高齢単身者受け入れガイド~増える高齢単身世帯をどう受け入れるか~

国立社会保障・人口問題研究所が2019年4月に発表した
「2040年までの世帯数の将来推計」を見てみると、
2040年には世帯主が75歳以上の世帯が1217万と、
全世帯の4分の1を占めることが予想されています。高齢者割合
また高齢世帯で一人暮らしの人も全体で1994万人と全世帯の約4割となり、
75歳以上の一人暮らしも500万人を超えると推測され、
彼らの住まいを提供するオーナーの皆様も、
受け入れ態勢、住まいづくりについて今から考えていかなくてはいけません。

今回は賃貸経営でこれから多くなる高齢者の単身入居者に対して、
どんな風に向き合うべきか、
国交省発表「大家さんのための単身者受け入れガイド」を見ながら、
考えていきます。


■契約前の準備が大切!!
契約前に、丁寧な聞き取り▶入居者にあった契約・制度の利用をすることで
もしもの時があった場合にうまく対応できます。

 ➡ 入居者に関する情報の聞き取り
特に単身入居者を受け入れる場合は、
相続人となる親族の存在や連絡先などの情報を把握することで、
死後の賃貸借契約に関する対応をスムーズに行えます。
また前もって、生活パターンや疾病、障害、かかりつけ医などを知っておけば、
電気がつけっぱなしになっている、郵便受けがいっぱい…などの
異変にすぐ気づくことができます。
高齢者の入居に際して、一律で情報シートの提出をお願いするなどして、
互いに「もしもの時はどうするか」を共有しましょう。
参考:「入居者情報シート」
http://www.mlit.go.jp/common/001207617.pdf

 ➡ 制度の活用
>終身建物賃貸契約
賃借人の死亡によって、賃貸借契約が終了する契約。
賃貸人は、事前に都道府県知事の認可を受ければ、
終身建物賃貸借契約を結ぶことが可能になります。
参考:国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk7_000013.html
・入居者が亡くなったあとの無用な賃貸契約の長期化を避けられる。
・残置物の処理等も円滑に行うことができる。
・相続人への明け渡し請求に伴う立ち退き料を請求される恐れがない
などの利点もありますが、
一般の賃貸物件よりはサービス付き高齢者向け住宅、
シニア向けのシェアハウスなどで活用されているようです。
>定期建物賃貸借
高齢者以外にも幅広く活用できる契約です。
契約で定めた期間が満了することによって、
更新されることなく、賃貸契約を終了できます。(再契約も可能です)
従来の契約書に定期借家である旨を書いた書面を追加するだけなので、
活用しやすいのも魅力ですね。
参考:国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000059.html


➡ サービスの活用
>居住支援協議会や居住支援法人等のサービスの活用
入居者の申し込みにより、入居前から死後(契約終了後)に至るまで、
様々な支援を行っているサービスがあります。
お近くの協議会等にお尋ねください。
居住支援協議会一覧:
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr3_000019.html
居住支援法人一覧:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000026.html
>家賃債務保証業者の活用
家賃の未払いなどに対応する家賃保証サービスの加入を入居の条件などにすると
もしもの時に、費用面での準備をすることができます。
>損害保険・少額短期保険の活用
保険の中には、単身入居者の死亡に対応する商品もあります。
家賃や原状回復費用やお祓い供養の費用も対応してもらえるものもあるので、
家賃保証サービスとともに、契約を考えると良いでしょう。



■入居者が死亡後、相続人が分からない場合の対応
>相続税管理人
入居者が死亡して、相続が開始したものの、相続人の存在が明らかでない場合、
相続財産管理人の選任の制度があります。
未納家賃があった場合は、家庭裁判所が選任した「相続税管理人」が
財産の管理を行い、債務を返済。残置物の廃棄などもしてくれます。
参考:裁判所
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_15/index.html

 

高齢の入居者、孤独死が増えていることが周知され、
それに対する契約や保険サービスなどの種類も増えてきました。

高齢の入居者も、自分の行く末やその後について不安に感じています。
事が起こる前、入居の際に先手を打つのが一番!
オーナー様の不安も解消し、互いに安心し合える関係になるためにも、
しっかり色々なサービス・方法を提案できるように準備しましょう。