ライフラインがストップ!?災害の対策とは

山形・新潟に続いて、今週も千葉・静岡付近にて大きな地震が起こりました。
また、ゲリラ豪雨も多くなり、今後災害が多い季節になります。

住環境研究所が2019 年5 月15 日に発表した
「防災・災害意識と住まい調査」を見ると、
災害時に困ったことは、トイレが使えない、電気が使えないなど
ライフラインに関することが多く占めることが分かります。

今回は、ライフラインがストップした場合に備えて、
入居者のために大家さんがどんなことができるか、考えてみました。


25歳以上の既婚者で、5 年以内に戸建持家を取得した方で“被災経験がある方”、
および住宅取得計画者で“被災経験がある方”の中で、
停電を経験した人は70%とかなり多く、災害別にみると、
「地震被害」の場合は「停電」と「断水」どちらも経験したという人が多くなっています。

■停電を経験した人の割合(全体:70%)
・地震被害:85%
・水害被害:69%
・台風被害:69%
■断水を経験した人の割合(全体:43%)
・地震被害:64%
・水害被害:43%
・台風被害:29%

東日本大震災(2011年3月11日)の場合、ライフラインの復旧に
【電気】1週間 【水道】3週間 【ガス】5週間
かかっています。
地面の下を通る水道・ガスにはなかなか手が付けられないず、
安全を確認しながらの復旧になるので、
ガスはなかなか直らないようです。

西日本豪雨(2018年7月8日)の場合、ライフラインの復旧に
【電気】1週間 【水道】3週間 【ガス】5日
かかっています。ガスは大きな被害がなく、回復が早いようです。

どちらの場合も「水道」が回復するまで、時間がかかるのが分かります。
断水経験者が困ったことは、
「自宅の水洗トイレが使えない」38.5%
「飲み水の入手」37.4%、
といった、どちらも生活するのに欠かせないもの。

停電経験者が困ったことは、
「停電、計画停電などで自宅の電気が使えない」31.2%、
「スマホの充電、電源の確保ができない」20.4%
「空調機器が使えない(冷房・暖房・扇風機など)」17.7%
「TV、ラジオ、スマホでの情報収集」14.4%
など、安全面を確保するために必要なことが多いようでした。

各個人で行う準備として、備蓄対策や防災グッズはもちろん必要ですが、
マンション側として、用意できるものはどんなものでしょう。

実際に災害に合った方が今後住むうえで必要だと思っていることは
以下のものがあげられています。
グラフ

災害に合われた方がよく言うのはひとつのライフラインに頼りきりにならないこと
オール電化のおうちだと、電気が回復するまで、
なにもできないかも?と不安になりますよね。
逆にガスが回復しなかった時には、ホットプレートが役立ったという人も多いです。

また、もし水道が大丈夫でも、
電気で動くポンプにより水を送っているところは
電気が回復するまで給水できませんし、
ガス機器の中にも電源を必要とするものだと、電気が回復するまで使用できません。

こうした問題をフォローアップするためには、
マンションの設備を強化することは避けられません。

  • 非常用電源を設置する(自家用発電機、蓄電池など)
  • 自然エネルギーを活用した発電設備を設置する(太陽光発電など)
  • 地下水槽(防火水槽や雑用水槽)を設け、
    災害時に汲み上げる非常用小型ポンプや濾過装置を常備しておく。
  • 受水槽に緊急遮断弁と感震器を設け、地震時における水源の流出を防ぐ。
  • 受水槽内の隔壁を工夫し、給水車からの補給対応をはかる。
  • 受水槽に非常用取水栓を取り付け、取水できるようにする。 など

管理会社任せにせず、緊急時に自物件の入居者に対し、
どういうことをすれば、設備を活用してもらえるかも、確認しておきましょう。

また、建物への要望では、地震対策として
「倒壊しない強固な構造」75.3%
「揺れによる室内の被害を抑える配慮」67.0%、
台風対策として
「飛来物に対する配慮がある(窓にシャッター等)」59.3%
「飛散に対する配慮がある(屋根の固定方法等)」55.2%
などとなっています。

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■雨戸のガタツキをチェック
台風など風を伴う災害の場合、窓割れの被害が多いです。
その被害を守ってくれるのが雨戸になるのですが、いざというときに
閉められない…ということも。
■ベランダの片付け
物干しざおや鉢植えなども危険ですが、粗大ごみや放置物があると、
自分の部屋だけでなく、他の部屋・物件に被害を与える可能性もあります。
この時期をきっかけに注意勧告をすることも一つの方法です。
■雨どいの掃除
枯れ葉などが詰まっていて排水溝に流れないと地形によっては
家屋への浸水、雨漏りの原因になることがあります。
■屋根・外壁の補強
屋根や壁のひび割れ、剥がれがあると、雨漏りが深刻になるかもしれません。
剥がれたタイルや板壁が飛んでいくことも非常に危険です。
あくまで一時的な補強ならば板やコンパネでもできますが、
早めに業者へ頼んで修繕したほうが良いでしょう。
■エントランスを守るため土嚢を敷き詰め、ガラス戸をカバー!
エントランスが水びだしに!とならないよう、
台風が来る前にはガラス戸を段ボールなどでカバー。
足元は土嚢を敷き詰め、対策したほうが良いです。
水で膨らむ土嚢もありますので、利用していきましょう。

 

その他、入居した方へ防災グッズをプレゼントしたり、
更新してくれた人に水やインスタント食品、備蓄品をプレゼントしたりして、
大家さん自ら防災を呼びかけることもGOODです。

入居者さんはもちろん、物件も大きな被害をうけないように
日頃から防災について、主導していきましょう。