こっそりペットを飼っていた!敷金を払ってほしい!

▼プロが救う!あなたのピンチ!

『トラブルだ!困ったぁ~!!』 😥 

そんなとき、誤った対処方法をしてしまうと、逆に損害賠償を請求されていまうことも。

自己判断で思い切った行動に出る前に、専門家の見解を聞いて、冷静に適切に対応しましょう。

このコーナーでは、オーナーの皆さまからのご相談事に、プロの先生にお答えいただきます 💡 


☆お答えいただいたのは・・・

弁護士法人ALG&Associates  弁護士 武知 俊輔 先生 

京都大学卒,大阪弁護士会所属。
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任助教在職。
不動産関係のトラブルや企業間の法律問題,その他交通事故・労務問題等,民事一般の事案を幅広く担当。
ご相談はコチラまで⇒https://www.avance-lg.com/(弁護士法人ALG&Associates)※法人名がかわりました!

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(武知先生よりメッセージ)
法律家として、クライアントの方々が求めておられる利益の実現のため精一杯尽力するのはもちろんのこと、仕事を通して自らもまた視野や思考の幅を広げ、弁護士という枠にとらわれない柔軟なビジネスパーソンを目指したいと考えています。
敷居の高さを感じることなく、どんなことでもお気軽にご相談ください!
 

【今回の相談】

こっそりペットを飼っていた入居者に敷金を請求したいが・・・

事前申請をして敷金を支払えば、ペット飼育可能のマンションを経営しています。

先日更新の際に、入居者が申請なくペットを飼育していることが判明しました。

敷金を支払うようお願いしていますが、礼金を払っているからと敷金を支払っていただけません。

追加で敷金を請求することは可能でしょうか?

 

 

 💡 武知先生のアンサー! 💡 

 

今も昔も,賃貸住宅でのペットをめぐるトラブルは後を絶ちません。

「廊下で子供が大型犬に吠えられて転び,怪我をした。」

「ペット禁止のマンションのはずなのに,ケモノのにおいがひどい。」

「隣家からベランダを通ってネコが出入りしている。やめさせてほしい。」

等々・・・。

マンションのオーナーとしては,たかが隣人トラブルと高を括るわけにいかないケー

スも少なくないのが実情です。

 

ペット飼育が可能かどうかがマンションによって異なることはもはや常識ですし,飼

育の可否は賃貸借契約における重要事項ですから,仲介する宅建業者が申込者に対し

て,ペットに関する条件を告知しなければなりません。仲介業者からの情報提供を受

けた上で,申込時にペットを飼育しないという約束で入居した以上は,入居者が勝手

にペットを飼育することは許されず,賃貸借契約の解除事由ともなり得る重大な契約

違反であるといえます。

 

室内でペットを飼育すると,においや壁紙の汚れなど,飼育をしない場合に比べて部

屋の汚損がひどくなりがちですし,退去後のハウスクリーニングを念入りに行う必要

が生じる可能性も高いため,あらかじめ相応の敷金を支払うよう求めることは十分に

合理的です。マンション内でペットを飼育している人としていない人とが混在してい

るとしても,オーナーとしては,そのような敷金の差入れを条件としてペット飼育を

許可しているわけですから,「他の人がペットを飼っているんだから,自分も飼育し

てもいいはずだ!」という入居者の言い分が罷り通るものではありません。

 

 

そもそも,ご存じのとおり敷金と礼金は全く別物。敷金は,賃料の滞納や退去時の修

理費用などが生じたときに備えて,あらかじめ貸主が預かっておくお金で,保証金の

ような性質のものですが,礼金入居時に借主が貸主に対して支払う契約金です。

者はハウスクリーニングなどの費用に充当することが予定されている一方,後者はそ

のような処理をするためのお金ではないのです。したがって,「礼金を支払ったのだ

から,敷金を支払う必要はない」との主張は認められるものではないのです。

 

では,ペット飼育を始めた人に対して,事後的に敷金を支払うよう求めることはでき

るのでしょうか?? 😕 

 

この点,敷金は,賃貸借契約に附随する別個の「敷金契約」に基づいて借主から貸主

に対して支払われるものであるとされています。つまり,建物を借りたいという申込

者が,オーナーとの間で,一定金額の敷金を支払う旨合意し,その合意内容通りに敷

金を預託するわけです。今回のケースでは,ペットを飼育する条件として敷金の差入

れを求めているようですが,入居者が自発的に敷金を納めてくれればよいものの,

「ペットを飼うのであれば敷金をこれだけ払ってください」という請求が法的に認め

られるわけではありません。結局,オーナーの許可なくペットを飼育している入居者

に対しては,入居者が敷金の支払をあくまで拒絶するようであれば,オーナーと入居

者との間の信頼関係が破綻したものとして,賃貸借契約を解除して強制的に退去させ

るという強硬な手段を執らざるを得ず,訴訟沙汰を避けられなくなってしまいます。

 

言うまでもなく,オーナーに無断でペットを飼い始めた入居者に一方的な非があるの

はもちろんです。しかし,不届きな入居者のせいで予測しないトラブルに巻き込まれ

てしまうことはできれば避けたいもの。冒頭にも触れたとおり,ペットがらみのトラ

ブルは入居者間でも頻繁に生じます。

 

マンションのエントランスやエレベータホールといった目立つところに張り紙をする

などして,ペットマナーの向上を入居者に促す取り組みを積極的に行って,未然に

トラブルを防ぐよう工夫してみるのも一つでしょう。

 

 

武知先生、ありがとうございました!

誰でも人を疑ってかかりたくないものなので、信頼関係のもと、手続きを簡略化してしまったり、口約束だけで済ませてしまったり、ということはありますよね。

でも結局、後でトラブルになってしまったら、とても悲しい結末に・・・。

親しい間柄でも、むしろ、信用したい相手だからこそ、きちんと手続きを踏んで、お互いに気持ちの良い関係を続けられるようにすべきなのでは、と私は思います。

弁護士法人ALG&Associates http://www.avance-lg.com

face_03 弁護士 武知 俊輔先生


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