今こそ考えたい、賃貸契約の電子化

コロナ禍の影響で、インターネットを利用した
様々なサービスの利用が広がっています。
賃貸業界でも、オンライン相談やスマートロックを活用したセルフ内見など、
時間もフレキシブルに対応できる、お部屋探しのデジタル化が加速しています。

そんな中で改めて、注目しておきたいのが
ここ数年で進められている賃貸契約の電子化です。

😕 「そうは言っても、セキュリティ的に不安」
😐 「契約の電子化なんて、逆にめんどくさくて入居希望者に敬遠されない?」

今回は賃貸契約の電子化についてどのように進めていくか、
メリットについて調べてみました。


国土交通省でも2015年から「賃貸借契約完全電子化」に向けて
様々な実験を続けています。

2019年10月からは賃貸取引の重要事項説明書等を電子書面で交付する
いわゆる「IT重説」についての実験を開始。

電子署名や専門業者のサービスがあれば、
セキュリティの問題もクリアできることが分かり、
順調に「賃貸借契約電子化」の流れがきています。

電子契約スキームjpg2
やり取りはメールやSMSで行われます。
賃貸契約に付随する一部の手続きは電子化ができないため、
PDFで送ったものを仲介会社が印刷して、送付します。

借主もしくは連帯保証人がスマートフォンを所有していない場合は、
電子契約はできませんが、連帯保証人を不要とする家賃債務保証会社が増えていけば
さらにハードルは低くなります。

 💡 賃貸借契約完全電子化のメリット
業務の効率化
賃貸借契約の完全電子化が行われることで、
不動産業者の業務が効率化され、契約までの時間も短縮されます。

賃貸の契約には不動産会社と利用者以外に大家、
仲介会社、管理会社など多くの人が関わっています。
そのため、紙媒体の契約では非常に多くの書類が必要になり、
送付作業だけでもかなりの時間が必要になります。

しかし、賃貸借契約の完全電子化を行うことで
ネットでのやり取りがメインになるため、
契約までの時間を短くすることができます。


◆コスト削減

紙で書類を作成する場合、手間だけでなく印刷に使う用紙代や
インク代がかかります。
電子契約によって、契約書を郵送するコストや手間をなくすことができます。
また、郵送する場合は送料も必要になります。
さらに、賃貸の契約書は課税対象になりますので印紙税が必要です。

契約書類を電子化することでこれら印紙税などが不要になるため、
コスト削減として大きな影響があるといえます。

◆利用者の利便性向上
今まで入居を希望する利用者は不動産会社の店舗まで
足を運んで話を聞かなくてはなりませんでした。
電子契約書でやり取りすることで、
わざわざ店舗に行かずとも説明が受けられ時間や交通費を節約することができます。また、電子データなのでオンライン上に保管しておけば
PCやスマートフォンからすぐに確認がとれるという点もメリットです。

◆コンプライアンス強化
紙の書類はデメリットとして、保管期間にデータを改ざんされることや
紛失のリスクが挙げられていました。
書類の紛失は企業側のみの問題ではなく、
借主が火災などによって紛失してしまう可能性もあります。
紙の契約書を電子署名付きの電子契約書に切り替えることで
データの改ざんを防ぎ、紛失のリスクをなくすことができます。

💡 賃貸契約がすべてオンライン上で完結する日はいつかくる
現在、2021年以降の実施を目途に改正法案の作成が進む見込みです。
契約書の電子化も見据えているので、将来は内見、申込、重要事項説明、
契約の全てがオンライン上で完結するようになるかもしれません。

ポータルサイトでも「IT重説対応物件」が検索条件のキーワードに入っているので
入居希望者の間口を広げる一手にもなります。

手元に紙が残る安心感やオンラインの不安なイメージもあるかもしれませんが、
仲介会社などからIT重説やオンラインでの契約について、案内があれば、
一度そうした抵抗感を収め、話を聞いてみることをおすすめします。