入居者自身を支える家賃債務保証会社の新たな役割

賃借人が滞納した家賃の支払いを連帯保証人に代わって
一時的に引き受ける家賃債務保証会社

「民間賃貸住宅における保証会社の利用率」(公財 日本賃貸住宅管理協会調べ)を
見ると、2010年では39%だった利用率が2014年には56%まで上昇。
現在では60~70%に達しているとも言われています。

家族関係の希薄化や入居者の高齢化、
非正規雇用の増加、家賃滞納者の増加により、
連帯保証人の確保が困難なケースも増え、
賃貸経営にとって保証会社が最後の砦となっている方も
多いのではないでしょうか?

今回は家賃債務保証会社を使わざるを得ない
今の賃貸経営の状況と
家賃の回収だけでない、保証会社の新たな役割を見てみましょう。


今までであれば、家賃滞納のリスクが大きい
高齢者や外国人、20人に一人といわれる障がい者、
シングルマザー・ファザー、生活保護受給者の受け入れに抵抗があり、
入居制限をされていた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし今は過剰な住宅供給と人口減少で賃貸経営が苦しい時代 😥 。
空室を埋めるためには、そういった方を受け入れざるを得なくなっています。

そうした動きから国交省も対策を考えています。
・住宅セーフティネット
低所得者の受け入れに民間賃貸住宅の空室を活用するため、
住宅と入居者のマッチングを支援したり、
入居者が負担する家賃債務保証の保証料最大4万円までに補助したりする

・2019年秋にむけた民法改正
賃貸借の契約時に個人が連帯保証人になる場合、
保証極度額の開示が必要となりました。
責任の範囲が目に見えて分かるようになり、
連帯保証人を避ける方が増え、
家賃債務保証の利用が増えると考えられています。

と、さまざまな枠組みはできていますが、
実質的な制度運用は保証会社に託す形になっています。

 

保証料は基本入居者が払うことになります。かつては
 😕 保証料を払え!なんて負担を嫌がる入居希望者を逃してるのでは?
とも言われていましたが、
保証人がいなくても部屋が借りれるというニーズの高まりもあり、
今や保証料に対して、違和感は薄らいできています。

😡 保証人がいるのに、不動産会社は家賃保証会社の利用を義務付けてるみたい
今はまだ、不動産会社を通じて、家賃保証会社が入ってくることが多いです。
それは、不動産会社は紹介仲介料を、
家賃保証会社は建て替えた滞納家賃を回収できなかった時の穴埋めとして、
多くの人から保証料を徴収したい理由があるそう。
家賃保証の仕組みを維持するためには、致しかたないことでしょう。

 

 💡 家賃債務保証は大家だけでなく入居者の人生を守るものに変化していっている
家賃債務保証会社の市場は拡大の一途をたどっています。
それに伴い、各社一時的な家賃の立て替えにとどまらない
さまざまなオプションやサポートに取り組んでいます。

■明け渡し訴訟まで家主をサポート
家賃を立て替えるだけでなく、裁判時の書類や手続きの進め方を
サポートしてくれるサービスがあります。

■見守りサービスや健康相談サービス
今後増えていく高齢入居者に対して、
見守りサービスや24時間対応の健康相談コールセンターサービスを
付帯できます。
健康不安による滞納を未然に防ぐことができますね。

■もしもの夜逃げ、孤独死を保証
家賃滞納の末、夜逃げや孤独死が発生した場合、
契約解除や残置物片付け、
葬儀や供養の手配まで行うプランもあります。
入居者不在で対応が難しい場面でも頼りになりますね。

■家賃滞納のスパイラルから入居者を救う
一度家賃滞納が始まると、
入居者自身がそこから抜け出せない負のスパイラル 🙁
発生し、続いてしまいます。

家賃債務保証会社には、家賃を取り立てるわけではなく、
「支払いサイクルを正常化して滞納がないようにする」ことをめざし、
・生活保護課やハローワークの紹介
・生活困窮者への食糧支援
など、入居者の生活をサポートする取り組みに力をいれているところもあります。

 

保証料やサービスの違いなど、バリエーションがでてきた保証会社。
入居者の状況に合わせ、家賃保証の内容の選択肢も広がっています。
今後大家はもちろん、入居者が保証会社を選ぶ時代
やってきたときのために、各社のサービスや入居者への支援を調べ、
一度比べてみるのもいいかもしれません。