年々、犬猫以外のペット、いわゆるエキゾチックアニマルの需要が高まっています。
一方でトラブルも多く、
5月に横浜市のアパートでアミメニシキヘビが脱走。
さらに10月23日にも岡山市で大型のトカゲ「アルゼンチンテグー」が脱走し、
見つからないまま捜索も打ち切られています。
株式会社プラネットにより、4,000人を対象として実施された
「ペット」に関する意識調査を見てみると、犬猫のほかにも魚、亀、
意外なところだと昆虫類の飼育も多くなっています。
犬猫以外のペットの飼育需要が高まっている一方、
ペット可物件がまだまだ少なかったり、
ペット可物件であっても、その種類が限られていたり…。
😉 「こっそり飼っちゃえ!」
と、無断で飼育してしまう人も少なくありません。
👿 「そうはいっても、わけの分からない動物を飼ってほしくない!」
と思うのは当然のこと。
今回は、ペット可物件を運営するうえで知っておきたい
ペットの特徴をまとめてみました。
💡 契約違反のペットの飼育実態が明らかになっても契約解除は難しい?
契約解除には「信頼関係の破壊」がポイントになり、
ペット不可の物件でペットが飼われていたことによって
オーナーと入居者の間の信頼関係が壊れたかどうかが、争点になります。
しかし、多くの場合で、認められないのが実情です。
ペットの飼育については、近隣住人への危害や迷惑がかかったことで発覚することが多いです。
ただしそれも、ブラッシングの毛が飛んでくる程度では契約解除が難しく、
たとえば、犬が人を噛む事故を起こしたなど、
明確に誰かへ危害が加えられたような事例でない限り、契約解除は困難です。
危害がなかった時でも、ニュースになるような大騒ぎが発生した場合は、
信頼関係が壊れたと判断されるかもしれません。
とはいえ、前もって、規約に「ペットの飼育」について盛り込み、
違反した場合は退去、もしくは罰金・敷金の増額などが定められていると
たいていの入居者さんは退去、もしくは条件の見直しに同意してくれると思います。
また、ペットを飼っている人はペットへの愛情を持っているはずです。
今のまま、自分の物件で飼い続けられても、
ペットも入居者さんも幸せになれないことをきちんと伝えてあげると
納得してくれるかもしれません。
💡 オーナーに求められるペットの知識とは?
ペット可物件を運営するにあたり、その規約づくりには
ペットの知識も必要になってきます。
トラブルは規約の不備と入居者の選定に原因があります。
犬・猫にも、色々な種類がいて、これに対して細かく条件を決めなくては
あとでトラブルにつながりかねません。
時には専門家の手も借りるか、実際に部屋を借りたいという入居希望者に
話を聞いて作ってみるのも手かもしれません。
■犬
犬は猫以上に種類もサイズも性質も異なってきます。
部屋の広さや設備に合わせて、細かく条件を設けましょう。
・小型、中型、大型どれなら飼育可か
・体重は何kgまで飼育可か
・何匹まで飼育可か
・トイレトレーニングなどしつけはどの程度されているか
・共用部の使い方
(マーキングの禁止、バルコニーでの飼育禁止、廊下やエレベーターは歩かせないetc)
鳴き声に関しても問題にはなりますが、
これは飼育前に把握できるものではありません。
躾や防音対策をとってもらうか、事前に犬に会って様子を見るなど
入居者同様審査ができればベストでしょう。
■猫
爪とぎやマーキングなど、猫は部屋を汚すようなイメージがありますが
飼い方次第でトラブルが随分減ります。
以下の条件を参考にしてください。
・トイレトレーニングなどしつけはどの程度されているか
・不妊去勢手術をお願いできないか
(発情期にオシッコを飛ばすスプレー行為や鳴き声を抑制することができます)
・完全室内飼いを条件にする
(ご近所トラブル、感染症やノミなどのトラブルもなくなる)
・お部屋の大きさによって、飼える頭数を決める
■小動物(ハムスター、フェレット、ウサギ、デグー、ハリネズミ、鳥etc)
犬や猫ほど大きくなく、ケージで飼えるため、女性にも人気のペットです。
それでも毛や糞尿の処理などきちんとお願いすることはあります。
・基本ケージ飼い
(穴を掘る、物をかじるなどの習性があるので注意)
・散歩などケージの外に出す時間は、必ず目を離さない。深夜を避ける
・つがいで飼わない
(ハムスターなどは不妊・去勢ができないうえ、繁殖力も高いので、注意)
・毛や糞尿は小袋に入れ、そのほかの燃えるゴミと共にまとめて捨てる
(ゴミ袋にそのまま入れると、袋が破けた場合、細かいゴミが散らばる)
■魚類、爬虫類、昆虫など
魚類、爬虫類、昆虫…最近人気のあるエキゾチックアニマルの
ヘビやトカゲ、サソリなどは比較的手軽に水槽やケージで飼うことが出来ます。
大きな声で鳴くこともなく、足音もないので、犬や猫に比べると
実は飼いやすく、だからこそ、こっそり飼ってしまう人も多いです。
ただ部屋に湿気が籠るとカビが生えてしまったり、
水槽の手入れ不足で悪臭がしたり、
水槽に傷が入るなどで水漏れのトラブルが起こったり…
最悪の場合、冒頭の事件のような脱走が起こると、
毒性がなく、危険性が少ないといっても、不安になりますよね。
それらのトラブルを防ぐためにも、飼育について細かい決まりごとを設けましょう。
・脱走を防ぐため、ケージや水槽のロック、部屋の戸締りの徹底
・水などの取り換え、換気の徹底
・水槽掃除については衛生面や共用部のトラブルを防ぐためにお風呂場に限定
・ポンプ音がひどい場合は防音シートで水槽を覆う
・地震対策のお願い
・水槽の重さ、大きさを限定する
(60cm水槽の総重量になると、水量や底砂などを足すと85~140kgほどに…)
■特定動物
人に危害を加える恐れがある動物は「特定動物」に指定されています。
5月に脱走したアミメニシキヘビや人気の高いワニなどなど…
特定動物は令和2年6月1日から愛玩目的等で飼養することが禁止されましたが
すでに飼育されているものは、そのままです。
とはいえ、人に危害を加える恐れのある危険な動物(特定動物)を飼う場合には、
動物種・飼養施設ごとに都道府県知事または政令市の長の許可が必要です。
また、飼養施設の構造や保管方法についての基準を守らなくてはなりません。
・一定の基準を満たした「おり型施設」などで飼養保管する
・定期的な施設の点検を実施する
・特定動物を飼養している旨の標識を掲示する
などなど。そもそも、これらの条件を満たせる物件はなかなかないので
よほどのことがない限り、お断りするのが良いでしょう。
それでも許可する場合は、他の入居者にもその旨をお伝えし、
大家も責任を持って、飼育を見守る必要があると思います。
※許可を受けないで特定動物を飼養又は保管した場合
➡ 6カ月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
なお、許可の有効期間は5年間であり、継続して飼養又は保管をする場合には、
5年ごとの更新手続きが必要になります。
ペット可物件と一口に言っても、動物の数、入居者の数だけ、
丁寧に対応しないと、大きなトラブルにつながります。
実際の契約、部屋づくりについては
入居付けにつながるかも?!ペット飼育可能物件へのご提案
ニャンとかしたいワン!ペットのトラブル
など過去にも取り扱っているので、そちらも参考にしてください。