<相続法改正>知っておきたい「相続法改正」のポイント

<相続法改正>不動産が招く相続トラブルでもお話させていただきましたが、
2019年、7月1日、大規模な改正となった民法の相続法部分が施行されました。

家主様にも大きくかかわってくる改正の概要を今回はお伝えします。


相続法改正は大きく分けると以下の6つに分類します。
①配偶者の居住権を保護するための方策(4/1より施行)
配偶者が相続財産である建物に居住していた場合、
その配偶者の生活の基盤を守るため、新しく2つの権利が創設されました。
■配偶者短期居住権
存命の配偶者が相続開始時に相続財産である建物に居住していた場合、
遺産分割終了までの間、無償でその居住建物を使用できる。
■配偶者居住権
配偶者の居住建物を対象として、
原則として終身配偶者にその使用を求める法定の権利。
遺産分割協議、遺言により設定ができる。

配偶者居住権は原則として
・被相続人が所有した建物に配偶者が居住している
・配偶者以外の者と共用になっていない ことが条件になります。

配偶者にとってはメリットの大きい制度ですが、
所有権を相続した場合と異なり、居住権を売却することはできません。
また修繕費などの必要費についても、所有者と調整しなければいけないなど、
デメリットもあるので、注意が必要です。

②遺産分割に関する見直し等
■遺産分割前の預貯金の払戻し制度
預貯金についての遺産分割の成立前に一定額の払い戻しができる。

相続人は遺産に属する預貯金の内、相続開始時の残高の三分の一に
各相続人の法定相続人の法定相続分を乗じた額については
金融機関に対し、単独で払い戻しを求めることができます。
ただし、その額は預貯金のある金融機関ごとに150万円が限度となっています。

③遺言制度に関する見直し
■自筆証書遺言の作成について
財産目録を自書によらず作成することが可能。
PCを使って、管理・作成することが容易に。

ただし、財産目録の全てのページに遺言者の自書による署名と押印が必要になるなど
形式的な要件はクリアする必要があります。

■自筆証書遺言の保管制度
遺言書を法務大臣の指定を受けた法務局で保管することができる。

紛失や相続人による隠匿など、効力が発揮できないこともあった遺言書。
遺言者本人が法務局の窓口で手続きをすれば、
遺言書を預かってもらうことができるようになりました。
保管された遺言書は検認の手続きが不要になるため、
受贈者、相続人の負担が減りました。

■遺言執行人についての改正
・遺言執行の妨害禁止を請求することができる
など遺言執行人の権限を強める改正や
・相続人に対する遺言内容・遺産内容の通知義務
など遺言執行人に課せられた義務が増えている部分もある。

また遺言執行者を第三者に委託することが容易になりました。
ただし、遺言執行者の権利義務については
規定追加の2019年7月1日よりも前に作成された遺言には適用できません。
ただし、遺言執行者の就任日がそれ以降であれば、適用されます。

④遺留分制度に関する見直し
■生前贈与の範囲についての改正
相続人の贈与については、相続開始前の10年間に限り
遺留分を算定するための財産の価額に算入される。
ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていて
贈与した場合は、これまでと同様遺留分の対象とならない。

これまでは、期限の際限なくさかのぼって、遺留分の対象となっていましたが、
それが大きく変わりましたので、改めてチェックをしておいてください。

⑤相続の効力等に関する見直し
相続財産の取得方法に関わらず、法定相続分を超える権利を相続した者は、
法定相続分を超える部分について第三者に対抗(権利を主張)するには、
・登記
・登録
などの対抗要件が必要になる。

遺言で取得しようが遺産分割協議で取得しようが、
不動産であれば登記、預貯金であれば名義変更等を行わなければ、
債権者等の第三者に対抗できなくなります。

例えば、遺言がある場合でも、早期に登記を備える手続きを行わないと、
相続人の一部が自らの相続登記をして第三者に売却してしまうなどした場合には
対抗できないことになるので、相続開始後早期に手続をする必要があります。

⑥相続人以外の貢献を考慮する方策
相続人以外の被相続人の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)が
被相続人の療養看護等を行った場合、一定の要件のもとで相続人に対しても
金銭(特別寄与料)を請求することが認められることとなりました。
例えば
・無償の療養看護、介護
・無償の不動産などの財産管理、事業のサポート
・被相続人の財産の維持、または増加に貢献
などを行った親族については認められることになります。

特別寄与料の金額と請求は、原則として当事者間での協議で決まります。
協議で解決できない場合は家庭裁判所に決定してもらうことができます。
ただし、・相続開始(亡くなったとき)と相続人が誰かを知ったときから6ヶ月以上
あるいは・相続開始から1年以上経過した場合、
家庭裁判所に決定してもらうことはできません。

家庭裁判所に決定してもらう場合には、証拠を提出したほうが確実です。
介護日記、関連する出費のレシート、被相続人とのメールなどのやり取りや
お礼の手紙などもあればしっかり保管しておきましょう。

 

約40年ぶりに改正されたとあって、
内容としては現代の人々に寄り添った形になっています。
自分の相続だけでなく、親や親族の相続についても
これを機会に見直してみてはいかがでしょうか?

