
こうしたリスクを避けるため、
家賃は振り込みではなく、口座引き落としにしたほうがよいでしょう。

●「日本語を分かってもらう!」ではなく「分かってもらえるよう接する」
言葉の壁はもちろんありますが、こちらから「分かってほしい 😀 」と歩み寄ることは
何よりも大切です。心がけておきたいのは以下の4点です。
①やさしい日本語で話す
難しい言葉や早口はやめ、相手が分かりやすい言葉で話しましょう。
②相手(外国人)の話を聞く
何が分からないのか。また、どうしてそうしたのか。
きちんと聞いてあげて、解決策を一緒に探しましょう。
③連絡文書には日本語と外国語を併記する
ゴミ捨て場など、公共物の使い方や連絡などの掲示物は
日本語と外国語を併記。
さらにイラストを併用すると、子どももご高齢の方にも分かりやすく親切です。
④お役立ちツールを活用する
外国人とコミュニケーションをするにあたり翻訳アプリなど、
色々便利なツールはあります。
今回お奨めしたいのは、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が国土交通省と連携し、平成30年3月に発行された
外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン・部屋探しのガイドブックです。

https://www.jpm.jp/foreign/
日本人にも分かりやすく部屋探しから退去までを6か国語で掲載しています。
指さしで会話をすることも可能なので、是非活用してください。
 
 
■外国人入居者のメリットは?

ネットワークを通して、紹介で永続的に入居者が見つかる
同じ国出身者同士のネットワークがある人は、
気に入ったアパートを友達に紹介したり、家財道具を丸ごと引き継いで
入居してもらうといったことも多いそうです。

また留学生を受け入れる学校や企業と法人契約を結べば、
一定期間入居者が確保できるので、日本人よりも優良顧客となりえます。

●新しい部屋を探すのに苦労するので、長期入居してくれる
最初に言った通り、外国人の方はなかなか家が探しづらいのが実情です。
住みよい物件を作ってあげれば、長期的に入居してくれます。

 

外国人の方を入居者として迎えるのは決してデメリットばかりではありません。
交流できるのは貴重な機会でもありますし、良い体験もできることでしょう。

また外国人の方にとって選びやすく住みやすい物件は、
日本人や子ども、高齢者にとっても住みやすい物件となります。

ターゲットを外国人の方に絞る必要はありません。
もし外国人の方が入居されたなら、この機会に改めて
入居者との関わり方や交流について考えてみてはいかがでしょうか? 

ニャンとかしたいワン!ペットのトラブル

賃貸住宅の差別化や価値向上の取り組みとして、
「 😕 既存の賃貸住宅をペット可に転換しようかな?」
考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

若い人はもちろん、年老いて住み替えを考えている高齢者の中には
「ペットは家族同然。心の支え 😥 」と、切実な思いで
ペット可物件を探している方もいらっしゃいます。

ペットを飼う入居者同士、コミュニケーションが増え、
良好な住環境を作ってくれるケースもあります。

しかし「ペット可」には知っての通り、リスクもあります。
今回は考えられるペットのトラブルとその対応策について考えます。


■ペットの責任はオーナーにも!
ペット可物件にする場合、ペットはもちろんですが、
人間にも配慮した運営・設備が必要になります。
ペット保護義務
例えば、入居者Aさんの犬が、入居者Bさんの子どもにけがをさせた場合、
その責任は犬が子どもに危害を加えないよう、
運営管理を行わなかったオーナーにも問われます。

仕切りを設けて、犬と人が接しない動線を作ったり、
犬のしつけをお願いしたり、親にも注意をお願いしたり…
自分の物件にしっかり責任をもって対応しましょう。

■トラブルを防ぐ、少なくする飼育細則
トラブルの種類は多様です。
人とペットが共生するためにも、必要不可欠なのが、
互いの住環境を守るお約束事です。

飼育できる動物の種類や数を限定する
ペットの大きさや数、種類によって、
騒音や周辺に影響するような臭いがでることがあります。

飼育する動物の種類や数を設定することで、
逆に「この動物なら大丈夫なんだ! 😀 」と安心して
入居いただけるケースもあります。

最近はやりの「ハリネズミ」も、鑑賞用の小動物にあたり、
臭いや音もあまりないので、ハムスターやラットと同様の扱いで
ペット可でなくても、飼育をすでに認めている物件もあるのではないでしょうか?

