全国賃貸住宅新聞によると、
留学生の秋需要はコロナ禍前の2019年の水準にまで回復しているそうです。
9月入学までの夏~秋がお部屋探しのピークシーズンでもあり、
留学生をターゲットとする物件では
新たな繁忙期シーズンと捉えてよいでしょう。
以前は家賃の安さに重きを置いていた部屋探しが主流でしたが、
国籍によっては、成約単価が上がっているとのこと。
今回は国別でみる外国人入居者のお部屋探しについて調べてみました。
[POINT!]日本は世界に比べると「割安」?
イギリスの経済専門誌「エコノミスト」が年2回発表している「ビッグマック指数」。
マクドナルドのハンバーガー「ビッグマック」の平均価格をアメリカドルに換算して
国ごと比較することで、通貨の購買力を評価する指標としています。
年々日本は順位を落とし、世界的な物価上昇でも、
海外に比べて日本の上昇率は低水準に留まります。
訪日観光客の中にはそうした「割安感」に惹かれる方もいらっしゃいます。
■住まいの選択は、母国の環境に寄せた感覚が多し
国籍に関わらず
・初期費用が安い
・家具家電付
・フローリングの洋室、押し入れではなくクローゼット
・バス(シャワー)・トイレ別
・学校や職場から近い(駅からの距離よりも電車移動を少なくしたい)
といった物件が好まれる傾向にはありますが、その他の部分は、
それぞれの母国によって変化してくるようです。
〇東南アジア(ネパール、ベトナム等)
留学生、働き手としても、徐々に増加しているのが、東南アジアからの人たち。
低家賃帯の物件を好み、家電付のシェアハウスを選ぶ方も多いそうです。
部屋の広さ、古さは希望しないものの、
バス・トイレは別の方が好まれるようです。
〇中国、韓国
家賃を重きに置いていたお部屋探しが主流でしたが、
昨今は家賃よりも立地を優先する傾向が高まっているようです。
特に中国人の部屋探しは高級志向に変化しているようです。
一人部屋が良く、日当たりも重視。
バス・トイレ別希望と、日本の学生と同じようなニーズを持っています。
キッチンはガスコンロの方が好まれることが多いそうです。
〇欧米系、オーストラリア人
部屋の広さを重視し、一人暮らしでも30平米以上の広さを希望することも。
3点ユニットでも大丈夫ですが、こちらも広さは重要。
ただ、きれいであれば、築古であっても、構わないという方が多いようです。
[POINT!]【注意】外国籍だからといって、一律に判断は厳禁
海外から日本へ勉強・働きに来られる人も増えていますが、
一方で、両親が外国籍なので、当人も外国籍。
ただ、日本に生まれて、日本で働いて、日本での生活に支障はない方も
増えてきています。
外国籍であっても信頼できる職場で働いていて、家賃収入にも問題ない、
良識ある方ももちろん多くいらっしゃます。
不動産会社から「外国籍なんですけど…」と切り出されても、
・外国籍を選択している理由
・日本で暮らして何年か
・本人の年収
・勤続年数
・連帯保証人の内容(外国籍の親族であれば、そちらの事情も確認)
などを確認して、受け入れを検討してみてはいかがでしょうか。
[POINT!]注目しておきたい「外国人技能実習制度」の廃止と新たな制度
外国人の技能実習生の失踪が相次いでいることなどを受けて、政府の有識者会議は、
10月に今の技能実習制度を廃止して新たな制度をつくるとした最終報告書のたたき台をまとめました。
・これまで原則できなかった別の企業などに移る「転籍」を条件付きで認める
・日本の受け入れ企業などが受け入れ手数料の一定額を負担する
等の案が現在上がっているようです。
すでに制度を利用した実習生を受け入れている大家さんは、
こちらの動きにも注目したほうがよいでしょう。
外国人の日本での生活は、年々変化しています。
しかし、その数は年々増加の一途をたどり、
今後も大家さんにとっても、重要なお客さんとして、浸透していくでしょう。
急な「入居希望者が外国籍なんですけど…」の問い合わせにも対応できるように
都度都度、情報を仕入れたり、エリアに詳しい不動産仲介会社の方と相談しながら、
選ばれる物件づくりを目指してみてください!