 

家賃債務保証の実態と注意点

前回もご紹介致しました、2020年4月1日から施行される改正民法。
それによって、「連帯保証人の保護」に関する改正により、家賃債務保証の利用増加が予想されます。
今回は、法改正の背景を含め保証の仕組みや取引する際の注意点について、より詳しくご紹介致します 😆


◆連帯保証人保護の極度額が逆に尻込みさせる要因に
一般的に「連帯保証人といえば、青天井の保証義務を負う怖い存在」というイメージではないでしょうか。
実際に保証人の財産差し押さえや破産するといった例も少なくはありません。
こうした事態を防ぐため、今回の民法改正で、個人が連帯保証人になる場合は保証の上限を示す【極度額】の設定が義務化されました。
「連帯保証人を保護する改正」でリスクは軽くなるが、なぜ成り手が減るのでしょうか 🙄
「これまでの賃貸借契約書には、保証の範囲が記載されないために、いくら請求されるかは頭になく、保証する意識が薄いまま引き受けていたケースがほとんどです。
新ルールで、家賃の数年分、何百万円という金額が明示されると『そんなに払えない』と腰が引けてしまうと見られています。
その結果、法人である家賃債務保証会社(以下、保証会社)が連帯保証人の肩代わりをする「機関保証」が増えるというわけです。
賃貸借契約にかかる連帯保証の形態はすでに約8割は機関保証です。人間関係の希薄化や、高齢の保証人の支払い能力に不安を持つオーナーさんの増加も背景にあります。民法改正で機関保証の利用がさらに加速し、地域によっては100%ちかくになると予想されています。

◆機関保証は2種類。いずれも保証内容の把握が大切
滞納が発生すると、保証会社がオーナーさんに滞納家賃を支払った後、入居者に督促して未払い家賃の改修を行う仕組みです。保証料は入居者が一般的で、オーナーさんや管理会社は経費をかけずに滞納リスクと督促手間を軽減できます。さらに、機関保証には「一般保証型」「支払い委託型」があります。
「一般保証型」 ➡ 滞納した場合のみ発生し、オーナーさんや管理会社が滞納を自ら確認して保証会社に代位弁済の請求をする方式。
「支払い委託型」 ➡ 家賃が保証会社の口座に入り、滞納の有無にかかわらず、保証会社が家賃を全額立て替えてオーナーさんに支払う方式。

保証対象者は保証会社によって異なり、滞納家賃が基本だが、原状回復費用、控訴費用が含まれるケースもあり、入居者が亡くなった場合の残置物処理費などがあります。保証料の設定も様々です。「初回費用+更新料」のパターンが中心で、初回は家賃の30~100%、その後1年ごとに1~2万円と幅が大きくなります。「初回家賃の50%+1年ごと1万円」のケースが多いですが、「初回2万円、更新後は家賃の1%を毎月」「初回契約時のみ」などのバリエーションもあります。
 💡 管理会社に契約義務を任せている場合でも、オーナーさん自身が保証会社と契約を結ぶ当事者になるので、契約書の内容を読み込み、保証内容、滞納発生時の手続きなどを把握しておくことが大切です。
無題

◆オーナーさんは会社を選べない?契約における注意点とは
オーナーさんのメリットが大きい機関保証ですが、オーナーさんは「保証会社を選べない」「直接契約できない」という声も聞きます。まず、保証会社は、借主と接点の多い元付の管理会社、客付けの仲介会社と代理店契約を結ぶなどして提携しており、オーナーさんと直接的な取引はしないケースが多くあります。管理会社や仲介会社側から見ると、損害保険の代理店になるのと同様に、保証契約を取ればマージンが入るので、極力一本化したいところです。そこで手続きも慣れた保証会社を使ったほうがスムーズに行くということなのです。こうした理由から、ほとんどの場合、オーナーさんは管理会社の指定する保証会社以外を選べません。ただ、今後利用が増えれば、公平性を図り選べるようになる可能性もあります。
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【自主管理オーナーさんの場合】 ➡ 空室が出たときに複数の仲介会社に客付けを依頼して幅広く集客します。そこから入居者を決めた仲介会社が提携している保証会社と契約するように促されるケースが多いでしょう。そのため、自主管理オーナーさんは保証会社を直接選んで契約できないことが一般的だといいます。
💡 数は少ないが自主管理オーナーさん向けの保証サービスを展開している保証会社もあります。また、自主管理でも資産管理法人を作っていれば、代理店契約できるケースもあります。

しかし、自主管理オーナーさんが一般保証型で複数の保証会社と契約している場合は、面倒な点も!!
➡ 「滞納が発生して保証会社に代位弁済を請求するまでの告知期限が定められており、最短1週間程度~1・2ヶ月までとまちまち!うっかり期限を過ぎれば保証されない事態も 😥 
保証会社の数が多いほど手続きが煩雑になります。」
💡 こういった点が不安な場合、支払い委託型を選べば解消されます。

◆保証会社をどう選ぶか信頼できる会社の見極め方
保証料が低い保証会社の方が入居者はつきやすいと考えがちだが、金額大小で決めるのはおすすめできません。保証料が低く、審査が甘い会社は「滞納に対する代位弁済額を減らすために強引な督促をしたり、短期間で立ち退きを迫ったりするケースが少なくない」という指摘もあります。 
また、同じようなサービス内容でも、中身が大きく異なることもあります。
例えば、原状回復費用だけでも、金額の上限が家賃の2ヶ月以内など短いケースもあれば、24ヶ月まで大丈夫という会社もあります。中身をじっくり比較するのも大事です 🙂
信頼できる会社を見極める一つの指標に国交省の「家賃債務保証業者登録制度」が挙げられます。これは、2010年前後に保証会社が相次いで倒産した教訓を踏まえ、保証業務の適正な運営と賃借人や家主の利益保護のために2017年から始まった制度です。
財務状況の定期報告などの基準を設け、違反した場合に指導、勧告を行います。
機関保証の仕組みをつかみ、積極的に活用してはいかがでしょうか。
ぜひ、ご参考までに 😆 

敷金のルールが変わる!気をつけるポイントは

部屋を退去する際には、借りた部屋をもとに戻す義務が生じます。
原状回復費用としてよく耳にする、『敷金』を回復費用に回します 😀 
ですが、この原状回復と敷金については、実は法律で明確な定義はされてなく
法的拘束力が弱かったこと、みなさんはご存じでしょうか。

今回は、2020年から【敷金の定義・現状回復のルール】、気をつけるべきポイントを法律に基づいてご紹介致します。


敷金とは? ➡ 退去の際に支払う退去費用。部屋を退去するときの原状回復(生活していく中で、できてしまった傷などを直す)費用として、入居前にあらかじめ払う準備金のようなお金です。家賃1ヶ月分が目安となっています。

