入居者ターゲットを考える~LGBTについて~

毎年6月は世界中でLGBTQ+の権利を啓発する「プライド月間」となっています。
多様性をイメージする虹色モチーフを見る機会も最近は増えてきましたね。

6/13にはLGBTの人たちへの理解増進に向け
「LGBT理解増進法案(「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」)」
衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院に送られました。

・性的指向を意味する
L(レズビアン=女性同性愛者)、G(ゲイ=男性同性愛者)、B(バイセクシャル=両性愛者)

・性同一性を意味する
T(トランスジェンダー=心と体の性が異なる人)

この両者は課題も異なってくるのですが、当事者の声として
「性的マイノリティという属性を気にせず、普通の暮らしや選択肢が欲しい」
という内容をよく目にします。

彼らの暮らしにも、大きな関わりを持つであろう大家として、
どんなことを留意しておけばよいでしょうか?
この機会に考えてみましょう。

■法案に関係なく、性的マイノリティを理由に断るのは違法?
「法案が可決されたら、性的マイノリティの人の入居を断れないの?」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本来であれば、
今でも性的マイノリティを理由にお断りすることは、
「法の下の平等」を定めた憲法には違反する行為ではあります。

自治体の中には条例や要綱で「性的マイノリティへの差別」について
取り決めているところもあり、厳しく指導される場合もあります。

ただ、さまざまな配慮をした結果、お断りするオーナーさんも多く、
そのことに対して、断られた方が異議を唱え、訴訟にまで発展することは
負担やその後の生活を考えると、かなりのレアケースではあるでしょう。

■大きな課題は「同性カップル」の賃貸
LGBTへの無理解による課題もありますが、
単身でのおうち探しの際に、自ら性的マイノリティを明かす人は
当然ながら少数ですし、特殊な理由がない限りはわざわざ伝える必要もないでしょう。

大きな課題としては「同性カップル」のお部屋探し
二人の関係性が証明しにくいため、異性カップルに比べて、大幅に限られます。

友人同士のルームシェアにも同じことが言えるのですが、
異性カップルは近い将来、戸籍上のつながりが期待できる一方、
同性カップル等は他人による複数居住のため、さまざまな不安と偏見を
持つオーナーさんが多いからでしょう。

●他人による複数居住への不安
・更新前に途中退去されるのではないか
・片方が出て行った場合、家賃は払えるのか
・カップルを偽装した、事業目的使用や反社会組織関係の疑い

●同性カップルへの偏見
・近隣の人に不快感を与える
・騒音トラブルが多い
・部屋を汚す

同性カップルだと、断られる
保証人に連絡を取られ、「同性カップル」であることをカミングアウトされる

そういった事例を知っている人の中には、
同居の事実を隠して、入居してしまう人もいます。

■本当はLGBTだからといって、意識すべきことはない
とはいえ、先ほどあげた不安については、LGBTに限った不安ではありません。
普段から意識されていることや審査を通せば、大きな問題はないでしょう。
・入居者の人となり(仲介会社からの意見など)
・家賃を払える収入か
・入居者、人数に変更があれば申請してもらう など
決まり事をきっちり守ってもらえるならば、良い入居者と言えるはずです。

単身者同士の入居の場合、家賃の予算も高めに設定している人が多く
設備・広さなど条件が整っていれば、色々な物件が人気物件になりえる可能性も秘めています!

■LGBTを含め、今後の社会動向として、入居者のターゲットは広く考えるべき
シングルタイプの三代需要である学生・法人・外国人が減っており、
今後の日本の少子高齢化、未婚化を考えると、
想定入居者の属性は広くしていくことが無難でしょう。

LGBT、友人同士のシェアハウス、母(父)子家庭、高齢者…
それぞれに合わせた支援やサービス、サポートも浸透してきています。

ポータルサイトに「LGBTフレンドリー(受け入れ可能ですよ)」という項目を加え、
満室経営を持続している物件もいらっしゃいます。

この機会にぜひ、仲介会社や管理会社に「LGBT」について、
考えを巡らせていることを相談してみて、ご自分の物件の可能性についても
考えてみてください!