若者にも増える孤独死…物件を守るためにできることは?

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が今年1月に発表した
「日本の世帯数の将来推計」によると、
世帯主が65歳以上の高齢世帯は2040年に全世帯の44.2%を占めるようになり、
15年の36%から大幅に増え、半数に迫る勢いとのこと。
20年には高齢者世帯の40%が一人暮らしとなり、
賃貸オーナーにとっても、入居者の高齢化が避けられない状況となっています。

当然気になるの問題が、一人で部屋で亡くなる「孤独死」。
この孤独死、最近は30~50代からにも増えているんです。

孤独死が増えるのは、気温の上下が激しく
熱中症によって倒れる人が増える5~6月!! 😯 

今回は「孤独死」に、オーナーとしてどう向き合うべきか。
考えてみました。


まずは、参考に
3月2日に発表された一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会による
第3回孤独死現状レポートを見てみましょう。http://www.shougakutanki.jp/general/info/2018/news20180306.pdf

孤独死平均年齢

孤独死の平均年齢は男女とも60歳を超え、
高齢者の入居にはどうしても「孤独死リスク」が付きまといます。
男女の人数比率についてはおよそ8:2。
外とのかかわりを多く持つ女性に対し、
人に頼ることが苦手な男性が多く、発見までの日数も多くかかっています。(後述)

孤独死年齢構成比

とはいえ、50代までの、現役世代の孤独死は男女ともに
全体およそ4割を占めており、「孤独死」は「高齢者」だけの
問題でないことが分かります。

死因の構成は、病死が6割を超え、これを避けることはなかなか難しいでしょう。
ただ、オーナーにとっての試練は「いわくつき」の物件になること以上に
「部屋の原状回復」「他の部屋の入居者への対応」がキーとなってきています。

男女別発見期間の割合
死体の腐敗は、お亡くなりになったときからはじまりますが、
目に見え、変色などの腐敗が始まるのは死後2~3日と言われており、
「3日以内」に発見されると、部屋にも大きな損害はありません。
ただ、平均発見日数は「17日」。30日以上経過してから発見される事例も、
16.5%と決して少なくありません。

発見原因の構成

できるだけ早期に発見するために、オーナーだけでなく、
入居者の家族・知人、会社はもちろん、
近隣住人にも目を配ってもらう必要があります。

■単身高齢者や介護・子育てを単身でされている方の情報を持っておく
孤独死、あるいは室内で万が一のことがあっても、対応できない方については
前もって、どこに勤め、知り合いがどこにいるのかなどを
管理会社などを通じて知っておいたほうが良いでしょう。

■入居者のクレームや訴えを無視しない
害虫やにおいの発生などで孤独死が発覚することも多いです。
放置すれば、入居者離れにもなってしまうので、
ひごろ、入居者と向き合うよう努めましょう。

■「孤独死」の問題を広く知ってもらう
入居者へのお便りや掲示をしているオーナーさんは
「孤独死」が社会的な問題になっていることを触れ、
なにか変わったことや、郵便物の滞留が気になった場合は
連絡してほしいことを伝えましょう。

■入居者型の孤独死補償特約のある家財保険に加入してもらう残置物
損害額はピンキリ。
しかし、保険金をかけておくことで、入居者もオーナーさんも安心できる
関係性ができるはず。
どんなに早期の発見でも、孤独死が発生すると、手間やお金はかかってしまいます。
火災保険に追加で「孤独死保険」をつけることも可能なので、
オーナーさん自身も保険をきっちりつけておきましょう。

 

★孤独死が発生した時、気を付けたいこと★
■なるべく周りには知られないようにする
孤独死の場合は基本的には自然死の扱いとなるので、
告知義務はありませんが、
「人の噂などで広まり、家賃を下げることになった… 😥 」
と言う場合も、遺族や連帯保証人に損害を請求することは難しいです。

なるべく穏便に済ますためにも以下のことを心がけましょう。
◆部屋や物件付近で遺族や連帯保証人とやりとりしない。
◆盛り塩や花は室内に置く。
◆供養は住職に依頼してなるべく静かに行ってもらう。
◆遺品整理を頼む際は守秘義務を遵守する専門の業者に依頼する

■遺族への連絡は冷静に行う 
一刻も早く部屋を原状回復し、入居募集をはじめたいところですが、
遺族の気持ちをよく考えなくては、最悪損害を請求できなくなってしまいます。
◆高圧的な態度に出たり、遺族を責めるような姿勢を取らないこと
◆最初から原状回復について言及してしない
◆何度もしつこく電話を掛けない
◆事前に高額な請求(見積もり)を出さない
ことが大事。最終的には、協力してもらえるよう、努めましょう。

■特殊清掃、消臭作業は早期に
入居者の身元確認や遺族が相続放棄を検討しているなどの理由で
室内の清掃が行われず、放置されることがあります。
その間にも死臭や害虫の被害が広がる可能性があるので、
先行して行うことを検討しましょう。

連帯保証人・遺族には
・早期に清掃をすれば損害額が少ない
・死臭や害虫の原因となっている部分の清掃なら、
 遺品整理をしても、相続放棄に影響がない
ことを伝えるとともに、協力的でない場合も
室内への立ち入り、特殊清掃、消臭作業をすることは通知しましょう。

 

「孤独死」のリスクを持った人が増える一方で、
その問題の周知が進んでいるおかげで、
「孤独死」の数は前年より減っているそうです。

入居者自身が「孤独死」に対して自覚を持ち、
自分の支援者や活動先を作っていることも大きな要因と言えるでしょう。

アパートやマンションでも、
住民同士の集まりやコミュニティが作られ、
それぞれの見守りが進んでいるところもあります。

オーナーも入居者も共に「孤独死」への理解を広げ、
未然に防ぐことが、一番の「孤独死」対策になるのかもしれません。