<民法が約120年ぶりに大改正  >
賃貸契約における敷金についてはこれまで明文化されておらず、
不動産業界の古くからの習慣としてやりとりされていたため法的に明確な定義づけがなく、原状回復についても国土交通省のガイドラインがあるものの曖昧な点が多く、過去に幾度となく借主と貸主の間でトラブルが起きていました 😥 
そんな敷金と原状回復のルールが、改めて2020年より法律で明文化されることになりました。契約や金銭の支払いに関するルールを定めた民法の規定(債権法)を見直す改正法案が、衆議院本会議で可決(2017年4月14日)。
参院本会議によっても賛成多数となり、この改正法案は成立しました。(同年5月26日)。
民法が改正される日は2020年4月1日に決定され(同年12月15日)、いよいよ本格的なルール化に向けてスタートを切りました。
債権や契約に関する分野の民法が大きく見直されるのは、約120年ぶりのこととなります!

 💡 民法改正により、おさえておきたいのは次の3つです。
◆敷金および原状回復のルールの明確化
◆連帯保証人の保護に関するルールの義務化
◆建物の修繕に関するルールの創設

<敷金の定義・原状回復のルールとは>
「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃借人に交付する金銭をいう」 (改正民法 第622条の2) 

💡 預け入れられた敷金は退去費用に充当され、呼び名も「敷金」として統一されるようになります。関西などの一部地域で敷金を「保証金」として呼ばれていましたが、今後はそういった名称によるばらつきもなくなります。
敷金の定義が決まると同時に、敷金のルールとして「借主が部屋を適法に引き渡したとき、貸主(大家)は敷金を返還しなければならない。」ことも法律で明文化されます。
それと同時に、これまで「原状回復のガイドライン」によって運用されてきた部分が民法に明文化されました。借主に責任のない、通常使用による損耗や経年劣化などについては原状回復義務がないとします。
ただし、敷金や原状回復のルールは従来の取引慣習を民法に盛り込んだものであり、実質的にはこれまでと何ら変わらないケースも多いでしょう。
これに反して賃借人に負担を課す場合には、賃貸借契約における特約としてあらかじめ明確にしておかなければいけません。

<連帯保証人の保証限度額を定めることや情報提供などが義務に>
今回の民法改正で実務上、最も多く変わるのが連帯保証人に関する規定です。
賃金債務に対する個人の根保証について2004年から適用されていた規定が、
不動産賃貸借契約における個人保証へ拡大されることになります。
民法改正後は賃貸借契約の締結時に連帯保証人の極度額(責任限度額)を定めることが義務となり、これが定められていないときは連帯保証契約が無効となります。
極度額は家賃債務や遅延損害金、原状回復費用(特約または賃借人の責任によるもの)を反映して設定されるが、その金額水準については明文化されていません。
また、民法改正後は、連帯保証人から賃貸人に対しての家賃の支払い状況などについて問い合わせがあれば、遅滞なく回答することが「賃貸人の義務」となり、個人情報であることなどを理由に回答を拒絶することができなくなりました。

 💡 さらに、事業用(店舗、事務所など)の賃貸借契約においては、連帯保証人に対して賃借人の財産状況など(財産状況、収支状況、他の債務の有無および金額とその支払い状況、保証金などの内容)を情報提供することが「賃借人の義務」とされました。
これを賃借人が怠り、その事実を賃貸人が知っていたり知らないことに過失があったりすれば、連帯保証人契約が取り消されることで、賃貸人が損害を被ることも考えられます。

連帯保証人は親族などがなる場合も多いと思います。
従来 :arrow: 「家賃10万円の部屋を借りるから連帯保証人になってほしい」という依頼だったのに対し、
民法改正後 :arrow: 「極度額200万円の連帯保証人になってほしい」などといった内容に変わります 😯 
そうなると、連帯保証人になることが敬遠される可能性が増えるとともに、貸主(大家)側も家賃保証会社を利用するケースが多くなると考えられます。
家賃保証会社など法人に対しては極度額を設定する必要がなく、事業用物件における情報提供義務も適用されません。

<建物の修繕などは条件を詳細に取り決めることが求められる>
民法改正後  ➡ 居住中の建物で何らかの修繕が必要になったとき、賃借人が賃貸人にその旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにも関わらず、相当の期間内に必要な修繕がされない場合、あるいは急迫の事情がある場合は、賃借人による修繕が可能であると規定されました。この「修繕権限」に基づいて実施した修繕の費用は賃貸人に請求することができます。ただし、その故障などについて賃借人に責任があれば、賃貸人に修繕義務がないことも明文化されました。

また、賃借人の責任ではない理由で対象物件の一部が減失などしたとき、使用不可の部分の割合に応じて賃料は「当然に減額される」とされました。
さらに、対象物件の全部が減失または使用収益できなくなった場合には、賃貸借契約が終了することも改正法に規定されています。

※注意すべきポイント※  
◇賃借人による修繕が割高だった場合
◇「必要な修繕」を通知した場合の相当な期間とは
◇どのような状態なら「当然減額」になるのか、その割合は
 
 ➡ まだ改正後の民法にも明確な基準はなく、今後の判例の積み重ねに委ねざるを得ない部分です。「修繕権限」を拡大解釈して行き過ぎた修繕をしようとする賃借人が出てくる可能性もあるかと思います。

【無用なトラブルを避けるためには 😆 】
💡 賃貸借契約の際に詳細な取り決めをしておくことが求められます。改正後の民法による規定が周知、定着するまでは国土交通省が公開している「賃貸住宅標準契約書」などのフォーマットを活用することが紛争防止の無難な案かもしれません。
もちろん、賃貸物件を借りる側としても、そのあたりの事情はよく理解しておきたいところです。

漏水事故!責任を負う判断基準とは?

