新型コロナウイルス感染拡大で在宅時間が増える中、
近隣住人との騒音トラブルも相次ぎました。
3、4月に警視庁が受理した騒音に関する110番は昨年比で3割近く増えたと発表され、
また殺人事件につながってしまったトラブルも発生。
たかが「音」と言っても、一度気になり出すと、
部屋で過ごしている間も、外でその音を出している人を見るだけで、
怒りや苦痛に思ってしまうこともあります。
大家さんとしても騒音トラブルの連絡を受けることは
珍しくないかと思います。
今回は入居者同士の騒音トラブルにどう対応すべきか考えます。
■自物件は騒音マンションか?
木造に比べると、コンクリート構造の方が、音を通しにくいです。
ただ、窓から音が漏れることやコンクリートを伝わって音が響くこともあります。
やはり、実際にそこで過ごしてみないと、気付かない騒音は多々あります。
・昼夜来てみる
子どもがいる時間、学生が帰ってくる時間、犬の散歩の時間など
住んでいる人の動きで、音の出し方も当然変わってきます。
騒音の訴えがあったら、根気よく、時間をかけて、
証拠や原因を辿っていきましょう。
・我慢できる音とは
マンションは防音にするのはなかなか骨が折れますし、
躯体を通じて、どうしても響いてしまうこともあります。ある程度の音なら、
「響いてもしょうがない 😕 」と許容してもらうしかありません。
ただ音の中にも時間帯や頻度、大きさによっては
我慢できる音、できない音があり、それは人それぞれです。
音を立てている人にも、事情があるので、根気強く妥協点を探りましょう。
■音を出している人と迷惑に思っている人の意識の違い
実は飛行機の離着陸音や、工事中のドリルの音など「大きな騒音」よりも、
マンション近隣から聞こえる子どもの声やペットの鳴き声などの
「小さな騒音」のほうがトラブルの火種になりやすいと言われています。
2015年に実施された「SUUMO 近隣トラブルに関する調査」を見てみると
「騒音」に不満を感じている人に、さまざまな日常生活音別に
「かなり気になる」「あまり気にならない」「まったく気にならない」の3段階で
回答してもらった結果、
「かなり気になる」と回答した人が多い順にランキングにすると、
1位 子どもを叱りつける親の声 21.0%
2位 子どもの騒がしい声 20.8%
3位 子どもの泣き声 17.8%
4位 ペットの鳴き声 16.3%
5位 子どもの足音 16.0%
6位 人の話し声 15.5%
7位 楽器の音 11.8%
8位 テレビ・音楽などの生活音 10.3%
9位 洗濯機の音 8.0%
10位 目覚まし時計の音、掃除機の音 7.8%
となっています。
子どもの出す音に関しては、「騒がしい声」「泣き声」「足音」と
5位以内に3つもランクインしており、気になる人は多い様子。
犬や猫の鳴き声のうるささは、時にピアノや掃除機を上回るため、注意が必要です。
こうしたトラブルの一番厄介なところは、
加害者側は周囲に迷惑な音声を、迷惑だと自覚がないままに発生させがちなところ。
周りが静かだから自分たちの声も聞こえてない 😉 と思い込んでいる人もいます。
被害者側がずっと我慢して、その怒りが爆発した時、
暴力沙汰になったという事件も少なくはありません。
騒音を出す子どもに憤懣をぶつける人もいるので、
騒音問題を放置することはとても危険です。
もし、被害者側から相談があったら、決して無下にはせず、
まずは被害者、そして加害者の話を聞いてあげること。
第三者の介入はトラブルを緩和させることができます。
■騒音対策として提案できることは
・床にはカーペットやマットを敷く、壁には防音壁を。
床にマットなどを敷くと、音が響きにくくなります。
本棚やタンスと壁の間に入れると、隣室への防音効果もあります。
フローリング調のクッションフロアであれば、
床のデザインも変えつつ、部屋のイメージを一新することができます。
突っ張り棒や貼り付けるだけで取り付けることのできる防音壁も売っているので、
騒音が原因で退去が発生した部屋については、
そういうものも予め取り付けてみるとよいでしょう。
・窓を開けたまま…を控える
換気や涼むために窓を開ける人が増える時期ですが、
音は着実にそこから漏れています。
夜はテレビ、洗濯機はもちろん、電話や会話であっても、響いてしまうので
注意しましょう。防犯の面でも危険です。
・洗濯や掃除機を使う時間を考える
音の大きい家電は早朝や深夜の時間帯を避けましょう。
常識的に7時~21時までならば、良いかと思いますが、
この時間も人々の生活に左右するものなので、常識の範囲で…としか
言いようがありません。
■まずは張り紙で注意喚起
騒音の苦情があった時、騒音元が特定できていれば、
直接伝えるのもありですが、角が立たないように、
まずは全体に対して注意勧告するのがよいでしょう。
エントラスの掲示板やエレベーター内の壁など、
人目に付きやすい共用部に貼ります。
掲示が難しければ、お手紙でのお願いをしましょう。
・どんな文章にするか
騒音を出している人が自分のことだと自覚できるようにして
今後音を出さないように努めてもらわなくてはいけません。
①騒音の被害状況を正確に伝える
だいたいの場所、何時頃、どんな音か
②どのような対処法をするか提案してあげる
ただ静かにして、と伝えても、難しい場合があります。
「夜中に音を立てないようにして 🙂 」
「お子さんがいるならクッションマットなどを敷いて 😛 」
など具体的にお願いをしてあげたほうが、対応してくれるでしょう。
■最悪、110番通報をしてもいいか
「騒音は民事不介入だから対応してくれない 😥 」と思っている方もいますが、
騒音は軽犯罪法違反、さらに度が過ぎると傷害罪で訴えることが可能です。
管理会社も大家さんも手に負えないのであれば、
騒音を訴える入居者に通報をお願いするのも一つの手です。
「110」が不安ならば、通報すべきか相談できる「9110」もあります。
匿名で通報できるので、騒音を訴える入居者にとっても安心です。
ただ、警察が来るとなると、入居者全員が不安に思いますし、
騒音元が通報された方でない可能性もあります。
あくまでこれは最終手段。
通報されないように、こちらで早めにできるかぎりの対応をすべきでしょう。
音のトラブルはなかなかなくなるものではないですし、
人それぞれの生活や感じ方があるので、解決も難しいです。
ただ、その分「空室」の理由にもなりがちなので、
誠意ある対応を心がけましょう。