そう言った場合でも「小動物・鳥・熱帯魚飼育可」など
臭いがあまり出ない動物など具体的に書いてあげると、喜ばれます。

<種類や数の例>
・飼育できる動物の頭羽数は、一の専有部分につき2頭羽を限度とする
・観賞用の小鳥、観賞用魚類及び小動物の飼育については別途定める
・犬及び猫(体長(胸骨から尾骨まで)の場合、
 50センチ以内、体重がおおよそ10キロ以内のもの ※介護犬、盲導犬を除く
・小動物は、うさぎ、リス、ハムスター等とする

危険動物・猛獣及び猛禽類・毒を持つ動物など
飼育禁止動物も明確にしたほうが良いです。

②届出又は登録等により飼育動物を把握する
飼育のルールが守られているか、指導するため、
また万が一、騒音などのクレームがあった場合
対処しやすいように、飼育動物の種類や数は把握したほうが良いでしょう。

万が一、飼育のルールが守られていない場合は、
届け出を持って、対応することができます。

③飼育方法を定める(専有部分・共用部分での注意事項)
ペットを飼育している中で、部屋に予測もできない損傷が生じる場合があり、
原状回復費用も多額に及びがちです。
ただ、こうしたペットによる壁や床などの異臭、変色、破損などは、
オーナーがペット可物件であると認めた時点で、
「通常損傷の範囲だ」と主張する人もいます。

退去時にトラブルにならないよう、
ペットを飼育する人に対しては敷金の追加差し入れを求め、
一定額を敷引特約として締結した上で
クリーニング費用の金額をあらかじめ明記。
退去時にはクリーニング費用を敷引後の残額を控除すると、
借主とのトラブルにつながりにくいかと思います。

飼育方法については
・ペットが共用部に逃げ出さないこと
・法令等によって定められた予防注射、登録等を確実に行い、
 登録を受けた標識を玄関扉付近等の見やすい箇所に明示すること。
・ペットは清潔に保ち、鳴き声、排泄、臭い、体毛において、
 居住者、近隣住民へ迷惑をかけないこと。
・専有部分よりペットを外へ連れ出す際、共用部分等では
 かご等の容器に入れるか抱きかかえるものとし歩行させないこと。

など、専用部、共用部の他にも建物の近隣への配慮もお願いするようにしましょう。

④違反者に対する措置
飼育細則に違反者がいた場合には厳しい対応をしなければなりません。
退去をお願いすることも、もちろん有効ですが、ペットを飼う人にとって
飼育を禁止することが一番こたえるでしょう。

⑤その他諸規定
上記に紹介した規定以外にもマンションの実情、入居者の声に応じて
細かく規定を定めていきましょう。

<諸規定の例>
・動物の飼育しているものは、マンションが指定した標識を玄関に貼る
・年1回定期的に最新の飼育動物の写真を提出させる

 

■ペットと共生できる環境を提供してあげる
規定などのソフト面は大切ですが、もちろんハード面も整えることが大事です。
・共用部
ペット用のエレベーターを設置するなど、
動線を分けることができればベストですが、そこはなかなか難しいでしょう。
少しでも同じ場所を使うことに抵抗がないように、
玄関付近にお湯も出る便利な「ペット足洗い場」
ペットの汚物を流せる「ペットサニタリー」の場所があると、いいでしょう。

またお散歩から帰ってきた人もそうでない人もも助かるのが、
玄関先の荷物置き棚かフック
リードをつなぎながら、鍵を探し、ドアを開けられます。

・壁
漆喰など調湿効果のある壁紙ならば、ペットに臭いはもちろん、
化学物質を吸着分解し、たばこのにおいも軽減できはます。
また、ペットの手が届く高さまでを擦り傷やひっかき傷に強い
ウエストパネルにすれば、部分交換することも可能で、
原状回復も安価・簡単にすることができるでしょう。

・床
フローリングで足を滑らせて、
ヘルニア・股関節脱臼や骨折するペットが増えています。
特殊塗料による仕上げなどで、キズが付きにくく、滑りにくいものにすれば、
ペットだけでなく、高齢者や子供も安心です。

・窓や棚
ペットの飛び出しを防ぐフェンスを窓に付けておけば、
ペットだけではなく、子どもがいる方も安心。

またキャットウォークも、棚に転用できるなら、
ネコを飼っていない人でも住みたいと思える物件になるはずです。

 

ペット可に転換しても、しばらくは需要や他の入居者の反応も分かりません。
ペットを飼っている人も飼っていない人も住みやすい物件を意識して、
まずは一室一室様子を見るのも手の内です。