区分マンションを経営されているオーナー様必見!!
今回は、裁判で争われることも多いケース 😯 
「もしも区分所有している部屋で、漏水事故が起きた時…」
水漏れの原因箇所により、損害賠償責任が変わってきます。
漏水箇所は、専用部分なのか?それとも共用部分なのか?

実際のご相談内容や裁判ケースを踏まえて、ご紹介致します 🙂 !
是非、ご参考に。


◆マンションにおける漏水事故が起きた場合、
 責任は区分所有者にあるのか!?

  💡 ポイント   💡 
まずは漏水箇所を特定する

<水漏れ箇所>
漏水箇所が専有部分か共用部分で、責任の対象が異なってくる。
専用部分 ➡ 各区分所有者の責任(区分所有法第6条)
共用部分 ➡ 管理組合の責任(最終的には全区分所有者間でその持ち分に応じて損害が分担される)
ただ…
漏水箇所が専有部分なのか共用部分なのか
わからないときの対応が問題となってきます。
判別の仕方には、原則と例外があります。

原則 ➡ 各住戸に通ずる枝管は専有部分
例外 ➡ 枝管でもその設置場所や構造の具体的な状況によっては共用部分になる。
>水漏れ箇所が本管の場合
本管(部屋の真下を通っている排水管の枝管)は専有部分に該当しそうですが、
構造などによっては判断が異なって共用部分と判断されることもあります。

<トラブルに備えるには>
管理組合の規定で、あらかじめ責任の範囲を取り決めると良いでしょう。

 

どちらの費用負担になるか、トラブルになった例を見て見ましょう。


【ご相談内容】
マンションの1室を所有し、その部屋を賃貸している中、真下の部屋の住人Yさんから、天井から水漏れしていると管理会社を通じて連絡がありました。
水漏れ箇所は、管理している部屋の真下(階下の部屋の天井裏)を通っている排水管の破損であることが判明しました。
今回の水漏れにより、部屋の備品や床が浸水したとの事で、しばらくホテル暮らしを余儀なくされたようです。私はこの部屋を使用していないのですが、この場合Yさんに対して、責任を負うのでしょうか 🙁 

 💡 実際にあった裁判ケースをご紹介します 💡 
区分所有建物の部屋から出る汚水が、その床下にあるコンクリートスラブ(床の荷重を支える鉄筋コンクリート造の床)を貫通し、その階下の部屋の天井裏に設置されている枝管を通じて、共用部分である本管に流されるという構造になっている事案において、漏水の原因となった破損した枝管が、専有部分に属するのか、それとも共用部分に属するのかが、実際に争われたケースがあります。

【判決】
最高裁判決は、漏水が生じた排水管が、コンクリートスラブの下にあり、上の部屋から当該排水管の点検、修理を行うことは不可能であり、階下の部屋からその天井板の裏に入ってこれを実施するほか方法はないことを理由として、配管が共用部分に属することを認めました。したがって、区分所有者の損害賠償責任は否定されました。

最高裁判決から、この問題については、本管は共用部分であり、本管から分岐して各住戸に通ずる枝管は専有部分であることを原則とし、例外的に、枝管であってもその設置場所や構造の具体的な状況によっては、共用部分に該当することがあると考えることになります。したがって、マンションの構造等によっては判断が異なる可能性も否定できないため、この点については留意する必要があります。


◆このようなトラブルを未然に防ぐためには、どうすれば?

  💡 誰が、どのような責任を負うのか、
 あらかじめ明らかにしておくことが大切です。
管理組合の規定によってはどの部分を専有部分とするのか、共用部分とするのかを具体的に明記している場合もあるため確認をしておくことが望ましいでしょう。
なお、区分所有法第9条では、建物の設置または保存に瑕疵があることによって、
他人に損害を生じたときは、その瑕疵は共用部分にあるもの」と推定しています。
そして、この規定は欠落部分がどこかにあるのか不明の場合を前提としていますが、
欠落部分が明らかだけれどそれが共用部分なのか専有部分なのか不明である場合にも適用があると考えられています。
そのため、管理組合などがこの推定を覆すために、立証する必要があるのも知っておくとよいでしょう。

以上のように、自分が責任を負う範囲を管理組合規定などしっかり把握し、
明確にしておくことが大切です。

でも、出来るだけ事故が起きる前に早目の行動をおすすめ致します!

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ホープハウスシステムでは、専門の建物カウンセラーによる建物診断を行い、
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火災保険で詐欺する悪徳業者を見抜け!

もう10月も中頃というのに、台風・大雨による天災が続き、
大変な時が続いているころだと思います。

おうちや所有物件が台風や大雪のため、破損した場合は、
火災保険が利用できて、最大実負担0円での修理が可能なことは
皆様ご承知のことと思います。

 グラフ1

火災保険は火災よりも天災での利用が多く、
自動車保険とも違い、使用するたびに保険料が上がることもありません。
是非活用していきたいですね。

ただ、その「火災保険」をネタに
詐欺をする悪徳業者も多いんです 👿 

今回はそういった詐欺する悪徳業者に負けないような
火災保険の知識と詐欺の手口を紹介します。


「保険を使用して!」「無料で!」「家主様の負担は0円で!」
こういった営業トークには皆さん魅力を感じるでしょう。
もちろん、よくよく考えてみればおかしいこともあるのですが、
「自分は損しないだろう」と誘いに乗ってしまう、
話を聞いてしまう人も中にはいます。

詐欺の手口として多い事例を紹介します。

 

😕 火災保険が適用できないのに、嘘をついて火災保険を使わせようとする
業者が嘘をつくのはもちろん、あなたも嘘を言ってはいけません。
火災保険を使用できるよう、本当は天災で壊れたわけじゃないのに、
業者から「これは今回の台風で壊れたものだ、と申告してください」
指示を受けて、その通りにしてしまうとあなたも嘘をついていることになり、
真実が発覚した時に
保険会社から返金を求められたり、裁判になりかねません。

