需要高傾向!2024年の民泊事情

令和5年12月1日~令和6年1月31日の民泊の宿泊実績(厚生労働省)を見てみると、
全国における宿泊者数の合計は、264,955人(前年同期比120.5%)
宿泊者数の内訳を見ると、外国人が49.0%の利用で、
前年同期比155.1%と利用者が爆発的に増えているのが分かります。
地域別でみると東アジアが最も多く、全体の45.9%を占めており、
今後もさまざまな国籍の外国人が利用すると見込まれています。


ホテルの料金も高騰傾向にありますが、
これは外国人観光客の需要が高まったからというよりも、
円安や物価高、人手不足が大きな理由を占めています。

外国人旅行者の宿泊費は平均宿泊費は10,261円(観光庁「訪日外国人消費動向調査」、2023)。
日本人の13,722円(観光庁「旅行・観光消費動向調査」、2023)に比べ3500円程度低く、
そもそも宿泊施設が日本人と異なる可能性があるとも言われています。

再び民泊の需要が急激に高まっている今の民泊事情をお伝えします。

■これまでの民泊事情
民泊は戸建やマンションなどの集合住宅のすべてや一部を活用して
宿泊サービスを提供することを指し、日本でも利用者が2015年頃から増加し始めました。

当初は宿泊業のルール「旅館業法」のようなものが、民泊には整備されておらず、
賃貸で無許可で始めたり、利用者のマナーが悪かったり、
色々とトラブルが多発したため、ルール作りが強く求められていきました。

2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、民泊を行う場合には
1.旅館業法の許可を得る
2.国家戦略特区法(特区民泊)の認定を受ける
3.住宅宿泊事業法の届出を行う

のどれかを選択することになりました。

一般的には3の「住宅宿泊事業法の届け出を行う」が参入しやすかったのですが、
年間宿泊数日数の制限(営業日が180日以内)があったり、
オーナー不在の場合、「宅地建物取引士の資格」もしくは
「住宅取引などに関する2年以上の実務経験」を有している
管理者
を配置しなくてはなかったりなど、
厳しい条件もありました。

民泊法が施行されてから現在にいたるまで、
事業者は16倍の3万5千件に急増しましたが、
ニーズのミスマッチやコロナ禍の影響などで4割が廃業しています。

■現在の民泊事情
2023年7月には所定の講習の受講修了者も管理者として認められるようになりました。
(※20時間程度の学習ならび7時間程度の講習を得て終了試験に合格)

2023年12月に旅館業法が改正・施行。
これによりホテル・旅館の購入者は
事前の承認手続を経て、旅館業の許可を引き継げるようになりました。

 ■民泊参入において気を付けたいポイント
【立地、物件で変わるターゲット層】
宿泊ニーズは、住居以上に立地の影響を強く受けます。
民泊の主な顧客層は、アジアを中心とする観光目的の外国人旅行者(いわゆるインバウンド)。
・交通利便性の高い都心の主要駅の近く
・外国人に人気の観光地周辺、リゾート滞在に向く絶景スポット

などが立地が当然向いています。
また、家族連れやグループ旅行者には、大人数が収容できる施設が好まれます。
ホテルとの差別化を図る点でも、広めの部屋(40㎡以上)を選ぶことを意識しましょう。

都心のマンションタイプ
ほとんどが外国人観光客。
大きい荷物を携え移動するので、エレベーター付きがマスト。
地方・戸建てタイプ
外国人以外にも日本人観光客の利用が多い。
周辺にホテルが少ない土地柄ならなお良い。
集客サイトに観光地までの距離や時間などの情報を掲載すると◎

【売り上げと費用】
宿泊があれば、賃貸の家賃よりも高い売上が入りますが、
運営費用が多くかかるので、家賃の約3倍の売上は必要と言われています。

賃貸物件同様、管理方法を自主管理と代行事業者委託から選びます。
民泊を初めてする人はもちろん、物件まで距離があるような場合は
代行業者委託を選んだ方が無難です。
代行業者の費用のほかにも
・集客システムの利用料
・リネンクリーニング代
・消耗品費
・宿泊税
 などがかかってきます。

【重要な口コミ】
民泊の場合は、口コミと料金設定で全てが決まると言っても過言ではありません。
民泊の利用を検討する人は、この口コミを重視しています。
もちろんおもてなしも必要になっていますが、それ以上に
・物件の前まで行ったが鍵が開かない
・目印の看板がなく、迷った
・トラブルで電話をかけたがつながらない
・掲載されている情報とまったく違う

など安心してスムーズに宿泊できない!という事態が
低評価につながっていきます。
無人運営やコストカットは慎重に判断していかなくてはいけません。

民泊を営業する前には、上記の留意点を押さえつつ、
近辺で民泊はないか、規模は、料金は…などリサーチしていくことも大事です。

民泊業界に関連するサービスやツールをまとめた
「2024年 民泊業界カオスマップ」(株式会社プレイズ調べ)なども参考に
民泊に興味のある方は、調べたり、実際に民泊を利用してみてはいかがでしょうか?