入退去のお問い合わせなどで、忙しくなる繁忙期。
あまりに忙しすぎて、大家としても大変な時期ですよね。
色々手が回らなくなる前に、今のうちにチェックしたいのが
入居までの準備の確認。
😕 そんなこと今更、確認しなくても…
と思ってしまうかもしれませんが、改めて見直すことで
足りなかったことや退去時の課題を解決するポイントが見つかるかもしれません。
今回は大家の皆さんの復習を踏まえ、新たな入居者を迎える前の準備について
考えてみました。
■改めて「大家さんがやるべきこと」とは?
管理を管理会社にお任せする場合は、また違うかもしれませんが、
まずは大家さんのお仕事について見直してみましょう。
〇日々のお仕事
▼入居者の管理
・家賃の管理
・苦情や要望への対応
・契約違反への対応
・更新時に入居者の意思を確認
・更新手続き
▼建物の管理
・清掃
・メンテナンス
・設備の修理
・リフォーム
▼経営資金の管理
・賃貸経営の収支管理
・納税書類の準備
・リフォーム費用などの積み立て
・確定申告
・固定資産税の支払い
・更新、退去に伴う収支管理
〇退去時
▼入居者の管理
・退去の立ち合い
・修繕箇所の確認
・家賃、敷金などの清算
・入居者の募集
▼建物の管理
・リフォーム
・ルームクリーニング
こうして並べるのは簡単かもしれませんが、
入居者の意識や物件のあるエリアの変化。
さらに法律や助成などの変化により、それぞれの内容は
見直していく必要があります。
■民法・法律等の変化により見直しておきたいこと
2020年4月に改正・施行された民法により、
賃貸の色々なことが明文化されました。
今後入居される方や
2年前入居されて、今回契約更新となる人との契約書については
一度見直しておいた方がよいでしょう。
〇賃貸に関わる民法の改正について
・賃貸借終了時の敷金ルールの明確化
賃貸借契約のトラブルの中でも多い「敷金」について、
改正民法では定義を明記して敷金の返還時期、返還範囲等に関する
ルールが明確になりました。
計算式は以下の通りです。
敷金額-未払い債務残額(損害賠償金、未払の賃料、原状回復費用など)=返還額
また、敷金の返還時期は
賃貸借が終了して賃貸物の返還がされた時点で敷金返還債務が生じる
と定めました。
[参考 ➡ ]敷金のルールが変わる!気をつけるポイントは
・賃貸借終了時の原状回復ルールの明確化
賃借人が負う原状回復義務について、
「通常損耗」や「経年変化」による部分についてはその義務を負わないという
ルールが明記されました。
国土交通省が出していた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
を基準に、すでに対応されている大家さんも多いかもしれませんが、
敷金にも関わることですので、今一度、しっかりと確認しましょう。
・賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化
オーナーチェンジの際に家賃の支払先が明確化されました。
ただし、譲渡された方が家賃を受け取るためには、不動産移転登記が必要です。
譲渡を受けたら早めに移転登記を済ませましょう。
・修繕についての義務の明確化
賃貸人の修繕義務と賃借人の修繕義務の範囲が明確化されました。
前者は賃貸人が物件を貸すときにはしっかり修繕して貸し出す義務を負い、
後者は借主が壊したり汚した部分は自分で修繕する義務を負うものです。
・連帯保証人の責任範囲と限度額の明確化
連帯保証人が責任を負う範囲は「債務の元本」「債務に関する利息」「違約金」
「損害賠償」「その他に発生する債務」で、
あらかじめ決められた極度額を限度とするように定められました。
さらに連帯保証人の限度額を契約書に記載するように定められています。
[参考 ➡ ]家賃債務保証の実態と注意点
・設備の一部滅失による賃料減額の厳格化
賃料減額についての規定が厳格化され、使用できなくなった部分の割合に応じて、
当然に賃料は減額される、と変更されます。
故障・破損を借主が発見した場合の通知義務、
減額の割合や期間について、あらかじめ確認しておきましょう。
[参考 ➡ ]民法改正から1年…事例から見る設備不良と対応
故障・破損が発生した際には、早急に対応して借主との信頼関係を構築し、
減額請求に至らないよう努めることが大事です。
〇生産緑地法から30年…増えるライバル物件
1992年に施行された生産緑地法が2022年において、ちょうど30年を迎えます。
生産緑地に指定された土地は住宅地にあったとしても農地並みの固定資産税、
相続税として優遇されてきたわけですが、現在、30年の期限を迎えて
市区町村長に買取りの申し出を行うか、通常の宅地としてこれまでのような
恩恵のない状態で保有をするかの二者択一となっています。
そのため一部では、土地活用のためアパートの建設ラッシュが生じています。
自物件の周りのライバル物件はしっかりチェックし、
賃料について再考しましょう。
〇注目される高齢者の居住の安定確保
高齢者人口は今後も増え続け、その居住の安定確保が急務となっています。
大家さんが気になるのは、やはり「高齢者の退去」の段取り。
不安を払しょくするために、様々な見解や条項モデル、サポートが登場しているので
しっかりチェックし、入居時・更新時の契約で万が一に備えましょう。
[参考 ➡ ]自然死は事故物件にならない!?高齢者賃貸を考える
[参考 ➡ ] 孤独死…その後の指針に。残置物のモデル条項発表
■入居時に渡すもの
書類類はすべてまとめて、バインダーやアタッシュケースに
入れてあげるとよいでしょう。
・マンションの管理規約、使用規約
共用部分の範囲、使用方法など「マンションのルールブック」と呼べるものです。
トラブルの際は、これをもって対応ができるので、
マンションの状況や入居者層の変化、時流に合わせて、必要なことは追加し、
刷新していってください。
・管理、家賃、トラブルについての連絡先
窓口が違う場合は、「こんな時には…」と例を出してあげて、
連絡が取りやすくしてあげるとよいです。
また、最近では電話が億劫という人も増えているので、
WEB(SNS、メールなど)の連絡先も追記するとよいでしょう。
・設備関係の取り扱い説明書
ガスコンロやお風呂、照明、エアコンなどの設備のほか、
インターネット設備の取り扱いについてもしっかりまとめましょう。
特に無料インターネットを入れているのであれば
ネットワークキーとPWを必ず見やすいところに用意しましょう。
・ごみ収集のマニュアル
ごみ捨てのマナーを守るためにも、
市町村で配られているごみ回収・分別のマニュアルは
大家さんからも渡した方が良いです。
また指定のゴミ袋がある地域ならば、サービスと周知のために
一緒にお渡しするとよいでしょう。
・お部屋の鍵
できれば余分にお渡しできる本数があるとよいです。
一人暮らしなら、親御さんなどに渡せるよう2本以上。
3LDK以上ならば、家族分の鍵が欲しいはずなので、
3~4本、用意してあげると親切です。
・入居者の心を掴むウェルカムプレゼント
ひと手間かけるのであれば、ちょっとしたお手紙と共に
「入居者プレゼント」を一緒に渡してあげましょう。
・雑貨(入浴剤や歯ブラシ、タオルなど)
・生活消耗品(トイレットペーパー、洗剤・掃除用品など)
浄水器などの消耗品を使う設備があれば、交換用のカートリッジなんかも
喜ばれます。
日々忙しい中、作業的になりがちな入居対応ですが、
繁忙期前に 😕 「今時の入居者さんにフィットした形になっているか」改めて見直し、
トラブルなしの長期入居・満室経営へつながるよう動いてみましょう!