賃貸業は人の人生に関わる大事なお仕事。
進学、就職、結婚、出産など嬉しい節目に立ち会うこともありますが
逆に人生の終わり、「死」に対面することも宿命といえるでしょう。
孤独死…その後の指針に。残置物のモデル条項発表
所有物件で孤独死が起きた場合の対処法
など常にさまざまな問題提起がされている「孤独死」。
今回は「未払いの賃料」について、調べてみました。
🙁 マンションで一人暮らしの入居者が死亡していることが発覚。
部屋の明け渡しはもちろん、死亡後3か月の賃料滞納もどう対応すれば?
💡 まずは相続人の調査
入居者が亡くなって、一番に行うのは相続人の有無の確認。
「入居者」という地位を受け継ぐのも相続人の務めだからです。
弁護士さんなどに協力してもらい戸籍を取得して、相続人を調査していきましょう。
➡ 相続人がいた場合
賃貸人が死亡してから3か月…賃料滞納がある場合は、
すでに賃貸人と賃借人の間での信頼関係が破壊されていると考えられ、
マンションの部屋の明け渡しを請求できる状態にあります。
・相続人がいた場合
その相続人へ全額請求し、明け渡しに向けて
契約を解除、残置物の処理をするよう手続きしてもらいます。
・複数相続人がいた場合
3か月分の賃料を相続人たちの人数で頭割りして請求するわけではなく、
複数の相続人一人一人に3か月分の賃料を全額請求することができます。
一方で、生前の未払いの賃料については、法廷相続分に従い、
分割して請求することになります。
▼賃貸契約解除の手続きについて
未払い賃料について催告しても支払いがなされない、
すべての相続人が相続を放棄した場合、
残念ながら滞納賃料、原状回復費用も回収できないのが現状です。
その場合は、速やかに部屋の明け渡しに向けて
賃貸契約を解除する意思表示を得ることが
今後の賃貸経営のことも考えると、賢い選択になってしまいます。
ただ、複数の相続人がいた場合、相続人全員に対して行わなくてはいけません。
➡ 相続人がいなかった場合
相続人がいなかったからといって、勝手にマンション内に立ち入り、
残置物を処分してよいことにはなりません。
相続財産管理人を選任する必要があります。
相続財産管理人とは、相続財産の内容を整理し、
被相続人の債務者などに対して
債務を支払うなどの清算などを行う者のことをいいます。
裁判所に対して、相続財産管理人選任の申し立てをし、
選任されれば、部屋の明け渡しや未払い賃料の支払い、
残置物の管理などを話し合うことができます。
ただし、相続財産管理人の手続きには手間や時間がかかります。
部屋を明渡すまでの一定額の賃料が発生するうえ、
かかる賃料については、大家さんが回収できないことが多いです。
以上のように、賃貸人が亡くなった場合、大家さんに
手間もお金もどうしてもかかってしまうことは避けられません。
やはり契約時に様々な決まり事を決めておくべきです。
孤独死…その後の指針に。残置物のモデル条項発表
を参考に、今一度ご自分の物件の契約が
入居者や時流に合わせたものであるか確認するのと同時に
いわゆる「孤独死保険」に大家さん、
入居者さんがともに加入することも考えた方が良いでしょう。