 

 😯 正式な契約書を結ばずに強引な契約をする
「今すぐ工事しないと雨漏りなど二次災害につながりますよ!」
とせかされ、口約束だけで工事を進めると大変なことになります。
書面による正式な契約書を結ばずに工事を進め、
火災保険の申請が下りなかった…
やはりもう少し考えたいからキャンセルしたい…
と思っても、法外なキャンセル料を請求され、工事も中途半端…に終わることも。
天災が続くと、できる限り早く工事を進めたい気持ちは分かりますが、
契約をきちんと交わし、火災保険の申請が通る目途が立つまでは
様子を見たほうが良いです。

 

 😥 自己負担金ゼロと聞いていたのに、後から全額請求される
火災保険申請をしても保険会社の査定がありますから
必ず保険金が100%全額下りるという保障はありません。
「こちらで無料調査・申請をするからリフォームをしましょう!」
話を持ち掛けられ、火災保険の申請前に契約するのは危険です。
保険金が下りなかった場合は全部家主様の負担になりますし、
キャンセルしたくでも、キャンセル料が発生する可能性もあります。

 

💡 優良な業者を見つけることが一番!
いつでもなんでも相談できるような、優良な業者を見つけることが
賃貸経営にとって、とても大切なことです。
火災保険を活用しての修繕の場合は
・火災保険を熟知している
・火災保険前提ではなく、適用できない場合の提案もしてくれる
・無理矢理に火災保険で工事しようとしない
・火災保険が適用できるか分かるまで工事しない
・丁寧で分かりやすく曖昧な説明にならない
というように、火災保険について熟知して、なおかつ家主様の立場に立って、
契約・工事を行ってくれる業者を探すべきでしょう。

急いでいる気持ちは分かりますが、
「今すぐ決めてくれないと修繕できない 😈 」など急いてくる業者はNG!
少しでもおかしいと思えば、一度立ち止まり、引くことも大事です。
根気強く、疑問に答えてくれる業者様を選んでください。


ホープハウスシステムでは、火災保険を活用した修繕工事に合わせ、
必要ならば外壁修繕・大規模修繕をおすすめしています!

当社は「無料住宅診断」で皆様の建物の状態をお知らせします!
火災保険申請の書類作成もお手伝い!スムーズに申請できるようアドバイスします。

風災などの被害は、屋根や樋など、足場を立てる必要がある修繕が多いです。
戸建でも20万円と高額な足場代も火災保険の補償対象になります。

その足場を利用すれば、足場代を浮かして、通常よりお安く、
大規模修繕・外壁塗装の工事ができます。

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自物件が終の住処!?~終身建物賃貸借事業~

シニア世代が賃貸暮らし?理由と長期入居の糸口でもお伝えしましたが、
賃貸住宅に移り住み、なおかつそのまま、「終の住処」とする人が
今後どんどん増えてきます。

「家賃の滞納」「孤独死」「室内での事故」「遺留品の処理に困る」など
不安はつきませんが、すでに避けては通れない問題となってきています。

今回は、自物件を「終の住処」とするであろう高齢者が入居する時の対応として
「終身建物賃貸借事業」についてご紹介します。


「終身建物賃貸借事業」とは
高齢の単身者あるいは夫婦世帯等が最期まで安心して賃貸住宅に
住み続けられるよう考えられた制度です。

終身建物賃貸借事業は、大家などの事業者が知事の認可を受け、
借家人が死亡したときに終了する借家契約によって
高齢者に対して住宅を賃貸することができる制度です。

この事業の利用により、借家人と大家にはそれぞれメリットがあります。

●借家人のメリット
 高齢になっても入居を拒まない住宅を見つけることができる
高齢者の入居が前提の住宅なので申し込み時に入居を拒まれることはない。
さらに最期まで住み続けることができる。

■大家などからの解約の申入れ事由が限定されている
家主からの解約申入れは、住宅の老朽等の場合に限定される。

■同居人は継続して住み続けることが可能
死亡した賃借人と同居していた配偶者または
60歳以上の親族は継続して住み続けることが可能
配偶者死亡後も同居者は住む場所に困ることがない。

■1年以内の定期建物賃貸借により仮入居が可能
終の棲家として入居したものの、近所づきあいなどの問題で
住み続けられないこともあり得る。
そのような事態への対策として事前に最長1年のお試し期間を設けることができる。

■前払い金の保全措置がとられている
認可物件に入居する場合、通常よりも長期間分の前家賃などを
求められることもある。
しかし、その家賃分住むことなく亡くなったとしても、残りの前払い金が
配偶者や相続人などへ確実に戻せるように保全措置がとられている。

●大家のメリット
■借家人が死亡しても無用な借家契約の長期化を避けることができる
借家契約の長期化とは、通常だと賃借人の死亡後は契約が
相続人に引き継がれてしまうため、相続人が見つからない場合などは
契約を解約することができずに空室の状態が続いてしまう、といったことだ。
同事業で認可を受けた物件ならば借家人が死亡したときに
契約が終了するのでその心配はない。

■遺留品の処理等を円滑に行うことができる
通常の契約だと遺留品は、相続人の許可がないと処理をすることができないが、
残置物の引き取りが一カ月間行われなかった場合、
引き渡し費用を敷金から引いて、残置物引き取り人へ引き渡す
・引き取り人が残滓物を引き取らない場合、処分費用を敷金から引いて、処分できる

