賃貸住宅の差別化や価値向上の取り組みとして、
「 😕 既存の賃貸住宅をペット可に転換しようかな?」と
考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
若い人はもちろん、年老いて住み替えを考えている高齢者の中には
「ペットは家族同然。心の支え 😥 」と、切実な思いで
ペット可物件を探している方もいらっしゃいます。
ペットを飼う入居者同士、コミュニケーションが増え、
良好な住環境を作ってくれるケースもあります。
しかし「ペット可」には知っての通り、リスクもあります。
今回は考えられるペットのトラブルとその対応策について考えます。
■ペットの責任はオーナーにも!
ペット可物件にする場合、ペットはもちろんですが、
人間にも配慮した運営・設備が必要になります。
例えば、入居者Aさんの犬が、入居者Bさんの子どもにけがをさせた場合、
その責任は犬が子どもに危害を加えないよう、
運営管理を行わなかったオーナーにも問われます。
仕切りを設けて、犬と人が接しない動線を作ったり、
犬のしつけをお願いしたり、親にも注意をお願いしたり…
自分の物件にしっかり責任をもって対応しましょう。
■トラブルを防ぐ、少なくする飼育細則
トラブルの種類は多様です。
人とペットが共生するためにも、必要不可欠なのが、
互いの住環境を守るお約束事です。
①飼育できる動物の種類や数を限定する
ペットの大きさや数、種類によって、
騒音や周辺に影響するような臭いがでることがあります。
飼育する動物の種類や数を設定することで、
逆に「この動物なら大丈夫なんだ! 😀 」と安心して
入居いただけるケースもあります。
最近はやりの「ハリネズミ」も、鑑賞用の小動物にあたり、
臭いや音もあまりないので、ハムスターやラットと同様の扱いで
ペット可でなくても、飼育をすでに認めている物件もあるのではないでしょうか?
そう言った場合でも「小動物・鳥・熱帯魚飼育可」など
臭いがあまり出ない動物など具体的に書いてあげると、喜ばれます。
<種類や数の例>
・飼育できる動物の頭羽数は、一の専有部分につき2頭羽を限度とする
・観賞用の小鳥、観賞用魚類及び小動物の飼育については別途定める
・犬及び猫(体長(胸骨から尾骨まで)の場合、
50センチ以内、体重がおおよそ10キロ以内のもの ※介護犬、盲導犬を除く
・小動物は、うさぎ、リス、ハムスター等とする
危険動物・猛獣及び猛禽類・毒を持つ動物など
飼育禁止動物も明確にしたほうが良いです。
②届出又は登録等により飼育動物を把握する
飼育のルールが守られているか、指導するため、
また万が一、騒音などのクレームがあった場合
対処しやすいように、飼育動物の種類や数は把握したほうが良いでしょう。
万が一、飼育のルールが守られていない場合は、
届け出を持って、対応することができます。
③飼育方法を定める(専有部分・共用部分での注意事項)
ペットを飼育している中で、部屋に予測もできない損傷が生じる場合があり、
原状回復費用も多額に及びがちです。
ただ、こうしたペットによる壁や床などの異臭、変色、破損などは、
オーナーがペット可物件であると認めた時点で、
「通常損傷の範囲だ」と主張する人もいます。
退去時にトラブルにならないよう、
ペットを飼育する人に対しては敷金の追加差し入れを求め、
一定額を敷引特約として締結した上で
クリーニング費用の金額をあらかじめ明記。
退去時にはクリーニング費用を敷引後の残額を控除すると、
借主とのトラブルにつながりにくいかと思います。
飼育方法については
・ペットが共用部に逃げ出さないこと
・法令等によって定められた予防注射、登録等を確実に行い、
登録を受けた標識を玄関扉付近等の見やすい箇所に明示すること。
・ペットは清潔に保ち、鳴き声、排泄、臭い、体毛において、
居住者、近隣住民へ迷惑をかけないこと。
・専有部分よりペットを外へ連れ出す際、共用部分等では
かご等の容器に入れるか抱きかかえるものとし歩行させないこと。
など、専用部、共用部の他にも建物の近隣への配慮もお願いするようにしましょう。
④違反者に対する措置
飼育細則に違反者がいた場合には厳しい対応をしなければなりません。
退去をお願いすることも、もちろん有効ですが、ペットを飼う人にとって
飼育を禁止することが一番こたえるでしょう。
⑤その他諸規定
上記に紹介した規定以外にもマンションの実情、入居者の声に応じて
細かく規定を定めていきましょう。
<諸規定の例>
・動物の飼育しているものは、マンションが指定した標識を玄関に貼る
・年1回定期的に最新の飼育動物の写真を提出させる
■ペットと共生できる環境を提供してあげる
規定などのソフト面は大切ですが、もちろんハード面も整えることが大事です。
・共用部
ペット用のエレベーターを設置するなど、
動線を分けることができればベストですが、そこはなかなか難しいでしょう。
少しでも同じ場所を使うことに抵抗がないように、
玄関付近にお湯も出る便利な「ペット足洗い場」や
ペットの汚物を流せる「ペットサニタリー」の場所があると、いいでしょう。
またお散歩から帰ってきた人もそうでない人もも助かるのが、
玄関先の荷物置き棚かフック。
リードをつなぎながら、鍵を探し、ドアを開けられます。
・壁
漆喰など調湿効果のある壁紙ならば、ペットに臭いはもちろん、
化学物質を吸着分解し、たばこのにおいも軽減できはます。
また、ペットの手が届く高さまでを擦り傷やひっかき傷に強い
ウエストパネルにすれば、部分交換することも可能で、
原状回復も安価・簡単にすることができるでしょう。
・床
フローリングで足を滑らせて、
ヘルニア・股関節脱臼や骨折するペットが増えています。
特殊塗料による仕上げなどで、キズが付きにくく、滑りにくいものにすれば、
ペットだけでなく、高齢者や子供も安心です。
・窓や棚
ペットの飛び出しを防ぐフェンスを窓に付けておけば、
ペットだけではなく、子どもがいる方も安心。
またキャットウォークも、棚に転用できるなら、
ネコを飼っていない人でも住みたいと思える物件になるはずです。
ペット可に転換しても、しばらくは需要や他の入居者の反応も分かりません。
ペットを飼っている人も飼っていない人も住みやすい物件を意識して、
まずは一室一室様子を見るのも手の内です。