今回は「設備の一部滅失による賃料減額」に関してお伝えします。
改正前の民法にも同様の項目はありますが、
賃料減額に関してオーナー様にとってより厳しい内容となるため、
しっかりと改正民法の内容を把握しておきましょう!!
改正前の民法の第611条に、賃料減額及び契約解除に関する項目があります。
💡 第611条1項
賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる
エアコンや給湯器などの備え付けの設備が
入居者の過失なく滅失した(故障などで使えなくなる)場合、
オーナーは早急に修繕を行う義務がありますが、
😕 いつもの安価な業者で手配したい!一週間くらい待って!
🙁 猛暑到来。なかなか業者が手配できない。
など、状況によって対応が遅れるなどした時、
「入居者は賃料の減額を請求することができる」というだけで、
請求されなければ、特に決まりはありませんでした。
今回の改正民法では
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される
と明確に「減額される」ことが決まりとなりました。
現行民法ではトラブルなどになり入居者からの請求があって賃料減額による対応を行っていたところが、当然に減額されるということになりました。
■どのぐらい減額すべきか
減額の程度などは特に規定がされず、難しい部分ではありますが、
ひとまずは公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が出している
『貸室設備等の不具合による賃料減額ガイドライン』を参考にすると
良いかもしれません。
〇 ガイドラインの使用方法
(1)A群のいずれかに該当するかを確認し、
該当すればA群の賃料減額割合・免責日数を基準に金額を算出する。
(2)Aのいずれにも該当しない場合に、B群に該当するかを確認し、
該当すればB群 の賃料減額割合・免責日数を基準に金額を算出する。
(3)減額の算出方法は、日割り計算で行う。
計算例:ガスが 6 日間使えなかった場合 月額賃料 100,000 円
Aに該当。3日間は責任が免除されるため、のこりの3日分の賃料が対象となる。
月額賃料 100,000 円×0.1(賃料減額割合 10%)×
(6 日-免責日数 3 日)/月 30 日=1,000 円の賃料減額(1 日あたり約 333 円)
一般的に算出し、賃料減額割合の計算日数に含まない日数を指す。
賃貸借契約締結時に定めた賃料は「居住部に何も不具合がない時の賃料」であり、
不具合があれば、たとえ入居者が退去時に設備の故障について言い出したとしても
設備が故障していたすべての期間分の賃料減額を請求される可能性があります。
「いつから壊れていたか」と確認することが非常に重要です。
👿 入居前から壊れていたと主張されないためにも、
動作確認を行い、使用できる状況かどうか記録し、書面に残すようにしましょう。
必要であれば入居者立会いのうえ、設備機器の動作確認するとよいです。
また、故障があれば、すぐ連絡してくれるよう、入居者との
コミュニケーションを円滑に取れるような連絡先や仕組みをつくりましょう。
震災時は、通常よりも長めの対応期間の設定が考慮されますが、
オーナーは修繕義務を負っているので、一定期間内に対応しなければいけません。
また、賃料減額もある程度考えなくてはいけません。
賃貸住宅用の火災保険の補償範囲は、オーナーの所有物である建物ですが、特約を締結することにより補償範囲を広げることが可能です。
火災保険の中には災害被害復旧のために、減少した家賃収入を補償する
「家賃保証特約」などもあります。
過去災害の被害があったところ、災害が想定されている場所はもちろん、
火災や台風など予期せぬ被害があるケースもあります。
入居者だけでなく、オーナー様向けの家賃保証特約も是非、ご契約ください。
そのことを十分肝に銘じなくてはいけません。
長期入居につながるよう努めましょう。