■相続人への明渡し請求に伴う立退料を請求されるおそれがない
契約が相続人へ引き継がれないので、立退料は発生しない。

制度を利用するには以下の条件をクリアしなくてはいけません。
1.入居者
・60歳以上
・単身または同居者が高齢者親族であること(配偶者は60歳未満でも可)
2.住宅の基準
・段差のない床、浴室等の手すり、幅の広い廊下等を備えていること
3.高齢者が死亡した場合の同居者の継続居住
・同居者は、高齢者の死亡後1ヶ月以内の申出により継続して居住可能
4.解約事由
・家主からの解約申入れは、住宅の老朽等の場合に限定
5.その他の借家人に対する配慮
・借家人が希望すれば終身建物賃貸借契約の前に
 定期借家により1年以内の仮入居が可能

制度自体は2001年ともう10年以上前に設立しましたが、
認可実績はわずか9,733戸(2016年末時点、サービス付き高齢者向け住宅含む)と
認可実績はまだまだ少ないです。

理由としては
 😕 必要な申請書類が多く、手続きも煩雑である
 😥 バリアフリー基準のハードルが高い
 😐 そもそも制度が知られていない
といったことがあげられます。

そこで、2018年9月、終身建物賃貸借事業の活用を推進するために
制度の改正が行われました。
主な改正は以下の通りです。

・申請の際、付近見取図、配置図、建物の登記事項証明書、
法人の登記事項証明書等の添付書類を不要とする。

・既存の建物の段差や階段の寸法に関するバリアフリー基準を削除する。

セーフティネット住宅でも終身建物賃貸借事業の活用を促進するため、
9m2以上のシェアハウス型住宅について、
セーフティネット住宅と同様に終身建物賃貸借事業に活用できることとする。

高齢者居住安定確保計画を定めている都道府県および市町村は、
認可基準として設備基準、バリアフリー基準を強化または緩和できることとする
(現行では床面積のみ可)。
※高齢者居住安定確保計画とは、各自治体が定める、
高齢者が住まいを安心して確保できるようにするための計画
 
終身建物賃貸借物件は各自治体で認可しており、
また、改正で都道府県知事が必要と認める書類の提出が必要になりました。

情報としては平成30年(2018年)9月以降のものか確認し、
市町村の担当課へ一度問い合わせて見ましょう。

 

制度としては、引き続き試行錯誤という段階ですが、
今後、高齢者を受け入れざるを得ないケースも多々出てくるでしょう。
オーナーさんと入居者どちらも、安心できる提案として、
物件やターゲットの状況によっては活用していきたいですね。

子育てにふさわしい賃貸物件をつくろう

「子育てをするなら絶対持ち家! 😉 」
「マンションより一戸建てがいい~ 🙂 」
という声はよく聞きます。

上下左右の友人に迷惑をかけることがない
子どもが二人いると、部屋が足りない
持ち家なら、子どもが汚しても大丈夫

子育ての理想の住まいを叶えてくれるのは、一戸建てのマイホーム♬
という、俗にいうマイホーム神話、実はもう過去のこと。

少子化、ライフスタイルによって住まいを変えたい、
近所とのつながりを重視しない
賃貸のマンションを選択肢に入れる子育て世帯は増えているんです。

今回は、子育てにふさわしい賃貸物件はなにかを考え、
空室対策に生かせるか、調べてみました。


■広さは3LDK以上希望。でも、場合によれば2LDKも対象に
四人家族がストレスなく、暮らすには4LDKくらいの広さが必要ですが、
賃貸のマンションでこの条件に当てはまる物件はほぼありません。

ただ、三人家族、あるいは一人部屋がまだ必要ない幼児であれば、
3LDKもしくは、壁がなく、子どもが見守れる2LDKも需要があります。
中にはふすまなどをとって、2LDKにして暮らす子育て世帯もあるようです。

 

■1階が理想の部屋に!
「走っちゃだめ」「物を落とさないで」と子供にいっても、
なかなか難しいこともあります。
どうしても階下の人に迷惑をかけることもあります。
1人暮らしの人には避けられがちな1階なら、階下に気を使うことがなく、
万が一の災害時にもすぐ外に避難できます。
荷物やベビーカーを上げる必要がないのも、いいです。
ベランダからの転落事故の心配もありません。

ただセキュリティ面が心配なのは1人暮らしと一緒。
せめてモニター付きインターホンはつけてほしいです。

■和室が子どものプレイルームに
赤ちゃんがいる家庭では、
クッション性のある畳の上を寝室があると便利です。
おむつ替えをしたり、一緒に寝たり、ハイハイもできて、
プレイルーム代わりになります。

 

■駅から離れてもいい、と言える環境を
駅から離れると、静かで落ち着いた住環境が広がります。
子育てにはちょうどいい環境さえあれば、
駅近物件でなくても、需要はあります。
利便性のよいバス停があれば一番ですが、
なにもなければ、駐車場は欲しいところです

 

★子育てに配慮した賃貸物件には補助もあり!!★
自治体によっては、子育て世帯家族の生活向上のために行った
リフォームについて、補助を出すところもあります。

例)大阪市子育て世帯等向け民間賃貸住宅改修促進事業
子育て世帯等の入居促進を目的とした改修工事を行う
民間賃貸住宅オーナーに対して、
一定の要件を満たす改修を行った場合に、改修工事費の一部を
最大75万円/戸まで補助します。

■補助の対象となる要件
①子育て世帯等の居住用としていずれか1つの工事を含む
・居間を含む間取りを変更
・居間または寝室における窓の断熱改修工事
・外壁、屋根。居室における天井または床の断熱改修工事
・一定の要件を満たすユニットバスの新設・改良工事
②以下の全ての子どもの安全対策措置を行うこと
・居間及び玄関ドアにおける指はさみを防止するための措置
・居間のコンセント部における感電を防止する措置
・居室の吊るし戸、棚等における地震対策のための措置
③昭和56年6月1日以降に着工した建物であること
④床面積が40平方メートル以上
⑤住戸に台所、水洗便所、収納設備、
  洗面設備及び浴室(浴槽を備えていること)を備えたもの
⑥他の補助制度により国又は他の地方公共団体等から補助を受けていないこと

申請受付期間は平成31年2月8日(金)(必着)

まだまだ時間はあるので、自分の物件が
子育て世帯のニーズに当てはまりそうだ、と思うならば、
ターゲットを見据えた改修工事も考えてみると良さそうですね。

物件が浸水!大家は何ができるのか?

