5月の緊急事態宣言頃から増えてきた「家賃に関するお悩み」。
コロナ禍は収まることを知らず、年末年始のかき入れ時も肩透かしに終わり、
厳しい年明けを迎えていらっしゃる方も多いかと思います。
そんな中、売上の減少に直面する事業の継続を支えるため、
地代・家賃(賃料など)の負担を軽減していた「家賃支援給付金」の申請締め切りが
1月15日(金)24時となっています。
(申請期限に間に合わない特別な事情がある場合は1月31日(日)23時50分まで)
今後事業者はもちろん、働いている人自身からの
「賃料減額」の依頼があるかもしれません。
一方で繁忙期を迎え、「できるなら減額せずに住んでくれる人を迎えたい」という
部分もあるでしょう。
今回はあらためて家賃滞納のトラブルにつながらないように
入居者、オーナーさんの双方が納得できる「賃料減額」への対応について考えます。
■減額する額や期間は物件によって、違う
「いくらまで減額すればいいか」と悩んでしまいますが、
額や期間は住んでいる方や物件、
オーナーさん自身の経済状況によって当然異なります。
まずは、所有物件について現状を把握しなくてはいけません。
・所有物件のキャッシュフローやローン残高
・入居者の属性
>アルバイトや自営業などコロナ禍の影響を受けそうな属性が多い場合は
今後、退去・家賃滞納・賃料減額依頼が続くことも見越し、
無理をしてまで減額に対応しなくても良いでしょう。
次に、減額を依頼してきた事業者、入居者の状況を把握しましょう。
・ご入居者の年齢や属性、勤め先
>特にアルバイトや派遣社員、自営業の人は優先度が高いです
>高齢者や生活保護世帯については、きちんとした支援を受けていれば
家賃滞納リスクは低いので、優先度が低いです
・家賃保証会社、連帯保証人、緊急連絡先など、
もしものときのバックアップがとれるか
・できる限りの支援を受けているか
>前述の家賃支援給付金、入居者であれば住居確保給付金を申請しているか。
■避けたい「滞納」!そのための行動とは
一番避けたいのは理由を告げない家賃滞納、無断退去でしょう。
目の前のことにいっぱいいっぱいになったり、
責任感が強すぎて人や行政に頼れなかったり、
外国人入居者の方や学生さんなどは「家賃減額」の交渉ができずに、
滞納・退去をしてしまうケースがあります。
・こちらから連絡をする
新年のあいさつもかねて、お手紙やメール、掲示板等で
「こんなご時世ですのでお困りごとがあればご相談ください」
と連絡をしてみると、見えなかったところから反応が返ってくるかもしれません。
・できるだけ親身に寄り添う
連絡が来たときは「そんなに減額は無理だ」と思っても、条件のすり合わせ、
検討する姿勢はしっかりと見せてください。
>住宅確保給金など行政の各種補助制度を教えてあげる
>家賃の安い物件をご紹介してあげる。
場合によっては敷金も返せることを教えてあげる。
>和解した後も、定期的にコンタクトをとってあげる。
■賃料減額をする時は約束事をしっかり決める
・入居者のことを教えてもらう
お互いに抵抗感はあるかもしれませんが、相手の状況を知らなければ、
どのくらいの金額を、どのくらいの期間減らせばよいかも分かりません。
>勤務状態
>収入
>貯金・資産
>一過性の困窮なのか、回復する見込みはあるのか
>いざという時、頼れる人や機関はあるのか
・取り決めは必ず書面で残す
どんなことであっても、入居者や業者との取り決めや約束事は
書面で残すべきです。
書面はオーナーさんの損金算入、税金減免にも必要になるので
必ず、手元に残しましょう。
最悪の場合は訴訟にも発展するため、互いにそのことを理解したうえで
現状を改善するため約束事を決めるべきでしょう。
>賃料の減額幅、期間
>減額機関が過ぎた場合も、状況が変わらない場合は
退去など次の対応を決める
>双方の署名、捺印を押す
今だどうなっていくのか、分からない時世ではありますが、
だからこそ「正解はない」と割り切って、
多少手間ではあっても、
入居者・物件ひとつひとつの対応をしっかり行っていきましょう。