2021年4月、東京都八王子市にあるわずか築8年の賃貸アパートの
外階段が崩落し、住民の女性が転落死する事故がありました。
事故事例から考える…共用部のサビに注意!でも、
北海道苫小牧市で起きた2階の外廊下が落ち、
乳児を含んだ5人が転落した事故について取り上げ
鉄部のメンテナンスの重要性についてもご紹介しました。
鉄部は5年経てばメンテナンスを検討すべきと言われています。
ただ、今回の事故はメンテナンスの不具合だけでは説明がつかず、
事故から1か月以上経った今でも、様々な事実が明らかになっています。
今回は現段階で報道されている内容を踏まえ、
事故を起こさない対策と万が一起きた場合の対応について考えます。
物件を建築した「則武地所」は現在、破産手続き中。
建設会社自体の責任を訴え、修繕をお願いすることは難しくなり、
今後は経営陣を訴えるか否かの話になってきています。
■低単価、投資効率の高さがウリの落とし穴
則武地所は、投資用の3階建て木造アパート建築を得意とし、
同業他社と比べ、建築単価は20%以上低単価に
抑えられることをウリにしていました。
その一方、経営者が自ら施工を担当していたり、
腐食を防ぐための防水加工等をせずにいたりするなど、
安全性を欠いたコストカットが横行していたようです。
■設計書と違う。鉄骨製が木製に変更
崩落した鉄骨製の階段は木製の踊り場とL字型の金具2個でつながれ、
階段側は溶接、踊り場側は3本のビスで固定されていたといいます。
踊り場は表面をモルタルで覆われており、木製踊り場の接合部分が
風雨を受けて腐食したため、つなぎ目の金具と一緒に
鉄骨の階段もろとも崩落したとされています。
設計段階ではすべて鉄骨製で設計されていた踊り場は、施工時に木製に変更。
防水加工についての記載もありましたが、
実際は加工処理されていなかったとみられています。
■事故の責任は誰にあるか?
通常築8年で階段が崩落することは考えられません。
設計書とは違う施工をしたこと、瑕疵担保保証が10年間義務付けられていることも
考えれば、建設会社に責任は当然あります。
その一方で、大家さんの責任が問われる場合もあります。
・大家さんに責任が及ぶ「工作物責任」
民法717条には、土地の工作物等の占有者および所有者の責任を
次のように定めています。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」
「工作物の設置」とは賃貸物件の建築行為をいい、
それにつづく「工作物の保存」とは賃貸物件の維持管理をいいます。
建築行為あるいは維持管理どちらかに瑕疵があることにより、
損害を生じさせた場合の責任は明確に大家さん(管理会社)にあるとされています。
つまり瑕疵を知らなくても、大家さんに責任はあることになってしまいます。
また万が一、瑕疵を知っていたにも関わらず、
修繕など、必要な対応をとっていなかった場合は、さらに重い賠償責任があります。
・損害賠償の請求は大家さんに来る
通常は被害者または遺族から大家さんに損害賠償請求がされます。
施設賠償責任保険などに加入していれば、
そこから支払うことができますが、そうでない場合は自己負担になります。
施工の問題で事故が起きたなら、大家さんから建設会社へ
損害賠償請求をしなくてはいけません。
しかし、今回のように会社が自己破産してしまうと、
大家さんも被害者も泣き寝入りになってしまうかもしれません。
■施工業者選びは慎重に!
建築費や修繕費は安いことももちろん重要ですが、
そのコストと引き換えに今回のような手抜き工事があってはなりません。
・会社の評判や情報はしっかりと調べておく。
インターネットでの口コミ、周辺の地主さんや大家さん、
大家の会などからの評判も大事です。
また行政処分を受けているような企業は、注意した方が良いでしょう。
・施工した物件、工事中の物件をチェック
築年数も確認し、きちんと管理されているか物件の状態を見ることも大事です。
工事中の物件であれば、現場の整理整頓具合や働いている人をチェック。
現場監督が不在。タバコの吸い殻が落ちてるなどの不安要素があれば、
できるだけ避けた方が良いでしょう。
・経営情報をチェック
さらに経営情報については帝国データバンクで調べたり、
一般財団法人建設業情報管理センターのサイトで「経営審査事項」を
取り寄せると、チェックできることもあります。
■アパートの不具合を放置しない!
鉄骨のサビ、タイル・コンクリートの剥がれ、
火災報知器の不具合や使用期限の過ぎた消火器など、
事故につながる不具合を放置すれば、今回のような事故につながりかねません。
前述の通り、鉄部に関しては5年経てばメンテナンスと言われています。
建物の安全点検については、こまめにすることに越したことはありません。
施工会社、管理会社によっては定期診断を行っているところもあるので、
そうした業者を選ぶのも一つの手です。
■施設賠償責任保険には必ず加入を
施設賠償責任保険とは、施設の安全性の維持・管理の不備や構造上の欠陥、
施設の用法に伴う仕事の遂行が原因で他人にケガをさせたり、
物を壊したりした時に、被保険者(大家さん)が
法律上の損害賠償責任を負担された場合に被る損害を補償する保険です。
損害賠償だけではなく、賠償責任にかかった裁判の費用、
さらには損害の拡大の防止に使われた費用を補償してくれるものもあり、
大家さんならぜひ入っておきたい保険です。
自物件で事故が起こってしまえば、
大家さんや被害者だけでなく、家族の皆さんなどにも
辛い思いをさせてしまいます。
大家も一経営者であることを改めて自覚し、
自物件の安全性を見なおしてみてください。
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