平成30年7月の西日本豪雨で浸水被害にあわれた方、関係者様、
お見舞い申し上げます。

平成で最大被害の豪雨災害となった今回の大雨。
水被害にあった家屋の対処や、大家としてどんな対処をすべきか、
調べてみました。


水被害にあった家屋の対処について
「震災がつなぐ全国ネットワーク」が作成している資料を参考に見ていきます。http://blog.canpan.info/shintsuna/
(被災地でお困りの方へ「水害にあったときに」~浸水被害からの生活再建の手引き~の冊子版配布を受け付けています。詳細はHPをご確認ください)

■公的な支援を受けるために…
1.被害状況の確認
罹災証明書の取得、保険金の請求のために
被害状況が分かる写真を撮ってもらいましょう。
・被害の様子が分かる写真を撮る
・家の外を4方向から浸水した深さが分かるように撮る
・室内の被害状況も分かるように撮る

2.管理会社、保険会社に連絡
入居者から直接連絡があった、または物件の被害を確認したら
管理会社や保険会社に連絡しましょう。

火災保険においては、台風、暴風雨、豪雨等による洪水、
高潮、土砂崩れ等による被害が補償の対象とされています。

台風による強風による損害は「風災」の補償対象、
台風で大雨が降り、床上浸水・洪水、土砂崩れなどは「水災」で
補償されますが、この「水災」の補償を抜くことで、
保険料が安くなるプランや
または長期契約により水災の補償がない
火災保険(住宅火災保険、普通火災保険)もあります。

ハザードマップなどを確認し「絶対に水災はない! 😡 」と言えるので
あれば、水災のないプランでも良いかもしれませんが、
異常気象により、どこでどんな災害が発生するか分からない昨今、
水災保険もきっちり入っておきましょう。

水災保険に入っていなかった場合は、
金融機関から修繕費用の融資を受けたり、
都道府県、市町村からの復興支援をチェックしてください。

3.罹災証明書の発行を受ける
補償金の申請をするために「罹災証明書」を被害にあってから
2カ月以内には発行するようにしましょう。
市役所・町村役場あるいは市町村HPで「罹災証明申請書」が
頒布されていますので、そちらに記入の上、
写真、位置図、申請者印鑑(認印課)を担当課へ提出ください。

ただ、今回のような大規模災害では、申し出がなくても
全戸調査が行われ、発行までには数週間から1か月以上かかります。

■大家のやるべきことは?
天災での入居者の持ち物や部屋への損害について、
大家さんは入居者に対して、損害賠償責任を負いません。
同様に大家さんが入居者へ建物の修繕についてお願いすることもできません。

ただ、大家さんは入居者が再び家に住めるように修繕する義務があります。
賃貸借契約によると、物を使える状態で提供することが前提となっているので、
貸した物が壊れて使用に支障が生じた場合には、
貸した物を修繕しなければなりません(民法606条1項)。

大家さんが修繕義務を負うのは、以下の通りです。
1.大家さんが契約上提供すべき設備であること
2.壊れたり汚れたりした原因が借主にないこと
3.壊れたり汚れたりしたことにより、建物の利用に支障があること
4.修繕が可能であること

床上浸水の場合は、
1.被害は貸している建物自体である
2.天災により浸水
3.借主の建物の使用に支障が生じている
4.修繕は可能
なので、大家さんは住居を修繕する義務が発生します。

しかし、建物が泥水に浸かり、建具の入れ替え、
エアコンや湯沸かし器などの設備が取り替えとなると、
多額の費用が掛かります。

4.経済的に修繕が不可能
となった場合は、賃貸借契約自体が終了となります。

■共に住居を片付ける
床下だから、住むには問題ないと思って、濡れた家をほっておくと、
後からカビや悪臭が発生して、生活に支障が出ます

ボランティアセンター、市町村、社会福祉協議会に相談すれば、
お手伝いを頼むこともできるので、お願いしましょう。

ふすまや障子、エアコン室外機、
トイレ・風呂釜は綺麗に洗って、乾かせば使える場合もあります。

 

大家さんにとっても入居者にとっても、大事なお部屋であり、
被害にあった土地も、暮らしていた大事な地域です。

災害リスクがまったくない物件は、ありません。
どんなに準備しても、被害がないという保障はありません。

災害が発生し、その後、なにができるか。
自分や家族の安全と共に、入居者や物件のこと、
今一度考えていきましょう。

 

色んな借主の住まいを考える「住宅セーフティネット法」

国土交通省は2017年度
高齢者、子育て世帯、低所得、障がい者など
住宅を確保することが困難な住宅確保要配慮者を支援する
「住宅セーフティネット法」の改正法案を閣議決定しました。

シングルマザー、シングルファザーの今時住まい
「エイジングインプレイス」シニアの賃貸を考える
ニーズ増!元気な高齢者の安心住まい
でもお伝えしていますが、
賃貸を借りる人は「若いシングル」「新婚さん」というイメージもありますが
時代と共に「低所得者」「高齢者」「ひとり親世帯」など
さまざまな理由とリスクを抱えた借人が多くなっています。

今回は「住宅セーフネット法」の改正内容と
オーナーとしてこれからどう動けばいいか考えていきます。


今回の改正案は主に以下の内容となっています。

●要配慮者向け賃貸住宅の登録制度が開始(今年度秋ごろ)
要配慮者であることを理由に入居拒否をしない賃貸住宅
(床面積、構造及び設備、家賃他条件が国土交通省令で定める基準に沿ったもの)を
都道府県に申請し、登録すると、その情報を国と都道府県が共有。
要配慮者に向けて、情報提供をします。

