火災は人災?大切なのは日頃の防災意識

今月14日、ロンドンで発生した公営高層アパート火災。
マンションの壁面をなめるように立ちのぼる火の写真や映像だけで
現場の恐ろしさ、大変さが伝わりましたよね。

 😕 「自分のアパート、マンションは大丈夫かな?」
と不安になった方も多いのではないでしょうか?

今回はこういう機会にぜひ見直したい。
アパート、マンションの防火について考えていきます。


19日時点でロンドン警視庁は現在も消息が分からず、
死亡したと推定される人が79人に達したと発表した今回の火災。
いまだに捜索が続いており、死亡者は100人以上となるのではないか、
という報道もあります。

この高層アパートは24階建ての低所得者用福祉住宅。
約120戸に400~600人が住んでいたとそうです。

1974年の竣工されたアパートは昨年に大規模改修工事を終えたばかり。 
外壁工事も行われましたが、この工事が火の回りを早めたとも指摘されています。
工事の際、候補に挙がった外壁材のうち、選ばれたのは
より安価で、外観を改善し、断熱効果が高い、しかし耐火性の低いものでした。

そして
・スプリンクラーが設置されていない
・出火当時、建物内に設置されているはずの火災報知機が鳴っていなかった
・消火器が点検されていないと指摘があった
・避難用の出口が1カ所しかない
・非常灯にも問題があり
・道路幅が狭く、一般車両の路上駐車もあり、緊急車両の活動が防がれる
といった指摘が住民グループから上がっていたにも関わらず、
改善されなかったことも、被害が大きくなった原因と指摘されています。

さらに見ていくと、
・政府が財政緊縮を掲げて、住民が顧みられなかったこと
・高層アパートに隣接した裕福な地域の人々にとって、
 外観の良いアパートのほうが好ましかったこと
など貧富の格差といった問題も浮き彫りになり、
この火災が人災に他ならないことを示しています。

 

 💡 「日本の高層マンションやビルで、同じような火災は発生しない?」
日本は建築基準法や消防法で防火規制が厳しく、
不燃性の壁や建材、カーテン等を使用しなければならないほか
防火区画やスプリンクラーの設置が義務付けられているため、
燃えたとしても、一部屋が燃えることのほうが多いといわれています。

引き続き、以下のような部分を見直して
「誰かのせいで起こった」ではなく「誰かのおかげで防ぐことができた」
継続していきましょう。

●設備点検をしっかり
スプリンクラーや火災報知器などの防火設備が作動するかはもちろんのこと
・上下水道などの配管まわりがしっかりふさがれ、火が回ることがないか
・防火扉や非常扉の前、避難経路に荷物が置かれたり、ふさがれていないか
・ベランダに物やゴミが置かれ、避難の妨げになっていないか

など建物の状態もチェックすることで、物件の環境も改善できます。
また、消火器の使用有効期限(または品質保証期間)は10年ほど。
忘れずに管理していきましょう。

●大規模修繕は「防災」を見直すチャンス
消火設備の設置を改めて見直すと同時に、
網入りガラスや防火クロスなど、
防災対策となる建材を取り入れていきたいところです。

●入居者、利用者に注意喚起
建物火災の主な出火原因は「コンロ」、「ストーブ」、「たばこ」
入居者にこのことを意識させるだけで、火災を防ぐことができます。
また「民泊」では、ゲストが文化の違う国でコンロやストーブを使うので、
あらかじめ火器、電化製品の使い方や
もしもの時の通報の仕方などをきちんと説明することが大切です。

避難経路や消防設備を実際に使っての消防訓練も大事。
設備に慣れる、避難経路を意識し共用部分の使い方を改善することも
できますし、居住者同士のコミュニケーションの向上にもつながるので、
積極的に実施していきたいです。
参加できなかった人に対しても、お手紙や回覧板を使うことで、
定期的に意識してもらいましょう。

 

平成27年中、共同住宅で起こった火災は全国でも3774件。
東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数が2733人という
数字を見ると、昨今問題となっている「孤独死」に遭遇するよりも
「所有している物件が火災にあった」というオーナーさんは
実は少ないのではないでしょうか?

とはいえ、これも火災報知器の設置が義務付けられたり、
入居者に火災保険に入ってもらうようお願いしたり、
防火に対する意識が高いおかげ。

さまざまな機会を通じて、
オーナーさんから入居者へ「防火」の大切さを
行動や言葉で伝えていきましょう 😉