令和4年における侵入犯罪の認知件数は前年より1.9%減少しましたが、
4万6,416件とまだまだ多くあります。
強盗などの場合、犯行グループを募り、知らない者同士で金持ちリストを頼りに
犯行に及んでいるケースもあり、
歯止めが利かぬうちに被害者に大きなケガを負わせたり、
場合によっては死に追いやる事件も起こっています。
また大家個人を恨み、狙った事件も発生しています。
■2022年12月神奈川県茅ケ崎市
犯人は家賃を滞納し、退去を求められた末に逆恨み。
契約書や裁判記録に載っていた大家の住所を頼りに自宅へたどり着き、
玄関を開けた大家を殺害しました。
■2022年8月福岡県川崎町
犯人は大家と同じ町内に住む男。大家から家を借りていたが、
家賃を巡るトラブルがあり、大家を殺害し、さらに自動車を盗み、
酒気帯び運転で現行犯逮捕されました。
■2022年3月千葉県市川市
犯人は2階に住む男。騒音を巡ってのトラブルが原因で
1階に居住している大家の女性を殺害しました。
不安をあおるわけではありませんが、
ご自身だけでなく、家族を守るためにも一度しっかり考えてみましょう。
!個人情報を守る!
大家さんの多くはご自身の本名や現住所を晒して、大家業をされていることと思います。
時勢に即するならば、今後はできるだけ、個人情報は公にしないようにしていくことが良いでしょう。
・ご自宅のご住所は避け、法人化してオフィスの住所を表記する
・家賃保証会社や管理会社を活用する
など、入居者と直接交渉しない形にしていった方が無難なのかもしれません。
また、2022年5月に成立した「改正民事訴訟法」では
原告の住所・氏名を秘匿する制度が設けられています。
退去や請求時に裁判沙汰になる場合は、こうした制度も活用してください。
!借主と単独でやり取りを進めるのはできるだけ避ける!
家賃保証会社や管理会社を活用するのはもちろんですが、
最近入居希望者と直接やりとりができる「ジモティー」等にも注意が必要です。
情報の掲載が無料なことは魅力ですが、
音信不通、内見の無断キャンセル、保証審査に通らないなどの
トラブルもよく聞きます。
トラブルになった際の対応も大変なのを考えると、単独でのやり取りはリスクが大きいことを
理解しておきましょう。
!優しさが裏目にでることもある!
滞納等のトラブルの際、救済措置として家賃の支払いを待ったり、
多少の契約違反を見逃すこともあるかもしれません。
もちろん、それが長期入居や空室対策につながることもありますが、
特別扱いが続くと、それが普通!と思いこむ人もいて、
いざ、他の人と同じ対応を取り、家賃を取り立てたり、退去を促すと、
「今までは大丈夫だったじゃないか!」とお怒りになる方もいらっしゃいます。
家を失うことは、生活基盤を大きく揺るがされることであり、
大きな恨みを買う場面がどうしてもあります。
優しさのつもりが、問題を後回しにして、大きな問題へ成長することもあるのです。
トラブルには毅然とした態度で、対応することをおすすめします。
!大家であることや資産について口外しない!
近年、各地で相次いだ広域強盗事件。
高額所得者の個人情報を頼りにターゲットを絞り、計画的に行われることもあります。
羽振りのよい話や職業について表に出すことはもちろん、
不特定多数から見えるSNSやHPで顔写真や家族の写真、旅行や家の写真などを公開することは
犯罪に巻き込まれる可能性が高まるので、避けた方が良いでしょう。
窓からの景色だけで家を特定されることもあります。
!セキュリティ対策!
自物件だけでなく、オーナー様の自宅もセキュリティ強化が必要です。
「代々地主の家系で…」という方が自衛のために、地元を離れるという話もあります。
ご自身やご家族の安全も考え、対応していきましょう。
昔からこのやり方でやってきた。
入居者とのやり取りがこの仕事の魅力でもある。
困っている人に手を差し伸べたい…。
ここまで読んで、様々なお気持ちを持たれることだと思います。
ただ、世の中には色々な方がいて、想定外のことが起こることもあります。
ぜひ一度、ご自分の経営方法について、ご確認してみてください。