・家賃債務保証料の補助がある「専用住宅」
家賃や家賃債務保証料については
賃貸住宅の空室を要配慮者に限定した専用住宅として登録した場合、
自治体と国とが折半する形で家賃は最大4万円、
家賃債務保証料は最大6万円まで補助されます。

専用住宅の登録は一戸単位からでも可能。
また、必ずすべての要配慮者を対象としなくてもよく
高齢者のみとか子育て世帯のみなど選択することができます。

・要配慮者とオーナー・部屋をマッチングさせる「居住支援法人」
空家・空き部屋を保有している家主と入居したい要配慮者の
円滑なマッチングを担う「居住支援法人」が新設されます。
居住支援法人は、自治体にある居住支援協議会の活動の核になる
団体と位置づけられ、都道府県から指定を受けます。

福祉系NPOや社会福祉法人、CSR活動を行う一般企業、
そして不動産会社が居住支援法人の役割を担い、
要配慮者の相談窓口、登録住宅の情報提供、入居後のフォロー、
そして家賃債務保証事業も行います。

・代理納付で生活保護受給者を受け入れやすくなる
要配慮者向け賃貸住宅を登録することにより、
生活保護受給者に対する住宅補助費が直接貸主に支給される

「代理納付」の推進が期待されています。
居住支援法人の新設によって入居後の見守りサービスなどをケアすることにより、
居住の安定を図ることが可能。
さらに登録した住宅の賃貸人から受給者が家賃滞納を起こしそうな場合は、
家主側から代理納付への変更に関する通知を福祉事務所にできます。

・改修についての補助
バリアフリー化など一定の基準を満たす改修については
1戸上限50万円の補助。
耐震改修や空き家を要配慮者向けのシェアハウスに転用するなど規模が大きい場合は
1戸100万円の改修費が国から受けることができます。

さらに都道府県に申し込めば、同額の改修費用補助がでるため、
最大1戸あたり200万円の補助を受けることも可能です。


ひとことに住宅確保要配慮者といっても、
そのライフスタイルや状況はそれぞれ 😕 

どういう入居者をイメージして、どんなバリアフリーを設置するか 😕 
家賃の滞納が起こらないために、どんな支援を利用するか 😀 
自分の物件に合う入居者は高齢者なのか子育て世帯なのか 😐 

まずは入居者をイメージした「専用住宅」化をめざすと、
居宅支援法人の協力も得やすくなるでしょう。
借主もオーナーも幸せになるマッチング 😉  🙂 
住宅確保配慮者の長期入居のカギになるはずです。

 

参考:国土交通省 民間賃貸住宅
(今回紹介した内容はまだ反映されていませんが、
相談できるお問合せ先などが掲載されています)

ニーズ増!元気な高齢者の安心住まい

平成28年5月1日現在、総務省統計局による概算値を見ると、
総計1億2,696万人のうち、実に27.1%が65歳以上の高齢者になっています。

4人に1人から3人に1人が高齢者となる一方で、
そのうち介護を必要としていない方が約80%を占めています。

つまり、ほとんどが元気な高齢者 😉 なんです。

今回はそんな高齢者の方とオーナーさんが
どちらも安心できる住まいづくりについて話しします。

◆抱かれがちなネガティブな印象
高齢者の賃貸へネガティブな印象があるのは、ある程度仕方がないかもしれません。
例えば…
😐 バリアフリーなどのリフォームが必要なんじゃないの?
😐 年金暮らしで家賃を滞納されてしまうかも
😐 孤独死のニュースも多いし、不安…
などなど

しかし、どんどん高齢化社会が進んでいる今、
リスクを考えるだけではダメなんです!

高齢者リスクに対する知識を身に着け、
みんなが住みやすい環境をめざしましょう。


◆不安を解消する「高齢者リスクの備え」とは?
①「高齢者向け」を意識しなくても大丈夫
「高齢者」が住むなら、バリアフリーリフォームが必要なのでは?と思いがちですが
元気な高齢者ならば、段差を残して、
体を動かしてもらったほうが健康に良いことも。

避けられがちな「1階」「畳の部屋」は高齢者の人にとっては
まさに求めていた環境!と言われることもあります。

本来バリアフリーは、子どもからお年寄りまで
みんなが住みやすい環境のことを言います。
イメージする「高齢者」にこだわらず、
「誰もが過ごしやすい」をポイントにリフォームを考えたいですね。

②お金の心配は保険、保証でカバー
賃料の滞納を心配される方もいますが、
団塊世代以上の人たちは義理堅く、
人に迷惑をかけたくないと意識している方が多く、
滞納はむしろ少ないと言うオーナーさんもいらっしゃいます。

連帯保証人がいない人に向けては、連帯保証サービスがあります。
一般財団法人高齢者住宅財団など他民間業者より低い保証料で
連帯保証人となり、家賃債務保証を行う団体もありますので
一度調べてみてはいかがでしょうか。

死亡事故等など現状回復費や家賃損失などが発生した時は
損失を補償する保険もあります。
オーナー向け、高齢者の方向けのものなど種類もありますので
入居の際は互いに検討してみることも良いでしょう。

③サービス利用、オーナーさん入居者同士のコミュニケーションで見守ろう
前述の保険や保証の他にも、
見守りサービス訪問介護、食事の宅配サービスを利用してもらえば、
比較的早期に異変を察知することができます。

そして、それ以上に大切にしたいのはオーナーさんや近隣住民との交流です。
洗濯物が干しっぱなしになっていないか、郵便物がたまっていないか、
集まりに参加しているか…などなど。
普段からコミュニケーションをとっていれば、
なにかあった時も、すぐに気づくことができます。


バリアフリーと同じく、交流が普段からできる住まいは
誰にとっても住みよい住まいになるはずです。

高齢者の賃貸には色々と不安もありますが、
みんなが安心して、住むことができる住まいづくりを
一度考えてみてはいかがでしょうか?