少子高齢化が進み、人口が減少している日本において、
労働市場における外国人の受け入れニーズは拡大しています。
厚生労働省が令和4年10月末に発表した「外国人雇用状況」の届け出状況まとめを見ると
外国人労働者数は 1,822,725 人で、前年比 95,504 人増加し、
届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新。
賃貸市場においても、見逃せない客層と言えるでしょう。
一方で、オーナーと不動産管理会社はトラブル被害に遭った経験などから
受け入れに消極的と言われています。
しかし、入居者を日本人に絞っている場合、繁忙期は新年度が始まる1~3月が中心ですが、
外国人が入居を検討するのは、日本の入社・転勤シーズンでもある2~3月と8~9月。
さらに、留学生が来日する1月、4月、7月、10月にも空室を埋めるチャンスがあります。
また、 日本賃貸住宅管理協会が出した
「外国人の受入れに係る入居前・入居中・退去時の事例収集や実態調査」を見ると、
「今住んでいる部屋をどのように探したか」という問いで
外国や勤務先の紹介で探したが43.7%、その他親族や友人の紹介が16.0%など
約半分の人たちが人づてで部屋を探しており、
外国人入居者が入居希望者を紹介してくれることもあるのです。
外国人の方を自分の物件に受け入れるか、検討できるよう、
まずは外国人労働者の現状を調べてみましょう。
■外国人労働者の状況について(厚生労働省 令和4年10月末時点発表)
労働者数が多い上位3か国
1.ベトナム 462,384 人 (全体の 25.4%) 〔前年 453,344 人〕
2.中国 385,848 人 (同 21.2%) 〔同 397,084 人〕
3.フィリピン 206,050 人 (同 11.3%) 〔同 191,083 人〕
対前年増加率が高い主な3か国
1.インドネシア 77,889 人 (前年比 47.5%増) 〔前年 52,810 人〕
2.ミャンマー 47,498 人 (同 37.7%増) 〔同 34,501 人〕
3.ネパール 118,196 人 (同 20.3%増) 〔同 98,260 人〕
日本に在留する外国人労働者のほとんどを占めるアジア諸外国の中に
英語が母国語の国はありません。
そのため、コミュニケーションは英語以外にも取れるように考えなくてはいけません。
●上記の国の中で公用語(第二言語)が英語の国
フィリピン
●日本同様、英語が国際語の国
ベトナム、中国、ネパール、インドネシア、ミャンマー
日本語能力については
ほとんど理解できない 23.7%と、互いになかなか苦労しそうな調査結果となっています。
■課題解決には多言語資料を活用!
言語によるさまざまなトラブル、コミュニケーションに対しては、
国や業界団体が作成した多言語資料を活用したと答えている人が多いです。
生活面に関しては▼
外国人生活支援ポータルサイト | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
入居の際の手続き、約束事の確認は▼
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会:外国人入居円滑化支援のご案内 (jpm.jp)
を活用するとスムーズに済むでしょう。
■ライフスタイルを把握して、既存物件を外国人入居者向けにしてみる
今住んでいる部屋で一番重視したこととしては、「家賃」が最も高く、37.7%。次が「学校
や勤務先(アルバイト先)からの近さ」で、25.3%でした。
外国ではバス・トイレが一緒の住まいが多かったり、平屋が多い国があるなど、
日本人とは異なったライフスタイルを持っている人が多くいます。
そのため、最近敬遠されるユニットバスの物件や、1階の部屋に抵抗感がない外国人の方もいらっしゃいます。
また
・家具・家電付きにする
・多少狭くても、シェアハウスを許可する
・敷金礼金など初期費用を安くする
などの対応により、空室だった部屋が人気の部屋に生まれ変わる可能性も秘めています。
もし面談やアンケートをとる機会があったら、ぜひその人の国のライフスタイルや
日本での暮らし方についても聞いて、お部屋づくりの参考にしてみるのもありでしょう。
時代によって、入居者の考え方や過ごし方もどんどん変化していきます。
今後も賃貸経営を続けるのであれば、「外国人」の受け入れについては
ぜひ一度、ご検討・お勉強してみたほうがいいかもしれません。