契約書や覚書を取り交わすのではなく、口だけで契約を締結することを「口約束」と呼びます。
契約は、申込みと承諾の意思表示の合致により成立するので、
契約書にサインしていなくとも、口約束をした際に
当事者の申込みと承諾の意思表示が合致していれば、契約は成立します。
お部屋に入居してもらう際の契約書や覚書については、きちんとされていても、
その後、トラブルやお願い事が発生した際、
入居者に口だけで説明したり、約束したりしていませんか?
「大した約束じゃないし、私がちゃんと覚えているから」
「お互い、納得しているし大丈夫」
「習慣化してるから、みんなも分かってくれている」

今は良くても、いざという時、大変な事態になってしまうかもしれません。
今回は、曖昧な「口約束」からどんな問題が起こりえるか考えてみましょう。
[ケース1]口約束で賃借人と退去の合意をした場合
建て替えなどを理由に、オーナーが賃借人の部屋を訪れて、期日までに退去してほしい旨を伝え、
賃借人が口頭で了承するというケースがよくあります。
退去料も口約束で伝えて、のちのち「もっと出してくれないと退去できない!」と
退去を拒まれるケースもあります。
簡単な書類で構わないので、賃貸人の退去時期や退去意思を明確にする書面は残しておきましょう。
また定期借家契約であっても、きちんと書面で契約・更新をしなければ、
立ち退きを求めるのは困難になります。
[ケース2]DIY可の部屋だが、想像よりカスタマイズされてしまった
賃貸物件の原則は原状回復。しかし、それを知らない入居者は多くいます。
空室対策としてDIY可のお部屋にする場合はそのことを念頭に置く必要があります。
DIY可のお部屋では、原状回復費用の負担を入居者様に求めないという判断をするオーナーもいます。
ただ、自由にDIYをさせるのではなく、カスタマイズする箇所・内容は
はっきりと伝えてもらうようにしたほうが無難です。
この許可を口約束でとると、いざという時に「言った言わない」のトラブルになるので、
DIYの内容やスペースを書き起こし、DIY前の写真を撮ったり、
写真を見ながらDIYを許可した箇所に丸を付けたりして、
明確な内容と同意書(契約書)を作るのがベストです。
[ケース3]更新料や家賃の支払いをうやむやにしたまま相続へ
アパートの引継ぎ後に契約書を片手に話をすると
「更新料なんて今までなかった!」「家賃の減額をしてもらっていた!」など
現在の契約書とは違う話が出てくることがあります。
長期入居をしてもらっている入居者に起こりがちなので、辛いところ。
関係を壊さず、泣く泣くそのまま住んでもらっても
数年単位で本来得られるはずだったお金を得られず…ということになるかも。
お金のことを口約束で決めるのは、大変危険です。
期限のことも含めて、同意書を作成したり、契約書を更新していくことが必要です。
いざという時に備えて、口約束も改めて書面にまとめよう!
冒頭でも例に挙げましたが、「私が分かっているから」では
病気になった時や相続の段階で他の方が困ってしまいます。
せっかくの財産がトラブルの種になってしまうことも。
自分でも誰でも分かる形で、物件のことはまとめておくとよいでしょう。
■契約書を作成すること
契約後の条件変更や追加は、変更契約書や覚書という形で
書面に残すことが大前提です。
今、書面がない約束事も契約更新の際に改めて作成し、
入居者との同意を確認し合いましょう。
■口約束をリストアップする
口頭で取り決めたことも、改めて書面でリストアップしましょう。
口約束をした日、約束した人(入居者以外の場合はそのことも記載)、
契約更新など約束事を確認、書面で残すことができる機会など
他の人が分かるような内容を残しましょう。
ここまで口約束の危険性と紙面に残す大切さについてお伝えしてきましたがいかがでしょうか?
最近では書面に残すことの効力が浸透しつつあり増えてきていると思いますがこれからも気を付けていきたいポイントですね。
今回の記事で皆様が少しでも書面に残す大切さをわかっていただけましたら幸いです。