平成30年7月の西日本豪雨で浸水被害にあわれた方、関係者様、
お見舞い申し上げます。
平成で最大被害の豪雨災害となった今回の大雨。
水被害にあった家屋の対処や、大家としてどんな対処をすべきか、
調べてみました。
水被害にあった家屋の対処について
「震災がつなぐ全国ネットワーク」が作成している資料を参考に見ていきます。http://blog.canpan.info/shintsuna/
(被災地でお困りの方へ「水害にあったときに」~浸水被害からの生活再建の手引き~の冊子版配布を受け付けています。詳細はHPをご確認ください)
■公的な支援を受けるために…
1.被害状況の確認
罹災証明書の取得、保険金の請求のために
被害状況が分かる写真を撮ってもらいましょう。
・被害の様子が分かる写真を撮る
・家の外を4方向から浸水した深さが分かるように撮る
・室内の被害状況も分かるように撮る
2.管理会社、保険会社に連絡
入居者から直接連絡があった、または物件の被害を確認したら
管理会社や保険会社に連絡しましょう。
火災保険においては、台風、暴風雨、豪雨等による洪水、
高潮、土砂崩れ等による被害が補償の対象とされています。
台風による強風による損害は「風災」の補償対象、
台風で大雨が降り、床上浸水・洪水、土砂崩れなどは「水災」で
補償されますが、この「水災」の補償を抜くことで、
保険料が安くなるプランや
または長期契約により水災の補償がない
火災保険(住宅火災保険、普通火災保険)もあります。
ハザードマップなどを確認し「絶対に水災はない! 😡 」と言えるので
あれば、水災のないプランでも良いかもしれませんが、
異常気象により、どこでどんな災害が発生するか分からない昨今、
水災保険もきっちり入っておきましょう。
水災保険に入っていなかった場合は、
金融機関から修繕費用の融資を受けたり、
都道府県、市町村からの復興支援をチェックしてください。
3.罹災証明書の発行を受ける
補償金の申請をするために「罹災証明書」を被害にあってから
2カ月以内には発行するようにしましょう。
市役所・町村役場あるいは市町村HPで「罹災証明申請書」が
頒布されていますので、そちらに記入の上、
写真、位置図、申請者印鑑(認印課)を担当課へ提出ください。
ただ、今回のような大規模災害では、申し出がなくても
全戸調査が行われ、発行までには数週間から1か月以上かかります。
■大家のやるべきことは?
天災での入居者の持ち物や部屋への損害について、
大家さんは入居者に対して、損害賠償責任を負いません。
同様に大家さんが入居者へ建物の修繕についてお願いすることもできません。
ただ、大家さんは入居者が再び家に住めるように修繕する義務があります。
賃貸借契約によると、物を使える状態で提供することが前提となっているので、
貸した物が壊れて使用に支障が生じた場合には、
貸した物を修繕しなければなりません(民法606条1項)。
大家さんが修繕義務を負うのは、以下の通りです。
1.大家さんが契約上提供すべき設備であること
2.壊れたり汚れたりした原因が借主にないこと
3.壊れたり汚れたりしたことにより、建物の利用に支障があること
4.修繕が可能であること
床上浸水の場合は、
1.被害は貸している建物自体である
2.天災により浸水
3.借主の建物の使用に支障が生じている
4.修繕は可能
なので、大家さんは住居を修繕する義務が発生します。
しかし、建物が泥水に浸かり、建具の入れ替え、
エアコンや湯沸かし器などの設備が取り替えとなると、
多額の費用が掛かります。
4.経済的に修繕が不可能
となった場合は、賃貸借契約自体が終了となります。
■共に住居を片付ける
床下だから、住むには問題ないと思って、濡れた家をほっておくと、
後からカビや悪臭が発生して、生活に支障が出ます。
ボランティアセンター、市町村、社会福祉協議会に相談すれば、
お手伝いを頼むこともできるので、お願いしましょう。
ふすまや障子、エアコン室外機、
トイレ・風呂釜は綺麗に洗って、乾かせば使える場合もあります。
大家さんにとっても入居者にとっても、大事なお部屋であり、
被害にあった土地も、暮らしていた大事な地域です。
災害リスクがまったくない物件は、ありません。
どんなに準備しても、被害がないという保障はありません。
災害が発生し、その後、なにができるか。
自分や家族の安全と共に、入居者や物件のこと、
今一度考えていきましょう。